2010年5月17日月曜日

日本の企業統治を変える秘密投票議案

6月18日に予定されているHOYA株式会社株主総会への株主提案では、株主総会の決議事項の投票をいわいる秘密投票にするという提案を行っています。

実は現時点では、秘密投票は「法令違反」になります。というのも、議決権行使書面を本店に3カ月だか据え置かなければならない、そして株主は行使された議決権書類を閲覧謄写することができるのです。つまりあなたが行使した議決権行使の書面(いわいる返送するか、株主総会に持っていくはがき)は、ほかの株主が見ようと思えばどのように議決権を行使したか見ることができるのです。したがって、法令が認める範囲で「秘密投票」にし、それが不可能である場合はその限りでない、とする定款変更議案として提出しています。

基本的には、例えば持ち合いの株主、事業上の取引関係にある株主(例えば商社など)、保険会社など投資先としてその会社に投資しているが、保険も買ってもらっているような株主は、現経営陣に反対するような議決権行使は、よほどのことがないと難しいのですが、秘密投票ではそのようなことを心配することなく、自由に議決権行使をすることができるようになります。相撲協会の理事選挙で、秘密投票の威力は直観的には明らかだと思います。こういった観点から、カルパースなどの国際的な投資家は、企業統治の原則として「秘密投票」と推奨しています。

「秘密投票」に反対する立場としては、受託者責任を負う機関投資家に受託者に対する責任を明確化させるため、どのように議決権を行使したか公開した方がいいという見解があります。しかしながら、投資家は投資パフォーマンスに対して投資決定を行うのであって、特定の議決権行使を行わせるために投資するのではないと思いますので、「秘密投票」に反対する理由にはならないのではないでしょうか。

参考文献
"The Myth of Shareholder Franchise" Virginia Law Review, Vol. 93, No. 3, pp. 675-732, 2007 Lucian A. Bebchuk

2010年5月16日日曜日

私の株主運動により丹治宏彰氏が執行役から退任したならば、それは一つの大きな成果だ。

丹治宏彰氏の執行役からの退任のニュースが、HOYA株式会社より発表されています( 「役員異動のお知らせ」2010年5月14日HOYA株式会社)。私は昨年(平成21年6月)の株主総会向けに、丹治氏の取締役からの解任を要求、結果として取締役からは自主的に退任させたが、今年の株主提案でも、まったく何の実績もないにもかかわらず、依然として企画担当の執行役として留まっていること(はっきり申し上げて丹治氏を執行役に指名した指名委員会のメンバー全員の解任をお願いしたい)について、いくつかの方法で問題提起しました。なお去年の提案内容(「平成21年度HOYA株式会社の株主総会における提案内容について」小生ブログ:2009年4月14日)と顛末( 「丹治宏彰氏の実質的な解任に関して、HOYA株式会社の株主総会事務局から書類が送られてきた」小生ブログ:2009年5月31日)は、それぞれのリンク先をご参考にしてください。

大体ここ10年以上、ほとんどすべての投資案件を破産に追い込み、世間の笑い物になったペンタックスの高値掴みを取締役として鈴木洋氏の暴走を黙認し、結果として会社の企業価値に多大な損害を与えた丹治宏彰氏が会社に一応役職があったこと自体が大問題であったのですが、一応丹治宏彰氏の会社役職(現役職は企画担当執行役)からの退任が実現しましたので、良かったと思います。株主提案が一定の成果を上げることができたと思います。

それにしても、会社の発表の仕方が笑ってしまいますね。この人に何か一つでも新規事業において成果があったのでしょうか。今後は材料科学の事業開発に成果のある人物の最高技術責任者の採用を、株主の立場から働きかけていきます。材料科学の会社なのに、機械系のことしか分らない人が、なぜか最高技術責任者にいるのを、なんとしても変えさせましょう。経営戦略に必要なのは、投資分野の集中と選択(眼科と材料科学分野)です。

