2010年5月23日日曜日

株主価値が創出されない理由は新規事業のミスマネージメントを10年間続けてきたこと、それを取締役会が放任してきたことの機能不全です

HOYA株式会社の株価動向だけみると、今私がみたデータでは、直近の5年で基本的に日経平均を下回っています。過去の事業開発の貯金が大きく反映された2000年代前半のパフォーマンスを入れて直近の10年で見ても、極めて凡庸な株価パフォーマンスです。優れた企業統治の究極的な目標が、株主に配当増加とキャピタルゲインで報いることだとすれば、現経営陣はその期待を裏切ってきたと結論できると思います。

株主価値破壊の最大の問題は、買収や社内の新規事業への投資の判断が、ここ10年間でたらめであったということです。勿論素人の誰が見ても、ペンタックスの買収は、HOYA株主に多大な損害を与えた失敗です。ただこれだけでなく、直近の10年間で、いわいる新規事業が成功したためしがありません。確かに技術担当の責任者である丹治宏彰氏は去年6月の株主総会で取締役を退任、なぜか執行役には再任されていたものの、今年6月をもって企画担当なる執行役も退任することになりましたが、HOYA株式会社の経営を真摯に考えると、この経営課題を何らかの形で変更しないと、株価が大きく上昇することはあり得ないし、現在の経営体制でもなんら問題点の放置という現状への変更はないと考えています。また詳細は別に述べますが、荻原太郎氏も技術担当の執行役として不適格だと判断しています。

例えば2009年の株主向けアニュアルレポートには、以下のような研究テーマが羅列されていましたが、ここ5年から10年で50億円とか100億円とかの利益を創出すると思われる事業は、ほとんどありません。資料によれば、①ナノインプリント、②3C-SiC、③光通信コネクター、④人工水晶体、⑤スキャニング・ファイバー内視鏡(SFE)、⑥超音波気管支鏡、⑦生体置換型有機無機複合人工骨の開発を行っています。これらの事業が5年後とか10年後に50億とか100億とかの売上なりを創出する事業にならなければ、1000億円の経常利益を創出する会社の潜在的な成長率を底上げすることにはならないはずですが、現状では⑥について情報がなく(ただしこれは既存の内視鏡事業の延長である)、また④⑦以外は、有望でなくほぼ確実にいずれ消えます。④については自社で材料開発を行っていないという決定的な問題がありますが、④と⑦については研究投資として継続することは(ペンタックスが高値掴みであったことを別にして、今となっては)推奨します。なお⑤⑥⑦については、負債を含めて1500億円のコストをかけたペンタックス買収によって得られた事業であるので、どんなに譲って少なくともEBITDA50億円以上に10年でならなければ、投資として成功したとは言えないのです。なお2008年のアニュアルレポートには、「ナノ粒子」なるプロジェクト(有機ELを開発しようとしていたものらしい)が記載されていましたが、2009年のアニュアルレポートではすでに消えています。

一つの分りやすい例として、②3C-SiC(立方晶炭化ケイ素)の開発の問題を記載します。2002年(平成14年)5月発表の、SiC其板の開発、製造子会社のHAST (HOYA Advanced Semiconductor Technology)という会社に関して、2007年(平成19年)での上場を目指すなどと公表され、「設備投資金額は2004年度までに合計で26億円。設備投資の内訳は以下の通り。2002年度が工場の基礎工事費、装置などに7億2000万円。2003年度は結晶成長装置の増設、デバイスの試作装置などに7億6000万円。2004年度は量産設備に11億3000万円。設立5年後には、売上高40億円と株式上場を計画している」とあるが、上場予定の設立5年後の2007年とか、今年6月でいよいよ満8年たっても何の成果もないことは、利益に貢献するような事業の創出が行われていないことから明らかだと思います。

このプロジェクトがスタートした当時は、SiCには、3Cと4Hの方式があり、HOYAは、当初から「3C」の方が基板の大面積化が可能で結果的にコスト競争力がある、との方針から進めてきた経緯があるが、ロームクリー(Cree)等の「4H」勢の躍進やローム自体が「3C」方式を見限ったことにより、世の中は、一気に「4H」に傾いた。基板が大きいことは、逆に結晶成長や不純物(コンタミ等)の影響を受け易いと言う致命的欠点を有している。又、社内的には既に「死に体」となりながら、ゾンビの如く生き延びている研究分野と言われている。半ば「終わった」プロジェクトと言って良い。一説には「父親が始めたPJ(プロジェクト)であるため、止められない」と言う親孝行な噂もあるぐらいであり、想定質問事項として、無計画のまま、ダラダラ投資して来た実態をえぐり出すことが必要がであろう。

<私が株主として行いたい(あるいはCardinal Warde博士が取締役になった時に執行役に説明要求させたい)質問事項>
① ロームやクリーの「4H」方式に対する技術的アドバンテージは何か。
② ロームが既に今年5月に自社SiC基板を用いた「ショットキーバリアダイオード」の量産を開始しているが、HOYAの量産計画と想定製品(ロームと同じ様にダイオードか、他の素子か、例えばMOSFET)の情報を説明せよ。
③ ロームは難しいが、クリー社には「3C」方式の売却は、可能ではないか?
④ ロームは、本田技研工業や日産自動車などと積極的に共同研究を行っているが、HOYAは、何処かの自動車メーカと共同研究を行っているか?例えば、社外取締役を排出している日産自動車との共同研究は、行わないのか?
⑤ 長期に渡り、開発を続けているが、今までの実績を開示いただきたい(費やした研究開発費用と売り上げ・今後の計画と想定顧客等)。2002年時点で5年後に上場とか言っていたプレスリリースは、いったい何なのか?

