2009年10月9日金曜日

誰もまだ言っていない提案:財務及び金融担当大臣に明神茂氏を

国際金融界に通用する日本人として、明神茂氏がいます。46歳でソロモン・ブラザーズの副会長にまでなった人です。1949年生まれだから、まだおそらく約60歳です。

この意見はまだ誰も言っていないと思いますが、明神氏が財務及び金融担当大臣になったとしたら、ポールソン前財務長官とかルービン元財務長官とかと並べて、けっして遜色ありません。さらに副長官に清滝信宏氏(プリンストン大学教授)か伊藤隆敏氏(元ミネソタ大学準教授、東京大学教授)をとかを、論理面も強化するために、リクルートして担当させればよいでしょう。

分っていない人間が政治をやってきたのが問題なのです。ぜひ分っている人間に権限を与えられる政治システムに担当にしましょう。

2009年9月23日水曜日

売り家と唐様で書く3代目:鈴木洋氏に見るもうわかっていること

幾人かの人にコメントを求められた以下のロイターの記事ですが。 江戸時代の川柳の偉大さを、再確認するものといえます。何でマスコミはすでに分り切ったことを書かないのか。この国のマスコミは、銀行や警察や検察と同じように、何の信用ができないものだとと再確認できます。

http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPnTK029245320090818
インタビュー: HOYA<7741.t>のペンタックス部門は今期黒字化へ、デジカメ事業は他社との連携を模索=CEO 
2009年 08月 18日 18:25 JST
[東京 18日 ロイター] HOYA(7741.T: 株価, ニュース, レポート)の鈴木洋最高経営責任者(CEO)は18日、ロイターのインタビューで、グループ収益の足を引っ張っているペンタックス部門について2010年3月期に営業損益が黒字化するとの見通しを示した。特に赤字が深刻なデジタルカメラ事業も今期は収益が大幅に改善する見込み。ただ、デジカメ事業は単独での生き残りは難しいとして、他社との連携を模索していく考えを示した。  医療用の内視鏡とデジカメで構成されるペンタックス部門は09年

すでに私が数年前に主張したように、ペンタックスは何で買収したのか不明ですね、買収価格的にも非合理ですし。もちろんこの買収が、HOYA株式会社の株主に対して多大な損害を与えたことはまちがいのないことです。買収金額はいくらかわかっているのですか、負債額を入れると、約1500億円うです。その額で自社株買いすれば、どれだけの株数を償却できるでしょうか?

HOYAの経営優位性のある事業領域は、ガラス研磨技術を核とした無機化学系の材料科学と、眼科です。なぜにカメラ事業などがポートフォリオに入ってくるのか不明ですし、「集中と選択」の反対のことをしているわけですから、資本市場からの評価は当然低くなります。

もっとも、ペンタックス部門が黒字化すればよいのではなく、潜在的な会社の成長力を上げる目標のためには、数百億円の利益をあげる事業部を創出できるかという点が成功したかどうかの基準になるのですが。なお社外取締役の児玉幸治氏は、「ペンタックスの従業員の過半が合併に賛成」ということを根拠に、合併に取締役として賛成したと、私に明言しました。この社外取締役は、年間報酬を推定1000万円を取っています。

鈴木洋氏には、投資とかM&Aとかで企業価値を創出するのは無理です。実績がないですから。90年代後半のアメリカ現地法人時代も、すべての投資案件を破産させています。一回も成功したことがありません。そのことを、奥津宏道氏(奥津小一郎元専務の実子)などもはっきり馬鹿にしていました。別の社員は、鈴木洋氏がアメリカで卒業したとされる学校が三流であるとして、無能を明言していました。現地社員から上層部がはっきり馬鹿扱い受けているような職場環境で、技術者がまじめに想像力を働かせて、R&Dをやる気になるでしょうか。姉ちゃんの金田龍子氏が経営するほうが、まだましです。生まれ育った東京から遠く離れた秋田県能代の田舎を旦那と一緒に歩きまわったのならば、まだ根性があるというべきでしょう。洋氏には、お願いですから、次回の株主総会まで、何もしないでいただきたいと思います。 ただ奥津氏に言っておきたいのは、このような無能を取締役に選任している時点で、奥津小一郎氏も、あるいは浜田宏氏も、株主に対する背任、善管注意義務違反の批判を免れないということです。