以下HOYA株式会社ホームページより引用。
2010年05月14日
HOYA株式会社
役員異動のお知らせ
当社の執行役企画担当である丹治宏彰が、2010(平成22)年6月18日開催予定の当社第72期定時株主総会終結のときをもちまして、任期満了により当社執行役を退任する予定であることをお知らせいたします。
丹治氏は1992(平成4)年4月に当社に入社、以来一貫して先端技術の開発、新規事業の開拓等の分野に力を発揮してまいりました。2000(平成12)年6月に当社取締役となり経営に参画し、2003(平成15)年6月には委員会等設置会社への移行に伴い執行役を兼務いたしました。
その後M&A(企業の合併と買収)にも関与し、成長分野であるエレクトロオプティクス部門での買収や、当社で新たな成長分野として位置付けているメディカル分野での新規事業の買収に手腕を発揮いたしました。
同氏はこのように当社の発展に数々の貢献をしてまいりましたが、このたび、ここ数年の懸案事項でありました一部事業の再編プロジェクトが契約締結の運びとなり、これを機に、新しいフィールドでさらなる挑戦をすることを希望し、任期満了に伴い退任するものであります。
当社といたしましては、丹治氏のこれまでの当社に対する貢献を高く評価し、その残した成果をさらに活かして今後の発展を目指してまいります。

丹治宏彰(たんじ・ひろあき)氏 略歴
1952(昭和27)年7月31日生まれ
1992(平成4)年 4月 当社入社
1997(平成9)年 4月 当社R&Dセンター先端技術研究所ゼネラル・マネジャー
2000(平成12)年 6月 当社取締役
2001(平成13)年 6月 当社取締役兼事業開発部門長
2003(平成15)年 6月 当社取締役、執行役兼事業開発部門長
2006(平成18)年 6月 当社取締役、執行役最高技術責任者兼事業開発部門長
2006(平成18)年 7月 当社取締役、執行役最高技術責任者
2009(平成21)年 6月 当社執行役 企画担当(現任)

追伸(2010年7月19日)
丹治宏彰氏が会社の言うように株主価値をつけられるほど優秀ならば、高い給与を提示してでも引き留めるべきだし、それをしていないのはそもそも指名委員会の職務怠慢だと言わざるを得ません。

2010年5月14日金曜日

退任した取締役の報酬を開示させることの企業統治での意味

すでに一部で報道されているように、「退任した取締役の過去10年間の報酬を開示させる定款改正議案」を含む複数の株主提案を、平成22年6月18日に予定されているHOYA株式会社の株主総会に行いました。

なぜ退任した取締役の報酬開示が必要か、それは企業統治のきもは、①まず誰を取締役として選任するか、②そうやって選ばれた取締役にどのようなインセンティブをあたえるか、ということになります。

金融庁主導の内閣府令により、今年4月から1億円以上の報酬を得る取締役の報酬開示が義務付けられます。これは政権交代により、経団連から献金をほとんど貰っていない民主党政権が誕生したことの成果(金融庁は国民新党亀井静香大臣)です。しかしながら私から見れば、極めて不十分であり、取締役の家族に報酬を支払ったり、報酬でない手段で実質的にお金を渡す(例えば取締役の兄弟が国会議員だったら、そこに政治献金やコンサルタント報酬として渡すとか)などの方法が、今後ますます活発になると思います。経営者や取締役と株主の間でのプリンシパル・エージェント関係から生じる最大の問題は、業績努力とは無関係な報酬を、経営者や取締役が受け取ることです。本人らの能力や努力から発生した業績向上以外の理由で、彼らの報酬が上がるのは、社会的厚生の観点からはロスになるのです。基本的に、取締役と執行役の報酬は、基本的には全額株主に開示すべき、どんなに譲っても上位4名は開示するべきです。