例えば以上のような問題があっても、鈴木洋氏(最高執行役)や丹治宏彰氏(現企画担当執行役で2010年6月退任予定、取締役は去年6月で退任するもなぜか1年間執行役で社内に留まる)は延々と技術経営のミスマネージメントを続け、そして兼任数の多い社外取締役が過半数からなる取締役会にはそれを是正する意思がまったく見られないため、もし本当に株主価値を真の意味で増加させるような新規事業や研究開発を行わせるためには、取締役の過半を入れ替えるしか方法がないので、今回の株主提案になりました。例えば研究開発を本気で成果あるものにする気があるのならば、指名委員会は、私の推薦するそれぞれの技術分野の専門家であるCardinal Warde博士(電子工学)、Paul Ashton博士(眼科薬物伝達)、Balamurali Ambati博士(眼科医薬、特に加齢黄班変性症の新薬研究)の3人を5月最後の取締役会で次期取締役候補として指名するべきです。以上の例はあくまで一例です。実際に過去9年間のアニュアルレポートを読めば、新規事業で羅列されている研究プロジェクトで、現在の会社のキャッシュフローに貢献している事業は一つもありません。(詳細についてはこの項でなるべく早く加筆しますので、またアクセスしてください)

2010年5月22日土曜日

茂木友三郎氏は社外取締役不適格:兼任数24の人物が行政刷新会議の議員をいまだに務めていることの馬鹿らしさ

茂木友三郎氏の行政刷新会議の議員を務めていることの問題点を手短に述べると、基本的には、公益法人との兼任の問題です。そもそも元通産官僚の児玉幸治氏が天下りの枠でHOYA株式会社の取締役におり、茂木氏はこれを容認しているのであるから、問題だと言わざるをえません。

というか、例えばみんなの党の政策では、「政策投資銀行、商工中金は、経済危機克服後、完全民営化」と公約しているが、児玉幸治氏は以前に通産産業省から商工中金の理事長として天下りしており、いわいる典型的な天下り渡り官僚です。茂木氏は児玉氏の取締役選任も責任を持っているのだから、行政刷新会議の議員に不適切だと言わざるをえません。以下、ご参考にして下さい。良識ある皆さん、そもそも国際的に日本の資本市場や政治がどのように見られるか、冷静に考えましょうね。こんな取締役会を放置しておいたら、日本の恥ですよ。


茂木友三郎氏の行政刷新会議の議員からの退任を求める要望書
「日本の資本市場の機能を考える国民会議」(代表 山中裕)

 民主党の目玉政策である行政刷新会議においては、茂木友三郎氏(キッコーマン会長)が議員についています。われわれは、茂木氏の現在の活動内容から考えるに、茂木氏は行政刷新会議の議員を自主的に退任するべきだと考えています。

 まず茂木友三郎氏は3月の時点で18にも及ぶ公益法人での理事長などのポストの兼任を行っていることが報道されています(例えば時事通信2010年4月2日。以下の事実関係は同報道による)。事業仕分けの対象候補として政府が先に公表した、過去に問題を指摘された50法人とは無関係である一方で、文部科学省と外務省が所管するユネスコ・アジア文化センターや農林水産省所管の食品産業センターなど国から補助金が支出されている法人のポストを兼任していることが明らかにおり、これに対して枝野幸男行政刷新担当相は、4月2日午前の閣議後の会見で、「(仕分け対象の)公益法人の選定に当たって、理事などの固有名詞は見ないで、事業の中身でセレクトしている。問題だとは思っていない」と述べています。しかしながら、茂木氏は以下で述べるように現時点でキッコーマンの最高経営責任者(CEO)を兼務しながら、2社の社外取締役、2社の社外監査役も兼務しており、行政刷新会議の議員も含めると24の兼任があるということになり、一般的な常識から考えて、「そもそも、一つ一つのポストに関する責任を果たすための時間がとれるのか」という当たり前の疑問がありますし、加えてすべてのポストで忠実義務を果たすには、24の役職の相互間に利益相反関係が生じないはずがありません。常識的に考えて、極めて異常なことだと言わざるをえないと考えられます。

 第二に、実際に行政刷新会議の議員として茂木氏の適格性に疑問がある、一つの実例としての前歴があります。茂木友三郎氏は現在HOYA株式会社の取締役を務めていますが、当社の取締役として、通商産業省の元事務次官である児玉幸治氏が付いています。児玉幸治氏は(茂木友三郎氏も同様ですが)、年間10回の出勤で年間推定1000万円の報酬を得ています。茂木氏は児玉氏の取締役就任を容認して承認していますし、行政刷新会議の趣旨と照らし合わせて、言行不一致もはなはだしいと考えられますし、公共性の高いはずの上場企業の取締役会を「仲良しクラブ」化させているのが実態です。茂木氏が役員についてから、当社の株価はほとんど上昇していないことからも、茂木氏が受託者責任を立派に果たしているとは言えないと思います。なおHOYA株主会社の正社員の平均年収は、(週5日朝から夕方までの勤務時間で)650万円程度です。