丹治宏彰なる無能な人物が、いまだに企画担当執行役とかいう役職に就いていること自体が、良識疑わしいですね(取締役は2009年6月に退任)。率直に言って、この人物ほど、株主価値を破壊して平然としている上場企業の取締役というのを、私は見たことがないです。この人物は、M&Aとか事業開発とかに、全く実績も才能もありませんし、むしろそういったことによる企業価値の創出と正反対のことをして、平然としている人格破綻者です。詳しくは、「平成21年度HOYA株式会社の株主総会における提案内容について」、及び「丹治宏彰氏の実質的な解任に関して、HOYA株式会社の株主総会事務局から書類が送られてきた」を参照にしてください。

江戸時代の川柳(「売り家と唐様で書く三代目」)の偉大さが、改めてわかりますが、馬鹿三代目を容認している「社害役員」こと社外役員の諸氏にはまず、早期に辞任してもらいましょう。本人が辞めたいと言っているのだから、辞めさせてあげればいいではないか。何でCEOの母親の言うことばかり聞くんだ。

2009年9月19日土曜日

平野博文Webサイト「市民のご意見箱」へのメッセージ:平野博文官房長官、あんたはせこいんだよ。そんな態度で国民が黙っていると思うなよ。

平野博文官房長官(大阪11区)の事務所宛て「市民のご意見箱」に、皆さんも抗議のメールを送りましょう。
平野博文官房長官の公式ホームページ 市民ご意見箱
https://www.hhirano.jp/opinion/

以下、私のメッセージに対する、平野事務所の自動返信です。

平野博文Webサイト「市民のご意見箱」へメッセージをいただき誠にありがとうございました。
下記の内容にてご意見を承りしました。
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[タイトル] 記者クラブ解放公約の重大な違反について
[氏  名] 山中裕
[ふりがな] やまなかゆたか
[E-mail] yy2248@columbia.edu
[居住地] その他
[メッセージ] 私は小沢一郎氏の長年の支持者です。
民主党の公約であった記者クラブの解放について、重大な違反が行われました。平野博文氏の意思が大きく働いていると言われています。
こんなことがまかり通るのであれば、次の選挙で民主党は必ずしっぺ返しを受けますし、日本の歴史において、必ず大きな汚点になります。
そのことをきちんと把握したうえで、必ず記者クラブの解放の公約を果たしていただきたい。そうでなくてはどうなるか、よく考えてください。
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いただきました貴重なご意見を参考にさせていただき、政治に取り組んでまいりますので、今後ともご支援宜しくお願い申し上げます。
なお、上記内容は自動配信設定となっており、本メールアドレスへご返信いただきましても当該事務局にて受け取ることは出来ません。予め、ご了承下さい。また、お寄せいただきましたご意見・メッセージに対してはお返事を約束するものではないことをご了承ください。
平野博文事務所の個人情報に対する厳格なポリシーに基づいて配信されています。詳しくはこちら( http://www.hhirano.jp/privacy )から「個人情報の取扱いについて」をご参照ください。
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平野博文事務所(枚方)〒573-0027 大阪府枚方市大垣内町2-7-16 小北ビル2F
TEL:072-841-2501 FAX:072-844‐6502
http://www.hhirano.jp/
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2009年8月31日月曜日

2009年8月30日は、あくまで単なる一里塚

すでに皆さんご承知のように、民主党を中心とする野党が、衆議院選挙で300議席以上を獲得する大差で勝利し、麻生太郎首相の退陣が決定的な状況になりました。私が皆さんにお伝えしたいのは、まとめると以下のことです。

民主党を中心とする政権ができたとして、政権交代が自己目的してしまったら何の意味もありません。民主党が今まで法案提出したり、インデックスに入っている内容、たとえば、霞ヶ関官僚の天下りの全面禁止、刑事プロセスにおける取調べの可視化や代用監獄の廃止、選択的夫婦別姓、NPO税制などをとって、果たして本当にこれらの政策(日本の今まで100年以上の国と社会の形の変更を本質的に迫るもの)を、順番でもいいので4年間で実現していくか、きちんと監視していくことです。