今後この会社のみならず、退職してから顧問料やコンサルティング収入などの形で以前の取締役に報酬を渡すという形式がはびこってくると思いますので、この件については、今後より詳細な議論していこうと思います。例えば富士通秋草直之氏が取締役を退任しても、報酬を受け取っていたら、株主としては本当は困るわけです。現に秋草氏らが退任させようとした野副州旦氏(前富士通社長)に、辞める際の口止め料として二億円だかを渡すとか言っていたのをよく覚えておきましょう。私は以前より丹治宏彰氏の取締役と執行役からの退任を求めてきましたが、もし2010年6月の執行役退任後(注:取締役は2009年にすでに退任)も報酬をもらう扱いになっていたら、HOYA株式会社も似たようなものと言わざるをえません。このような状況の放置は、年金の運用先としての資本市場の瀕死を意味すると思います。第一生命さん、日本生命さんの議決権行使担当者の方も、ぜひご考慮のほど宜しくお願いします。

というか、鈴木哲夫名誉会長と山中衛相談役の2名の元取締役の退任後の報酬については、最高執行役鈴木洋氏と彼らは親族であるので、当然開示が求められるべきでしょう。鈴木洋氏の自宅の名義が鈴木哲夫氏であること、すなわち父親の家に住んでいるわけだから、当然です。報酬について関心のある人は、Lucian Bebchuk教授の共著を読んでください。なお私は、経営者の報酬が大きい自体を問題にはしていません。もし今後当社の株価が10年で10倍になれば、最高執行役の報酬が年間100億円でもかまわないと思っています(株主価値を増大させる優秀な経営者には能力相応の報酬を払ってもいいというのが、欧米の機関投資家の標準的な考え方です)。真の意味での問題は、経営者の努力とは無関係な報酬を、取締役や執行役が受け取ること、これを監視するために報酬の個別開示も必要だし、取締役退任後に報酬を受け取っている場合に非公開となっているのは問題なのです。

2010年5月5日水曜日

間違ってはじまってしまった社外取締役制度:椎名武雄と佐伯尚考の両氏には社外取締役の独立性がない

すでに一部報道がされているように、平成22年6月の株主総会へ向けて、HOYA株式会社へ株主提案を行いました。だいぶん株主提案の数が多くなると思います。題目の議論に移りたいと思いますが、私の理解では、やはり社外取締役制度の歴史がまちがってはじまってしまったことが大きいかと。HOYA株式会社のはじめ2人の社外取締役(椎名武雄氏、佐伯尚孝氏)の人選から垣間見れます。理由をまず簡潔に述べます。

まず社外取締役の独立性の「独立」の意味ですが、分りやすく言えば、社外取締役であること以外に会社との関係がないことを言います。詳しくはリスクメトリクス社の石田猛行さんの論文を読んでください。基本線では石田さんの見解に私も同意しています。そういった観点から考えるに以下の事実が指摘できます。なお私は椎名武雄氏や佐伯尚孝氏の社外取締役としての実績には問題があると考えていますが、仮に彼らが大変素晴らしい方だとしても、独立性という意味では問題になるのです。よりよいガバナンスは投資家にとっては保険のようなものであり、業績がいいことが問題のある企業統治が放置されてもいいという発想にはならないのです(どうも日本人には分りにくい発想のようですが)。

①椎名武雄氏はもともとの主要取引先(日本IBM社)の経営幹部なので、そもそも独立性が疑わしい。
②少なくとも開示情報で明らかなように、椎名武雄氏は、少なくとも2003年まで取締役報酬とは別に、自分の個人会社でHOYA株式会社とコンサルティング契約を結び、多額の報酬を受け取っていたことがあります。
③椎名武雄氏の社外取締役としての在任期間が15年となっていますが、少なくとも10年をこえた在任期間を持つ取締役に、「独立性」を認めていいかという問題があります。たとえば日本プロクシーガバナンス研究所という議決権行使助言会社は、8年を越える在任期間を持つ社外取締役の選任議案には、機械的に反対票を投じることを推奨するとしています。
④佐伯尚考氏は三和銀行の前頭取でしたから、いわいるメインバンクの出身者です。債権者と株主の利益は相反するので、融資を行っている銀行の出身者には独立性を認めないというのが、現代の企業統治論の標準的な考え方です。
⑤また三和銀行出身の佐伯尚考氏がHOYA株式会社の取締役となり、HOYA株式会社名誉会長の鈴木哲夫氏が三和銀行の取締役となっていましたが、取締役を交換している主体出身の取締役(「交換取締役:Interlocking Director」)に独立性を認めないのも、標準的な考え方です。