 第三に、茂木友三郎氏は、HOYA株式会社のペンタックス社の買収に対して、「この買収価格は適正でなく、(HOYA株主会社の株主にとって)利益にならない」という書簡を要望者から受領しながら、経営陣とのなれ合いの関係から会社にとって1500億円もの無駄遣いとなる買収案件に取締役会で異議を唱えませんでした。その結果、当該部門は赤字に転落している他、栃木県の益子工場ではカメラ部門の数百人単位の従業員がリストラの結果として失業し、家族ともども現在も仕事が見つからずに路頭に迷う事態となっている結果になっています。国の無駄使いをなくすための行政刷新会議についている議員が、別の上場企業の取締役会で経営陣の1500億円の無駄使いを放置していること自体が、極めておかしなことだと考えられます。

 第四に、現時点で、茂木友三郎氏は、複数の上場会社の社外取締役や監査役を務めていますが、カルパース(CalPERS)などの国際的な機関投資家の一般的な常識的要望としては、社外取締役の兼任は3社を上限とするべきですし、まして現職のCEOであれば自社以外で2社以上の社外取締役や監査役を務めるのは難しいと考えられます。まして行政刷新会議の議員は、今後の日本の行く末にとって極めて重要な職責を負いますので、これほどの会社の取締役や監査役を務めながら、兼任するというのは、不適切な形態だと思われます。

 第五として、以上のような茂木氏の対応が、メディアの批判的論調の対象になり始めているという点があります。例えば、ジャーナリストの田中幾太郎氏は「『偽りの米国流』で屈折するHOYA『父子鷹』経営」(「ZAITEN」2010年1月号)の記事の中で、茂木氏らが構成する社外取締役会を、「『仲良し老人クラブ』に集う社外取締役という〝藩屏〟」と項を設けて論調し、同社の社外取締役制度について、「『お手盛り』と言われても仕方ない人選だ」と批判し、「社外取締役も納得したという大義名分を与えるための存在」であるとして、「制度そのものがアリバイのためにあると言われてもしようがない」と述べています。また別の経済記者である有森隆氏は、「株主資本主義を体現する米国流経営と、息子への社長ポストの継承には論理矛盾がある」(『創業家物語』講談社2009年出版p.120)として批判していますが、この現状を黙認追認したのが茂木友三郎氏です。行政刷新会議も同様に、「制度そのものがアリバイのためにあると言われてもしようがない」と言われかねないと考えられます。さらには、「「社外取締役」 経営者“名義貸し”ネットワーク」(「ZAITEN」2010年3月号)という特集の中で、茂木氏はその兼任状況の異常さを、かなり激烈に批判されています。

 なお以上のような問題がありますので、要望者としてはHOYA株式会社に対してこれら問題を改善させるべく株主提案(2010年1月12日に本社株主総会事務局に到着)を行いました。①3社より多い兼任数の社外取締役の就任の禁止、②社外取締役の10回以上の連続の再任禁止、③累積投票制度を排除する定款規定の禁止、④株主総会の議決における秘密投票、⑤取締役の個別報酬の開示、⑥交換取締役の禁止、などからなる提案内容になっています。

 資本市場の機能を国際的な投資家から評価させるものに改革させて、日本人の持つ年金の利回りを向上させることは、日本の政治にとって非常に重要な意味を持つ課題だと思われますが、以上のような行動を考慮すると、はたして茂木友三郎氏がこういった問題に対してきちんとした見識を持っているとは全く思えないのが現実です。現実に、日経平均株価などの株価の指標を見ても、民主党の経済政策は2009年8月30日以降、必ずしも国際的な評価を得られていないのが現実ですが、行政刷新会議の議員である茂木友三郎氏の活動がこのようなものであることなどは、その否定的な側面の象徴のように見られているように思われます。すべての世代にとって、日本の金融資産の有効な運用は、国の無駄遣いの削減と同じような重要性を持つはずです。若い経済人や経済の専門家は少なからずいます。現政権としては、旧政権からの引き継ぎ人事である茂木友三郎氏を行政刷新会議議員から退任させて、国際的な資本市場の皮膚感覚を備えた、新たな人材を行政刷新会議の議員として選出されることを強く要望します。

2010年5月19日水曜日

新規事業がここ20年間成功していないことを指名委員会が放置していたことが問題だ。

というタイトルで記事を書きますので、少しお待ちください。
そもそもここ5年間株価が低迷している理由になる一つの主要な問題は、丹治宏彰氏(前年取締役から退任し、平成22年6月18日の株主総会後の退任が発表済み)を代表とする新規事業に成果を持たない執行役を指名委員会が指名していることが問題であり、そのこと自体をもって、指名委員会所属の取締役に反対票を投じるに十分な根拠になると思います。HOYA株式会社の今の社外取締役たちは、「老人仲良しクラブ」です。なお日産自動車から移ってきた荻原太郎氏(技術担当執行役)についても、「元日産自動車の燃料電池の開発責任者であるが、日産自動車時代に新規事業開発の顕著な実績も確認できず、ゴーン体制下でEV車に資源を集中する戦略から外れた事業開発部門の出身者であり、かつ機械系であるため、主要事業が材料科学であるHOYA株式会社の技術担当の責任者として不適格」だと考えていますが、詳細は別に譲ります。このような現状では、新規事業等の投資はすべて失敗に終わるため、株主価値は失われる一方です。