日本は諸先進国の中で、いくつかの点で、大きく遅れています。はたして、日本社会が、国際的に名誉ある地位を築くことができるか、です。

2009年6月21日日曜日

植草一秀氏のブログが面白く、役に立つ

私は最近、植草一秀氏(元野村総合研究所エコノミスト:東京大学経済学部を1983年3月に卒業)のブログを、良く見ています。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/

私は、学生時代に、植草氏の著書を参考にして、プレゼンしたこともありますし、日本社会としても、植草氏のような人材を活用で来ていないのは、きわめて惜しいと思います。また村上世彰氏(通称村上ファンド代表)と、駒場時代(東京大学教養学部)のクラスが一緒だったことも、知られています。

確かに植草氏の政治的な立場(例えば今は民主党支持である点)と、私の政治的な信条が近いということはあります。ただし一つ一つの分析には、私が気づかなかったことを指摘していると思えることがよくあります。 もしよろしければ、植草氏のブログ『知られざる真実』を、定期的に、ご覧下さい。

それとは別に、極めて面白いのは、以前の小沢一郎氏(当時自由党党首)との対談ですね。以下は対談の中の、有名なくだりです(なお上のブログ内にもリンクあり)。
「小沢一郎&植草一秀」ビック対談 (夕刊フジ 2001年12月26日)
http://www.ozawa-ichiro.jp/massmedia/2001/02.htm

植草:そもそも、首相は自民党総裁選の前日に意見の対立する亀井(静香・前政調会長)さんと政策合意を結んで総裁になった。それなのに、議会の多数派が「悪」で内閣が「善」という構図になっている。いわば、かよわい女性に暴漢が襲ってきたところ、白馬に乗った騎士が現われてやっつける劇のようなもの。観客は拍手喝采だが、実は裏で騎士が暴漢に女性を襲うように頼んでいる。テーブルの下で手を握って「道路は作らせるから、民営化という『名』の部分は俺にくれ」と密約している。

小沢:うまいこと言うね。首相は対立する状況をパフォーマンスで作り出して政権を運営している。あれほど派閥支配、経世会支配を批判しておきながら、すべて節目節目では彼らと手を握っている。自民党的政治は小泉首相のもとで何も変わっていないどころか、余計にひどくなっている。それなのに日本人は合理的に考えて決断をすることをしないから、ひとたび、経済の大混乱が起きた場合には、単なる経済問題というばかりでなく、日本人の精神の混乱、破壊に及ぶのではと非常に心配している。

いずれにしても、日本社会は、優秀な人間を上手く活用するメカニズムが欠けているように思われるわけです。もったいないですね。

2009年5月31日日曜日

丹治宏彰氏の実質的な解任に関して、HOYA株式会社の株主総会事務局から書類が送られてきた

 先日、以下のような書面が、配達証明で送られてきました。丹治宏彰氏の解任(本総会で再任しないこと)については、基本的には私の主張していたことが実現していたわけであり、実質的な勝利と言えるといえます。丹治氏の解任という私の提案を丸呑みしてでも、私の提案理由を会社法上の株主提案の招集通知に記載したくないのであれば、それ自体は了としましょう。関連記事として、2009年4月14日の「平成21年度HOYA株式会社の株主総会における提案内容について」をご覧ください。もし丹治宏彰氏が今後も、当業務に関わるのであれば、それはそのような状況を容認しているすべての取締役による、株主に対する背任行為とみなせると思います。今後も監視していくことが必要です。 なおこの点については、HOYA株式会社のIR・広報部の伊藤直司氏と山本弘子氏と5月25日午後4時半から緊急でミーティングを行い、経営陣に強く要求しました。

