レックス事件の株主側の代理人等を務めた大塚和成弁護士が、小生が原告として敗訴したHOYA株式会社株主総会決議取消請求訴訟の地裁判決(大門匡裁判長)を批判する記事(「否決の決議と株主総会決議取消しの訴え」(HOYA株主総会決議取消請求事件)「銀行法務21 No.734」2011年9月号)を書いています。
少し長くなりますが、大塚論文の本論ではないが、重要な一部を引用します。
「会社が株主提案を拒否しても、可決された議案と議題が異なれば、当該可決決議の取消原因とはならないとも判示している。そこで、株主提案が無視された場合、当該株主提案と議題を同じくする会社提案がなされなければ、当該株主は、株主総会決議取消しの訴えを提起することができない。そうすると、会社が適法な株主提案を無視し続けても、提案株主が株主総会の招集請求権(会社法297条)や取締役解任の訴え(同法854条)が定める議決権数を保有していなければ、司法的救済の途が閉ざされるとの問題が生じる。この場合、株主に残された手段としては、名目的慰謝料として1円の支払いを求めて取締役及び会社に対して損害賠償請求をすることくらいであろうか。」
以上にあるように、HOYA株式会社の最高執行役の鈴木洋や経営幹部の中川知子は、株主提案の議題を一方的に削除しても、会社提案の取消事由にならないという地裁判決を悪用することを思いついたようで、次の年の株主総会前の4月には小生の株主提案の大半を一方的に削除することを通知する文書を送り付けてきました。係る行為は違法行為であり、決して許すべきではありません。もし株主提案の議題を削除しても会社提案の取消にならないというのであれば、橋下徹大阪市長による関西電力への株主提案も、関西電力が拒否して決議すればいいということになっています。
なお以上の地裁判決は、あまりに問題があるということで、高裁で一部修正されています。高裁はまた、事実関係のあてはめがおかしいのですが。
この地裁の大問題の判決文を書いたのは、大門匡、秋吉信彦、岡部弘の3名の裁判官(東京地裁民事8部)です。現在本事件は最高裁に上告しています。
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