そもそも丹治宏彰氏が取締役となり、実質的に技術担当の責任者になって以来、当社の社内R&Dとベンチャー投資を含む新規事業はすべて失敗しています。新規事業の投資の成功確率0%です。たとえば公開資料から分るように、2004年にCardinal Warde博士の起業したRadiant Images社を買収していますが、この会社はその後のマネージメントが悪く、非常にいい買い物だったはずなのに、他社にプロジェクトを委譲するなど完全に失敗に終わっています。この投資の責任者も丹治宏彰氏です。ペンタックスの失敗については、これ以上ここでは何もいいません。また、Xponent Photonics社の投資失敗も開示されている結果の一つです。過去の株主向け開示資料を注意深く見ていただければわかるように、5、6年前に開示されていたR&Dプロジェクトの内容で、成功したものは一つもないです。

そうであるにも関わらず、80年代までの事業開発の成果(マスクブランクス、フォトマスク、ガラス磁気ディスク基板などの事業)が2000年代前半までは伸びていたため、これだけめちゃくちゃな資本の無駄遣いを行っても、外からはあまり見えにくかったわけです。私はこの現状を変えたいと思っていますが、このために障害になるのは、現在の社外取締役の諸氏です。彼らは私の認識では、完全な善管注意義務違反です。というのも、丹治宏彰氏のような新規事業には実績のない人間を最高技術責任者とか技術担当の執行役とかに指名し続けていたということがあります。だから社外取締役の過半数を何らかの形で交代させないと、新規事業の体制が変わることはないと言えるため、社外取締役の候補を提出せざるを得なかったわけです。ただし委員会設置会社の構造上、指名委員会の過半数が交代すれば、新しい経営体制をスタートさせることができます。

実はHOYA株式会社の事業ポートフォリオにはすごいドル箱候補があります。それは眼科領域で、まだ真の意味での有効な新薬のない加齢黄班変性症の分野で新薬開発に成功すれば、ソニーを越える時価総額を達成できます。私の夢ですが、13歳で大学卒業し17歳で医学博士を取得したBalamurali K. Ambati博士の知恵を有効に活用すれば、それも不可能ではないのです。Balamurali K. Ambati博士は現在加齢黄班症の原因因子の一つの基礎研究を行っていますが、グローバル企業ならば世界の真の意味でのリーダーの知恵を活用するべきです。

それにしても、新しい経営体制を構築するためには、現任の社外取締役である椎名武雄(81歳)、児玉幸治(76歳)、茂木友三郎(75歳)の3氏は退任してもらいたいと考えています。椎名氏は就任期間15年、茂木氏は9年になりますし、児玉氏はいわいる旧通産省からの天下り・渡りの経歴を持つ人物です。イギリスの証券市場の決まりでは、9年を越える再任期間を持つ社外取締役には独立性を認定しません。諸外国の資本市場の歴史を踏まえると、自主的な退任を勧告したいと思います。それに今の社外取締役の構成は、引退した経営者ばかりで、弁護士や会計士、大学教授などの知的バックグラウンドを持つ人材を活用しておらず、多様性に欠けると思います。

2010年5月18日火曜日

神童の眼科医バラ・アンバッティー博士による中長期的株主価値を増大させる経営戦略:Strategic Vision for HOYA Ophthalmics' US Market Entry

HOYA株式会社の取締役候補で、17才で医学博士を取得した神童であるインド出身の眼科医であるBalamurali K. Ambati博士による、HOYA株式会社の経営陣に対する提案内容です。結論からいえば、加齢黄班変性症の新薬の優良候補を買収等で入手し、世界を席巻する事業戦略を取るべきです。このような世界の市場条件を理解せずに、対応が後手後手に回っている鈴木洋氏は、丹治宏彰氏と指名委員会のメンバーともども、早期に辞任するべきです。平均年齢が70歳を越えた社外取締役候補はもはや株主の利益にならないのです。眼科ではBalamurali K. Ambati博士(ユタ大学准教授)と、Paul Ashton博士サイビダ社社長兼最高経営責任者)、材料科学などエレクトロニクス分野ではCardinal Warde博士MIT電子工学教授)の取締役就任への賛成をぜひともお願いします。

Strategic Vision For Hoya Ophthalmics’ US Market Entry
by Balamurali K. Ambati, MD, PhD, MBA (Associate Professor of Ophthalmology and Visual Sciences & Director of Corneal Research, University of Utah School of Medicine, A Candidate for a Board of Director of HOYA Corporation)

Understanding the Market
Vision loss is a devastating event and a significant risk for the aging. The numbers behind vision loss are staggering. Approximately 1 in 28 Americans over 40 is affected by low vision or blindness. Considering that the >80 cohort is rapidly growing and the coming of age of the baby boomer generation, prevalence of glaucoma and AMD are expected to more than double by 2020. Over 322 million people worldwide have blindness, visual impairment, or low vision, with even more having vision-threatening conditions.