 今後はさらなる株主提案の提起や、丹治宏彰氏や「社害」取締役などを被告とする株主代表訴訟などの手段を用いて、まちがった方向に向かってしまった会社経営をなるべく健全な方向へ戻していけるよう、微力ながらも奮闘していきたく考えています。従業員とそのご家族の皆様、株主様におかれましては、ぜひともご期待いただけるとありがたく考えています。なお期限の関係で第71回定時株主総会には間に合わないのですが、第72回定時株主総会において、私自身の社外取締役への立候補(私を社外取締役とする議案の提出)、そのほかより適切な社外取締役候補の推薦を行うことを決定しました。私が推薦するHOYA株式会社の社外取締役候補についても、公募したいと思いますので、適当な方がいらっしゃったら、ぜひご連絡いただけるとありがたく考えています。

私と一緒に、少しでも明るい日本経済を作って行きましょう。今後とも宜しくお願いします。

                                 2009年5月22日
東京都練馬区石神井台*********
株主 山中裕様  
                                 HOYA株式会社 
                                 株主総会事務局

拝啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 早速でございますが、弊社宛に2009年3月および4月に山中様から届きました「株主提案」と題するご通知につきまして、ご連絡申し上げます。

 まず、丹治宏彰取締役に関しまして、2009年6月16日開催予定の弊社第71期定時株主総会(以下「本総会」といいます。)にて解任に関するご提案を頂戴しておりますが、本件につきましては、すでに決算短信によりリリースし、一部新聞等でも報道されておりますとおり、丹治宏彰取締役は本総会をもって任期満了により退任し、本総会において取締役としての選任をお願いする予定もございません。
 また「材料科学と眼科の領域でそれぞれ別に役員2名を選任し、各分野での新規事業の創出や買収での企業価値の創出を担当させる旨」のご提案を頂戴しておりますが、ご提案の中では取締役候補者としての具体的氏名等が挙げられておりません。
 したがいまして、両ご提案ともに、会社法上の株主提案として招集通知に掲載せず、また本総会におきまして議案として付記しないことをご通知申し上げます。
 この度のご提案につきましては、株主様からの貴重なご意見として参考にさせていただきたく存じます。引き続きご理解、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。                                                
                                        敬具 

 なお「JR遺族らが株主総会で社長解任要求」(2009.5.30)などの記事にあるように、株主は株主総会に議案を提出する権利を持っているし、その権利の行使がより普通に行われるようになってきています。財界人の互助会的な社外取締役制度は、即効廃止せよと言いたいものです。 このことについて、コラムニストの勝谷誠彦氏は、「社外取締役の二人に関しては、それぞれの企業の株主総会で追及があってもいい。<解任を要求される社外取締役は、平成17年4月の事故以前から就任している立石義雄・オムロン会長と野村明雄・大阪ガス会長。>本来、相互監視の機能が働くはずの社外取締役が、財界クラブの互助組織のようになっている現状がここにある。オムロンと大阪ガスの株主の方々におかれては、自らの企業の恥を外にさらしているわけで、株価を毀損する要因でもある」(勝谷誠彦の××な日々:2009年5月31日号)と述べています。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/090530/dst0905302338012-n1.htm
 JR福知山線脱線事故の遺族が、6月に開かれるJR西日本の定時株主総会で、山崎正夫社長と社外取締役2人の解任を要求する議案を提出することが30日、分かった。
 提案理由は「脱線事故などで、山崎社長は安全を確保する義務を怠り、社外取締役2人は取締役会の監視義務を怠った」としている。 遺族は事故で長女を亡くした藤崎光子さん(69)=大阪市城東区。これまでにも役員の解任要求を出している個人株主約100人とともに提出するもので、「社外取締役の2人は事故が起きても辞職していないし、山崎社長は会社のトップとして責任をとる必要があると思ったので、初めて議案提案に加わった」と話している。
 解任を要求される社外取締役は、平成17年4月の事故以前から就任している立石義雄・オムロン会長と野村明雄・大阪ガス会長。 JR西広報部は「個々の株主に関することなので、コメントは差し控えたい」としている。 議案は6月23日の株主総会で採決される。

