(取締役選解任や定款改正議案の多くの議案と関係する)総括的な提案内容
今回の株主提案を行うようになった経緯を説明したいと思います。当社はバブル経済崩壊後の日本経済の初期の低迷を尻目に、90年代に株価が約4倍になるなど、この時期より日本の資本市場における代表的な優良企業として認識されるようになる一方で、2003年6月に委員会設置会社の形態を採用し、社外取締役が過半数の取締役会を有しているにも関わらず、2000年代以降、特に2003年以降に、長期的な株価の低迷という現象が観察されます。これは客観的な株価の推移を鑑みるに明らかなことですあり、特に、2010年4月6日現在、当社株価は過去1年でも30%下落していますが、日経平均の下落率は15%にとどまっています。2000年6月株価の終値は2375円であり、現在(4月11日時点)の株価は1700円であるので、株価は中長期的に低迷しています。特に2000年代初頭の株価上昇は、80年代までの事業開発の成果の反映であるとすると、直近5年から6年の株価の低迷は著しいといえます。
提案者は、なぜ2000年以降に株価ベースで見たときに当社の企業価値が創出されないのか、株価が低迷しているのか、という問題は、最高経営責任者・最高執行役である鈴木洋氏の経営者としての能力の不在や、ペンタックス買収の失敗、過去11年間で一つの新規事業プロジェクトが収益に結びついていないことなどが重要な要因ですが、より根源的には当社の抱える「企業統治の偽装」という問題と密接に関わっていると考えます。すなわち最高執行役がR&Dプロジェクトの創出に関わる意思決定や企業の買収や売却の決定などにおいて、きちんと訓練を受けた職業的ビジネスパーソンならば首をかしげたくなる判断をしても、鈴木洋氏の問題ある意思決定について、やめさせたりする監視機能が全く果たされていないという問題があります。提案者としては、現在の当社の取締役会と指名委員会等が株主価値を最大化させるようにまったく機能していないので、指名委員会と現取締役会から独立した社外取締役候補者を1名ないしは2名を取締役に選任することが、取締役会の監視・監督機能、しいては株主利益に帰すると考えます。
基本的に2000年以降、あるいは2003年以降に日経平均を下回るような株価の推移を生み出しているのは、新規事業を創出するR&D部門において脈略もない経営方針が10年以上も延々と続けられ、資本の無駄遣いは行われているにも関わらず、社外取締役が提案者からの指摘にも耳を貸さず、まさにこの問題に関心を持たず、介入も行わないということが最も大きいと考えます。もちろんその他の技術経営の問題点、例えばペンタックス買収の失敗やメディア事業の売却等、長期的な株主利益に反するような経営判断がとられることも、株価低迷とは無縁ではありませんし、以上のような問題あるM&A等を執行役、特に鈴木洋最高執行役らが行おうとしても、当社においては、社外取締役や、浜田宏氏、江間賢二氏らが取締役会で異議を唱えることはありませんし、社外取締役らがそういった意思決定に歯止めをかけることもありません。取締役会が機能不全を起こしているといわざるを得ないのであります。さらにとんでもないことに、平成22年6月の株主総会に関する株主総会決議取消訴訟が平成22年9月にはすでに東京地方裁判所に提起されていますが、この訴訟提起の経緯となった株主総会事務局の対応は上場企業として論外だといわざるを得ないのですが、当社は投資家の判断に重大な影響を与えることが確実な本件訴訟発生の事実を一切開示しないという暴挙を行っていますし、提案者が2月に最高技術責任者であった元取締役・前執行役に対する訴訟提起請求の書面の中で、監査委員会に通告しているにもかかわらず、いまだに監査委員会は提案者に対して何の通知も行わずに、そのままになっています。通常、昨今の上場企業の情報開示強化の流れでは、株主総会に関する決議取消訴訟を提起されれば、すぐに適時開示するのが当たり前ですし、他の上場企業、例えば立飛企業が投資家から同様の訴訟提起を受けた時にはすぐに開示しています。また株主提案を受けた場合も同様であり、例えばシャルレでも、すぐに開示を行っています。これら事実関係を鑑みるに、執行役が上場企業を預かる社会的責任感や、法令遵守の意識に乏しいことを表していますし、さらには監査委員会委員の取締役が執行役の不正行為をチェックすることを放棄しているといえると思います。「形を作れども魂入れず」のガバナンス体制を放置していると、企業価値の毀損が継続的に続いて株主価値に重大な影響が発生すると考えています。