A brief summation:
• US Ophthalmic Pharmaceutical Market 2011: $12B
• Vision Loss is expected to grow 70% by 2020
• Financial Burden of Vision Loss in the US is greater than $35B/yr
• Globally AMD - 30M; Glaucoma - 42M; Diabetic Retinopathy - 20M

Market Size: The total ophthalmic pharmaceutical market was $12 billion in 2007 and is expected to grow 4-11% through 2023. The primary drivers of this market are currently four indications: glaucoma (37.5%); ophthalmic anti-allergy/inflammatory/infective (31.2%); retinal disorder (14.6%), and dry eye (11.5%). The glaucoma and retinal markets are driven by large marketshare, blockbuster drugs; Xalatan/Xalacom $1.6B and Lucentis $1.7B, respectively in 2008. Growth in the retinal disease market is expected to maintain a robust clip between 9-29% through 2013 with glaucoma markets showing limited growth, but remaining the largest market through 2023.

Key Diseases:
AMD, the leading cause of blindness in the US, has 2 principal forms: “wet” or exudative (characterized by angiogenesis or growth of new blood vessels), and “dry” or non-exudative (characterized by geographic atrophy and drusen, and a steady rate of progression to “wet” disease). In the US, there are over 2 million people with advanced AMD (expected to double by 2020). Further, 7.5 million Americans are affected by intermediate AMD and thus at risk for developing advanced AMD. While present anti-angiogenic modalities offer significant benefit to many patients with neovascular AMD, indefinite monthly intravitreal injections are risky, unappealing, and burdensome to patients.

Current FDA-approved therapies include the anti-VEGF aptamer (pegaptanib (Macugen; OSI)) and the anti-VEGF Fab fragment (ranibizumab (Lucentis; Genentech)), and photodynamic therapy. Use of Macugen and photodynamic therapy has been eclipsed by intravitreal injections of Lucentis, as it is the first drug to demonstrate significant visual acuity improvement in patients with neovascular AMD. Lucentis costs approximately $2,500 per injection (prospective annual cost approximating $30,000), thus demonstrating the potential of a large market (Lucentis US sales in 2008 were $875M and $886M for the rest of the world). This has triggered a pipeline of 24 INDs (Investigational New Drugs) with at least 20 drug projects in preclinical stages. While the future space in pharmaceutical management of AMD may become crowded, drug delivery platforms are needed to improve ease of administration, convenience, and patient quality of life, for patients now accept monthly intravitreal injections only because there is no choice. In addition, off-label use of bevacizumab (Avastin® ; Genentech), an anti-VEGF antibody, has become common as it much less expensive, but nonetheless this requires regular intravitreal injections.

Glaucoma is the leading cause of blindness in the African-American community and in much of Africa. It affects 2-3 million Americans. Current therapy revolves around lowering eye pressure using topical eyedrops including latanoprost (Xalatan), brimonidine (Alphagan), timolol (Timoptic), and dorzolamide (Trusopt). Patient understanding of and adherence to complex medical regimens is often poor, resulting in need for costly and high-risk surgical drainage procedures, including trabeculectomy and tube shunt procedures. These have high rates of infection, choroidal hemorrhage, hypotony, and other vision-threatening complications.

Diabetic retinopathy could potentially occur in the 15 million Americans with diabetes as well as the hundreds of millions around the world. Diabetic vision loss (currently afflicting 4 million Americans) is generally due to macular edema (leakage from blood vessels causing swelling in the central retina) or proliferative diabetic retinopathy (growth of new blood vessels causing hemorrhage). The percentage of Americans with diabetic retinopathy is expected to skyrocket over the next 15 years due to aging and increasing obesity.

Market Analysis:
Individuals who live to age 65 have a 45% risk of eventually developing AMD, glaucoma, or diabetic retinopathy (all possible conditions for CDR usage, along with retinal vascular occlusions, uveitis, and other vascular or neurological disorders). As the >80 cohort is rapidly growing, prevalence of glaucoma and AMD are expected to more than double by 2020. Expected 2008 US sales for drugs such as Xalatan (glaucoma) or Lucentis (AMD) exceed $1 billion. The financial burden of vision disorders in the US exceeds $35 billion/yr. With nearly 3 million cataract surgeries performed annually in the US and with over a third of patients over 65 having had cataract surgery (15 million patients; ~25 million eyes), it is reasonable to expect that there would be great demand for products that can be targeted to cataract or post-cataract patients or co-marketed with intraocular lens technology.

The most important driver for growth during this period will be the increasing prevalence of ophthalmic disorders among an expanding older population. The two most rapidly expanding categories will be glaucoma and retinal disorders. The push for new superior technologies is especially evident in the growth of investment seen in the ophthalmic market. Continued increases in new targets and expanded delivery options signal growing interest in ophthalmics, resulting in nearly 40 deals since January 2007, led by Novartis AG’s $10.4 billion purchase of a 25% stake in Alcon Inc., and over $370 million in venture financing. Investors believe the sector is ripe for growth due to an aging population, unmet medical needs and increasing interest from large pharmaceutical companies. The amount of venture capital going into ophthalmic companies rose from $123 million in 2004 to $210 million in 2006. Over the same period, companies with an interest in the eye space raised in excess of $1.5 billion from all capital market sources.