 すでに三洋電機の旧経営陣と監査役に対する株主代表訴訟が、報じられています。取締役になるということは、それなりに責任の重いことですので、今後は日本社会でも、このような動きが盛んになると思われます。 (以下引用、共同通信 2009/05/18)
http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009051801000512.html
 三洋電機が過去の決算で不正な会計処理をしていた問題で、西日本在住の 株主が創業家の井植敏元会長ら旧経営陣らに計約278億円の損害賠償を 求める株主代表訴訟を18日、大阪地裁に起こした。  訴状によると、同社は誤った会計処理で関連会社の株式評価損を実際より 少なく計上し、これに基づき2002年9月期-04年9月期に計約278億円を 配当。07年12月に決算を訂正したところ、実際は配当可能な利益がなかった ことが分かった。  株主は「取締役会が違法な配当を決議し、監査役も防止するための措置を 取らなかった」と主張している。  
 株主は昨年12月、三洋電機に賠償請求を求める文書を送付。だがことし 2月「旧経営陣らに退職慰労金を支給しない、などの対応策をすでに取った」と 拒否されたため、代表訴訟に踏み切った。

 最後に、日本経済において、社外取締役が経営陣の言いなりになっていること、その結果として株主の利益が大きく損なわれていることについては、私の「2009年元旦に思う、日本社会の問題点」(2009年1月4日)の記事で、「今の日本社会の問題は、①コーポレート・ガバナンスの不整備(投資家から見た取締役会の機能が国際的にまるで信用されていない)と経営者の株主価値を増加させるという意味から見た相対的な無能力、②政治家の相対的な能力の低さ、③大学の研究や教育の生産性という意味での競争力のなさ、④マスメディアの程度の相対的な低さ、に集約される」と述べました。まさに日本においては、コーポレートガバナンスが大問題なのですが、だからといって投票は多数決の民主主義なので、株主総会でもみんなが無能な経営陣に対して反対の一票を投じれば、現状を変えることができるのですよ。実際に次期衆議院選挙でも、過半数の有権者が、小選挙区で民主党の候補の名前、比例区で民主党と書けば、政権は交代し、利権談合共産主義を瓦解されることができます。そういった意味でも、一票の力を有効にするために、かならず投票にいってください。

2009年4月14日火曜日

平成21年度HOYA株式会社の株主総会における提案内容について

平成21年度HOYA株式会社の株主総会における提案内容について、以下関連資料を転載します。
平成21年4月14日
拝啓 HOYA株式会社代表取締役 鈴木洋殿

会社法305条の株主提案権に基づいて、以下の議題(平成21年3月25日付けですでにIR・広報部責任者伊藤直司氏宛てに書留にて送付しているものと同一の株主提案)を、株主総会の目的である事項につき、当該株主である私が提出しようとする議案の要領として、株主に通知することを請求します。

敬具
山中裕
株主提案
第1号議案 丹治宏彰取締役を解任し、材料科学と眼科の領域でそれぞれ別に役員2名を専任し、各分野での新規事業の創出や買収での企業価値の創出を担当させる件