資本市場からの評価が低くなっている理由については、①現在の主力事業の将来性が明るくない、成長性が低く、長期的に減益の可能性すら強い、②新規事業の創出実績がなく、その見通しもない、という2点に集約されることを、提案者は3年前にすでに主張しています(http://www5.atpages.jp/ymnk/top.html を参考)。まず認識として重要な点ですが、当社が資本効率の高い事業を創出することに成功したのは、80年代後半までの研究と事業開発の成果であり、90年代半ば以降は新規事業の創出に全く成功していません。メガネレンズ、ガラス磁気ディスク基板、フォトマスク、マスクブランクス、メガネレンズ、眼内レンズ、コンタクトレンズ小売などの事業はすべて80年代末までの研究開発と事業開発の成果であり、これら80年代末までに開発されたガラス研磨技術等の差別性のある技術に基づいた事業は、参入障壁が高いために、極めて高い資本効率を達成することができました。まさに高い資本効率を達成することができたのは、80年代末までの事業開発の成果であり、「社外取締役が過半数の先進的な企業統治」などはこの高い資本効率の達成とは無関係です。一方で、90年代終わりから2000年代前半までは、既存事業は収益ベースでは成長していたものの、特にガラス磁気ディスク基板の事業は、代替品であるフラッシュ・メモリーが記録媒体として台頭してくることが中長期的には予想できていたことなどから、新規事業の創出が急務であったわけですが、2000年代の取締役は、これら経営課題に対して、何ら手を打てず無能であったわけです(しかも新規事業を創出せずとも、固定の社外取締役報酬を受け取れるので、社外取締役には、この問題に介入するインセンティブを持っていませんでした)。
このような観点から、提案者はすでに丹治宏彰元取締役、前執行役に対する損害賠償訴訟を起こすことを監査委員会に提起しています。またメディア事業の売却による垂直磁気方式技術の放棄などに伴いガラス磁気ディスク基板事業の優位性は、コスト競争だけとなり、数年以内にコニカミノルタなどの同業他社が同水準の製造コストによる供給能力を持つ見込みであり、当社の主力事業の将来性は誠に暗いといわざるを得ません。また実際のところ、米国法人の責任者であった鈴木洋氏は、90年代後半に自らの主導したすべてのベンチャー投資を実質的に破産、失敗させましたし、実際には何ら新規事業の創出に実績を持っていないにも関わらず、このような能力しか所有していない人物の経営判断に、他の執行役や社外取締役が何ら取締役としての忠実義務や善管注意義務を果たさないということが問題なのです。これら経営に関する問題について、取締役らに再三通告しているにもかかわらず、いまだに何ら問題が改善されておらず、この一点だけ見ても担当執行役だけでなく、すべての取締役に善管注意義務違反、忠実義務違反があると考えています。特に社外取締役らは、「仲良しクラブ」に堕落しており、ダメな日本の資本市場を象徴するような存在に堕ちています。またフォトマスク事業の競争環境も急速に悪化していますし、余剰資金の再投資先が明らかに経営上の課題とされた2000年代以降に経営陣による成果が全くないことも、株価に反映されているというべきでしょう。
なお鈴木洋氏が判断したでたらめなベンチャー投資が破産しても、財務諸表等では「軽微な影響」などと開示されますが、そういった経営判断の積み重ねが株主価値の毀損を招くのであり、長期的な株式保有を考える投資家に対しては、提案者は特にこの点を警告しておきたいと思います。(続く)
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