Success in the ophthalmic market during 2008-2023 will be characterized by the launch of products with superior technology, particularly those technologies which increase clinical effectiveness or increase patient compliance. Considerable success is also likely for therapies that meet the large unmet needs.

Recommendations
Hoya’s entry into the US ophthalmology market can achieve its potential for exponential growth by targeting key niches with high margins and scope for expansion. The sectors I would recommend concentrate on would be the following:

(1) Near Term
• Aggressive Rollout of the iSert: A pre-loaded IOL insertion system is a felt need on the part of ophthalmic surgeons and ambulatory surgery centers. With a three-piece acrylic, centration should be excellent, posterior capsule opacification low, and insertion feasible even if placement in the ciliary sulcus is necessary. To compete with Alcon, Hoya will need to develop a far-sighted marketing strategy including the building of a significant sales-force, targeted campaigns to surgeons and facilities, educational events to residency programs & large conferences, and deals on surgical disposal supplies. The iSert itself could further be enhanced for surgical comfort by developing a one handed injector with a spiral stylus and cartridge to enable one-handed delivery with in the bag placement of both haptics & optic.
• Adjustable Intraocular Lens: Calhoun Vision (privately held) has developed a light-adjustable intraocular lens that is in clinical trials. This technology allows refinement using a UV light that modifies the polymers within the lens to desired refractive outcome. Once this is done, a second laser can lock in the refraction. Hoya could explore opportunities to partner (or purchase) Calhoun to develop and market this technology, as well as partner or purchase with an aberrometry company (e.g., the Orange system by Wavetec) to optimize the targeted light adjustment parameters.
• Toric Intraocular Lens: Current toric lenses suffer from either being a single piece silicone design (Staar) or possessing mediocre rotational stability (Alcon). A three-piece acrylic lens would avoid the problems of silicone and likely promote superior rotational stability and thus ease of surgical placement. This would add value to the ophthalmic market.
• Acquisition of Phacoemulsification Capacity: Hoya should explore the opportunity to acquire the cataract surgical business (phacoemulsification machines, surgical packs, instrumentation) of a competitive ophthalmic company (e.g., Abbott Medical Optics, B&L Surgical) to enable synergy in marketing of IOLs with surgical equipment.
• Physician Practice Enhancement: Hoya could partner with practice consultants and management companies to identify and cultivate business opportunities for ophthalmologists in single or group practice. This would dovetail with the rest of Hoya’s ophthalmic program and build brand awareness and goodwill among the ophthalmic community.

(2) Medium Term
• AMD Drug Candidates: Motesanib (a VEGFR/PDGFR inhibitor; Millenium Pharmaceuticals (a Takeda company). CEP-11981 (Cephalon’s VEGF-R/Tie2kinase inhibitor), VEGF-trap (Regeneron) and Macugen microspheres (long-acting pegaptanib; Eyetech) are potential drugs or drug candidates that could find broad application in AMD therapy. These represent promising licensing or partnership opportunities for Hoya
• Development of a Premium Intraocular Lens: The evolution of cataract surgery into a refractive procedure for large numbers of patients with presbyopia and high visual demands is still in its early stages. With the aging of the Baby Boomer population, this market will greatly expand, as this cohort has an affinity for elective medical “enhancement” procedures as well as being large. Hoya has the opportunity to use its materials science infrastructure to develop a novel intraocular lens that could be an injectable polymer with adjustable focus properties. Alternatively, Hoya could develop superior aspheric correcting lenses which correct for higher-order aberrations of the cornea and optical system.
• Drug Delivery Device: Ocular drug delivery has several “pretenders” but no devices which can be implanted by the general ophthalmologist, target glaucoma or wet AMD, or are refillable or versatile. Hoya can partner with pharmaceutical companies or early-stage delivery companies and use its polymer and materials science capabilities to launch an ocular drug delivery platform for the treatment of chronic eye disease (e.g., macular degeneration, glaucoma, diabetic retinopathy) which would eliminate the risks of chronic intravitreal injections and/or the inconvenience & inefficacy of complex topical eyedrop regimens.

(3) Long-Term
• Novel Wet-Field Adhesives: Ophthalmic surgical procedures suffer from an absence of adhesives which retain their coherence in a wet field such as the eye. Hoya could develop a novel adhesive that would have applications in corneal and retinal injury and ocular trauma (of great interest to military applications).
• Advanced BioImaging: Hoya’s internal capabilities in lens technology (both for IOLs and cameras) could be leveraged to develop novel imaging platforms to compete with Heidelberg and Zeiss. Truly 3-dimensional imaging of the cornea and retina remain elusive, and imaging of predictive biomarkers of disease is still the province of university laboratories. Both of these would represent terrific niches for Hoya to synergize its intrinsic strengths and introduce vanguard technology to the field.
• Drug Candidates: Potential drug candidates focusing on neuroprotection, reduction of inflammation, and novel anti-angiogenics are promising long-term opportunities from a pharmaceutical standpoint in ophthalmology.