〇 議案内容
丹治宏彰取締役を解任し、変わって材料科学と眼科の領域のそれぞれで、新規事業の創出や買収での企業価値の創出に実績のある人物2名を専任し、各分野での技術担当者の執行役員としてそれぞれ登用をする。
○ 提案の理由
HOYAの経営陣は、従来より「株主価値の最大化」「新規事業は重要」などと株主向けに言っているにもかかわらず、2000年(平成12年)以降の過去9年間にわたって株主に高いリターンを与えることに完全に失敗しており、また経済合理的な形での新規事業の創出になんら実績がなく、ペンタックス社の買収案件を高値掴みして大損失を出すなど、株主利益の観点から見て、極めて問題があることには、もはやなんらの疑いがない。このような現状を放置するのであれば、指名委員会の構成メンバーの社外取締役らによる、取締役会の本来の役割を忘れた仲良しクラブ化であり、社外取締役形態導入の先駆的な企業として、他の日本企業、しいては日本経済にあたえるネガティブな影響は計り知れない。
現に多くの日本企業の取締役会では、経営陣の扱いやすい社外取締役を数人専任すれば、保身として良しという、株主利益とはおおよそかけ離れた結果になってしまっている、悲しい現実がある。なお株主利益の代表者であり、経営監視を行う義務を負った上場企業の取締役を、天下り官僚のポストにするべきではない。HOYA株式会社の株価が投資家に高いリターンを与えたのは、あくまで1990年代までであり、2000年(平成12年)以降に投資を行った投資家には、特に並外れたリターンを与えていないばかりか、株価の動向を見ると、日経平均すら下回っている。株価は低迷しているのである。
企業価値と株価をあげるための有力な方法は、新規事業の創出は不可欠な構成要素である。当たり前のことではあるが、常に最適な人材をその任に当たらせるのが、株主から与えられた取締役の義務であり、そうでなければ取締役の善管注意義務違反である。そういった観点から判断すると、丹治宏彰取締役を最高技術責任者にしておくことは、株主利益に反している。丹治宏彰氏は、過去9年間、そして2000年(平成12年)以前にも、なんら新規事業創出において実績がなく、また以下に述べる客観的な情報や実績から判断して、株主価値を増大させる新規事業の能力を所有していない。従って、CTO(最高技術責任者)として不適格であるからして、解任が適当だと考えられるので、提案者はこの議案を提案するにいたった。以下に、その理由を述べこととする。
第一に、丹治宏彰氏にはまともな事業開発の実績が、過去の本人の人生でまったくない(皆無である)ことがあげられる。数年前の時点で、主力事業の将来性が数年後に悪化することが明らかで、主力のガラス磁気ディスク事業には、フラッシュ・メモリーという代替品が存在し、新事業の必要性が非常に高い会社において、事業開発の実績がない人物が最高技術責任者となっていることは、株主価値の観点から見て、そもそも5年以上前から不適切であったのである。現在のHOYAの主力事業は、すべて80年代後半までに開発されたものであり、90年代以降は新規事業の開発に経済合理的な形では、成功していない(高値掴みした買収案件で、事業が増えたことはのぞく)。ガラス磁気ディスクメモリー基盤、フォトマスク、マスクブランクス、眼内レンズ、めがねレンズ、コンタクトレンズの小売りの事業のいずれもが、80年代後半までに創出された事業ばかりであり、丹治宏彰氏はこれらの開発には関与していない。株価がなんら上がらないのは、90年代以降に新規事業をまったく創出できなかったことの、大きなツケであり、それでいて役員は涼しい顔で巨額の報酬を受け取り、そのツケは結局のところ個人投資家を含む株主が負っている。
第二に、ベンチャー投資に悲惨な成果を、実績として残していることである。例えば公開情報だけを元にすると、2008年(平成20年)に投資対象であるXponent Photnics社や、Qstream Networks社の実質的な破産が会社から公表されているが、これがHOYA株式会社のベンチャー投資の実態である。2004年(平成16年)に買収したと発表されている、Radiant Images社という会社についても、ほぼ同様である。これらは丹治氏が大きく関与して行われた経営行動である。例えば、2006年(平成18年)にXponent Photnics社への投資と代理店契約締結時に、「「GE-PON」用光トランシーバの初年度の売上を6億円と見込んでおります」と発表しているが、何ら成果は上がっていない。これらは株主に損害を与えた投資活動の公開されているほんの一部である。
第三に、社内のR&D(研究開発)には、ここ9年間に見るべき実績がなんらないことがあげられる。当たり前のことであるが、HOYAは昨年度まで経常利益で約1000億円の利益を出しているわけで、成長率を底上げするためには、少なくとも100億円以上の利益を上げられる事業を、経済合理的な形で創出する必要がある。ところが株主向け資料に記載されているプロジェクトの中に、一つでも5年から7年以内に100億円以上の営業利益が創出されるようなものが含まれているであろうか。答えは否である。例えば2002年(平成14年)5月発表の、SiC其板の開発、製造子会社のHAST (HOYA Advanced Semiconductor Technology)という会社でも、2007年(平成19年)での上場を目指すなどと公表され、「設備投資金額は2004年度までに合計で26億円。設備投資の内訳は以下の通り。2002年度が工場の基礎工事費、装置などに7億2000万円。2003年度は結晶成長装置の増設、デバイスの試作装置などに7億6000万円。2004年度は量産設備に11億3000万円。設立5年後には、売上高40億円と株式上場を計画している」とあるが、7年たっても何の成果もないことは、利益に貢献するような事業の創出が行われていないことから明らかである。
第四に、ペンタックス社の買収により企業価値が毀損された点についての責任問題についてである。2006年(平成14年)12月の買収時においてでさえ、カメラの市場においてヒット商品が出ていたために一時的に黒字になっていただけであり、カメラ商品のサイクルが2年程度であることなど、事業の基礎的な条件だけをみれば、優良な買収対象だと言えない会社を、考えられないような高値つかみをし、経営陣は株主価値に重大な毀損を与えたことの責任の一端をとるべきである。現に2年もたたないうちに、買収対象の事業は、ほぼ不良債権化している。「2011年3月にのれん代を除く営業利益率を18%にすることを目指す」などと、2年ほど前に鈴木洋最高経営責任者は言っていたが、これが実現する可能性は皆無であり、現在の状況は赤字転落である。1500億円があれば、現在の何パーセントの自社株を消却できるであろうか。投資銀行やプライベート・エクイティーの業界の実務では、「高値掴みだけは一番やってはいけない」と一番、最初に習うものであり、投資銀行のアナリスト・レベルでも、この程度の判断は出来るはず、経営陣の能力は、その水準の認識力もないことを疑わざるを得ないことを意味している。無論、執行役をかねた取締役の責任は、株主に対してあるのであり、あまたの日本の企業がそうであるように、最高執行役のイエスマンでいればいいというわけではなく、なぜ買収過程の選別において、意義を唱えなかったのか、唱えなかっただけでも取締役失格である。だいたいペンタックス買収騒動で露呈した、あの当たり前のことに関する実務能力のなさは、一体何なのであろうか。
以上のような理由であるので、経営陣は、このような株主資本の無駄使いを続けており、特に技術経営が有効に行われた形跡が見られず、丹治宏彰氏が社内の事業開発や企業買収等による企業価値の増加という点において、不適格であることは明らかであるので、CTOの任務に当たる人物には、丹治宏彰氏に変えて、材料科学と眼科の領域のそれぞれで、新規事業の創出や買収での企業価値の創出に実績のある人物2名の登用をするべきである。そもそも材料科学と眼科は専門性という意味で、大きく異なる分野であり、同一の人物で対応できるとは思えない。株主価値のまっとうな増加という観点から、CTOには新規事業開拓に実績のある人物の登用をするべきであることは、もはや疑いがない。取締役会は、株主価値の最大化を口にするのであれば、COO(最高執行責任者)を任命したくらいで、お茶を濁すべきではない。それではまるで、8年間失政を続けてきたブッシュ政権が、副大統領だけ民主党の政治家にして、すいませんがこれで今までと同じように私達は多額の報酬をもらいますのでご勘弁を、と言っているのと同じである。また現在の経営陣は、ペンタックス買収騒動で露呈したように、投資銀行の使い方など、基本的な経営実務能力に関する知識が、十分に理解できていないと考えられる。
派遣社員が数百万円の年収で生活し、老後の生活の糧にと投資を行った個人投資家が多大なキャピタルロスを被っている中で、億単位の報酬をこのようななんら実績のない人物に与えるべきではない。同じく月一回の出勤で派遣社員の何倍もの報酬を得ている社外取締役諸氏は、猛烈に反省するべきである。また当然のことながら、取締役の任期は1年であり、毎年株主総会で最も適切な人材を選出するべきものであり、今までの間、不適格な人物に技術経営に当たらせている任命者自体が反省するべき内容である。
今回の提案内容は、自らの経済合理性を超えて、社員や株主の皆さんのために「義憤に駆られて」というのが、正直な気持ちである。なお参考のために、提案者は、ペンタックスとの買収騒動のさなかの2007年(平成19年)5月ころに、「この買収は成功する見込みがなく、今すぐ停止するべきである」という手紙を送っていたが、社外取締役諸氏はいずれも、その助言には従わなかったことを、付け加えておく。