Strategy for Hoya Growth in Ophthalmics
(1) Near Term
iSert
Physician Practice Enhancement
Adjustable & Toric IOLs
Cataract Surgical Division Acquisition
(2) Medium Term
Drug Delivery Device
Development of a Premium IOL
Acquisition of AMD Drug Pipeline
(3) Long Term
Novel Wet-Field Adhesives
Advanced Bioimaging
New Drug Candidates

By building on a foundation of excellence in lens, imaging, and materials technologies, Hoya Ophthalmics should be able to introduce several best-of-class products to the US market which truly make a difference to patients as well as raise Hoya’s market profile.

2010年5月17日月曜日

日本の企業統治を変える秘密投票議案

6月18日に予定されているHOYA株式会社株主総会への株主提案では、株主総会の決議事項の投票をいわいる秘密投票にするという提案を行っています。

実は現時点では、秘密投票は「法令違反」になります。というのも、議決権行使書面を本店に3カ月だか据え置かなければならない、そして株主は行使された議決権書類を閲覧謄写することができるのです。つまりあなたが行使した議決権行使の書面(いわいる返送するか、株主総会に持っていくはがき)は、ほかの株主が見ようと思えばどのように議決権を行使したか見ることができるのです。したがって、法令が認める範囲で「秘密投票」にし、それが不可能である場合はその限りでない、とする定款変更議案として提出しています。

基本的には、例えば持ち合いの株主、事業上の取引関係にある株主(例えば商社など)、保険会社など投資先としてその会社に投資しているが、保険も買ってもらっているような株主は、現経営陣に反対するような議決権行使は、よほどのことがないと難しいのですが、秘密投票ではそのようなことを心配することなく、自由に議決権行使をすることができるようになります。相撲協会の理事選挙で、秘密投票の威力は直観的には明らかだと思います。こういった観点から、カルパースなどの国際的な投資家は、企業統治の原則として「秘密投票」と推奨しています。

「秘密投票」に反対する立場としては、受託者責任を負う機関投資家に受託者に対する責任を明確化させるため、どのように議決権を行使したか公開した方がいいという見解があります。しかしながら、投資家は投資パフォーマンスに対して投資決定を行うのであって、特定の議決権行使を行わせるために投資するのではないと思いますので、「秘密投票」に反対する理由にはならないのではないでしょうか。

参考文献
"The Myth of Shareholder Franchise" Virginia Law Review, Vol. 93, No. 3, pp. 675-732, 2007 Lucian A. Bebchuk

2010年5月16日日曜日

私の株主運動により丹治宏彰氏が執行役から退任したならば、それは一つの大きな成果だ。

丹治宏彰氏の執行役からの退任のニュースが、HOYA株式会社より発表されています( 「役員異動のお知らせ」2010年5月14日HOYA株式会社)。私は昨年(平成21年6月)の株主総会向けに、丹治氏の取締役からの解任を要求、結果として取締役からは自主的に退任させたが、今年の株主提案でも、まったく何の実績もないにもかかわらず、依然として企画担当の執行役として留まっていること(はっきり申し上げて丹治氏を執行役に指名した指名委員会のメンバー全員の解任をお願いしたい)について、いくつかの方法で問題提起しました。なお去年の提案内容(「平成21年度HOYA株式会社の株主総会における提案内容について」小生ブログ:2009年4月14日)と顛末( 「丹治宏彰氏の実質的な解任に関して、HOYA株式会社の株主総会事務局から書類が送られてきた」小生ブログ:2009年5月31日)は、それぞれのリンク先をご参考にしてください。

大体ここ10年以上、ほとんどすべての投資案件を破産に追い込み、世間の笑い物になったペンタックスの高値掴みを取締役として鈴木洋氏の暴走を黙認し、結果として会社の企業価値に多大な損害を与えた丹治宏彰氏が会社に一応役職があったこと自体が大問題であったのですが、一応丹治宏彰氏の会社役職(現役職は企画担当執行役)からの退任が実現しましたので、良かったと思います。株主提案が一定の成果を上げることができたと思います。

それにしても、会社の発表の仕方が笑ってしまいますね。この人に何か一つでも新規事業において成果があったのでしょうか。今後は材料科学の事業開発に成果のある人物の最高技術責任者の採用を、株主の立場から働きかけていきます。材料科学の会社なのに、機械系のことしか分らない人が、なぜか最高技術責任者にいるのを、なんとしても変えさせましょう。経営戦略に必要なのは、投資分野の集中と選択(眼科と材料科学分野)です。

以下HOYA株式会社ホームページより引用。
2010年05月14日
HOYA株式会社
役員異動のお知らせ
当社の執行役企画担当である丹治宏彰が、2010(平成22)年6月18日開催予定の当社第72期定時株主総会終結のときをもちまして、任期満了により当社執行役を退任する予定であることをお知らせいたします。
丹治氏は1992(平成4)年4月に当社に入社、以来一貫して先端技術の開発、新規事業の開拓等の分野に力を発揮してまいりました。2000(平成12)年6月に当社取締役となり経営に参画し、2003(平成15)年6月には委員会等設置会社への移行に伴い執行役を兼務いたしました。
その後M&A(企業の合併と買収)にも関与し、成長分野であるエレクトロオプティクス部門での買収や、当社で新たな成長分野として位置付けているメディカル分野での新規事業の買収に手腕を発揮いたしました。
同氏はこのように当社の発展に数々の貢献をしてまいりましたが、このたび、ここ数年の懸案事項でありました一部事業の再編プロジェクトが契約締結の運びとなり、これを機に、新しいフィールドでさらなる挑戦をすることを希望し、任期満了に伴い退任するものであります。
当社といたしましては、丹治氏のこれまでの当社に対する貢献を高く評価し、その残した成果をさらに活かして今後の発展を目指してまいります。

丹治宏彰(たんじ・ひろあき)氏 略歴
1952(昭和27)年7月31日生まれ
1992(平成4)年 4月 当社入社
1997(平成9)年 4月 当社R&Dセンター先端技術研究所ゼネラル・マネジャー
2000(平成12)年 6月 当社取締役
2001(平成13)年 6月 当社取締役兼事業開発部門長
2003(平成15)年 6月 当社取締役、執行役兼事業開発部門長
2006(平成18)年 6月 当社取締役、執行役最高技術責任者兼事業開発部門長
2006(平成18)年 7月 当社取締役、執行役最高技術責任者
2009(平成21)年 6月 当社執行役 企画担当(現任)

追伸(2010年7月19日)
丹治宏彰氏が会社の言うように株主価値をつけられるほど優秀ならば、高い給与を提示してでも引き留めるべきだし、それをしていないのはそもそも指名委員会の職務怠慢だと言わざるを得ません。

2010年5月14日金曜日

退任した取締役の報酬を開示させることの企業統治での意味

すでに一部で報道されているように、「退任した取締役の過去10年間の報酬を開示させる定款改正議案」を含む複数の株主提案を、平成22年6月18日に予定されているHOYA株式会社の株主総会に行いました。

なぜ退任した取締役の報酬開示が必要か、それは企業統治のきもは、①まず誰を取締役として選任するか、②そうやって選ばれた取締役にどのようなインセンティブをあたえるか、ということになります。

金融庁主導の内閣府令により、今年4月から1億円以上の報酬を得る取締役の報酬開示が義務付けられます。これは政権交代により、経団連から献金をほとんど貰っていない民主党政権が誕生したことの成果(金融庁は国民新党亀井静香大臣)です。しかしながら私から見れば、極めて不十分であり、取締役の家族に報酬を支払ったり、報酬でない手段で実質的にお金を渡す(例えば取締役の兄弟が国会議員だったら、そこに政治献金やコンサルタント報酬として渡すとか)などの方法が、今後ますます活発になると思います。経営者や取締役と株主の間でのプリンシパル・エージェント関係から生じる最大の問題は、業績努力とは無関係な報酬を、経営者や取締役が受け取ることです。本人らの能力や努力から発生した業績向上以外の理由で、彼らの報酬が上がるのは、社会的厚生の観点からはロスになるのです。基本的に、取締役と執行役の報酬は、基本的には全額株主に開示すべき、どんなに譲っても上位4名は開示するべきです。

今後この会社のみならず、退職してから顧問料やコンサルティング収入などの形で以前の取締役に報酬を渡すという形式がはびこってくると思いますので、この件については、今後より詳細な議論していこうと思います。例えば富士通秋草直之氏が取締役を退任しても、報酬を受け取っていたら、株主としては本当は困るわけです。現に秋草氏らが退任させようとした野副州旦氏(前富士通社長)に、辞める際の口止め料として二億円だかを渡すとか言っていたのをよく覚えておきましょう。私は以前より丹治宏彰氏の取締役と執行役からの退任を求めてきましたが、もし2010年6月の執行役退任後(注:取締役は2009年にすでに退任)も報酬をもらう扱いになっていたら、HOYA株式会社も似たようなものと言わざるをえません。このような状況の放置は、年金の運用先としての資本市場の瀕死を意味すると思います。第一生命さん、日本生命さんの議決権行使担当者の方も、ぜひご考慮のほど宜しくお願いします。

というか、鈴木哲夫名誉会長と山中衛相談役の2名の元取締役の退任後の報酬については、最高執行役鈴木洋氏と彼らは親族であるので、当然開示が求められるべきでしょう。鈴木洋氏の自宅の名義が鈴木哲夫氏であること、すなわち父親の家に住んでいるわけだから、当然です。報酬について関心のある人は、Lucian Bebchuk教授の共著を読んでください。なお私は、経営者の報酬が大きい自体を問題にはしていません。もし今後当社の株価が10年で10倍になれば、最高執行役の報酬が年間100億円でもかまわないと思っています(株主価値を増大させる優秀な経営者には能力相応の報酬を払ってもいいというのが、欧米の機関投資家の標準的な考え方です)。真の意味での問題は、経営者の努力とは無関係な報酬を、取締役や執行役が受け取ること、これを監視するために報酬の個別開示も必要だし、取締役退任後に報酬を受け取っている場合に非公開となっているのは問題なのです。