なお平成22年6月の株主総会向けには、交換取締役を禁止する定款規定を導入する定款変更議案の株主提案を行いました。
以上の意見へのコメントを募集します。今後の株主提案の方法などに反映させていきたいと考えています。以下のメールアドレスまで宜しくお願いします。
yy2248[@]columbia.edu([@]を@に変えてください)。

参考
「取締役の独立性の要件―Riskmetricsの見解」(溝渕彰先生のブログ投稿:2010年4月3日)
http://jcorporate-governance-forum.blogspot.com/2010_04_01_archive.html

2010年4月23日金曜日

私が株主総会の取締役選出での累積投票を推奨する理由

HOYA株式会社を含むほとんどの上場企業は、株主総会での取締役選任における累積投票制度の採用を、定款で排除しています。以下に、私が累積投票を推奨する理由を述べておきます。

(累積投票:推奨する理由:HOYA株式会社の株主様へ)
 現在の日本社会の問題の一つが、企業統治の不在による、上場企業の経営における非効率性の放置である。上場企業は、私企業とはいえど、日本の個人が直接・間接に便益を受けるはずの年金基金の運用対象であるので、極めて公共性が高い。経営者は株主の代理人として、配当やキャピタルゲインを増加させることにより株主利益を最大化するよう経営を行うことが望ましく、それを監視するのが取締役会の本来与えられた使命である。ところが、当社を含めたほとんどの日本の上場企業では、そういったメカニズムが、諸外国の資本市場と比較しても、ほとんど働いていない。この現実に非常に憂慮している。
 
 メガネレンズの分野で国内の優位な地位を確立していた当社は、70年代から80年代にかけて、獲得したガラス研磨技術をプラット・フォームの技術として、無機材料科学の分野において、主に半導体産業や液晶の分野を応用とした製品開発に成功し、その結果として90年代に株価が年率15%程度に増加し、10年間で約4倍程度に上昇した。90年代以降成長をけん引したガラス磁気ディスク基板、マスクブランクス、フォトマスクなどの商品はいずれも80年代までに基本的な開発が終了していた商品である。

 他方、当社の過去10年間の株価をみると、ここ十年間でほとんど株主価値が創出されていない。実際2000年代冒頭は一見利益ベースでの成長が起きていたが、それは以前の技術・製品開発の成果がそのまま伸びていたわけであり、こういった業績は当社代表執行役CEO鈴木洋氏ら現経営陣に帰するのではなく、それ以前の世代の経営陣の力によるものであると評価することができる。

 それではなぜここ10年間、企業価値が創出されなかったのだろうか。
 この点、第一にペンタックスの買収が与えたネガティブな影響が挙げられる。すなわち、2006年12月時点の合併会見時でさえ、カメラの市場においてヒット商品が出ていたためにペンタックス社は一時的に黒字になっていただけである。材料科学と異なり、カメラの商品サイクルが2年程度であること等、事業の基礎的な条件だけを見れば、優良な買収対象だと言えない同社を考えられないような高値掴みをしたことが挙げられる。ロイターのインタビューにおいて、3年前に「2011年3月にのれん代を除く営業利益率を18%にすることを目指す」と、鈴木洋氏は発言している。しかしながら、現時点においてこれが実現する可能性はほぼ皆無といって等しい。すでに赤字に転落し、現在の状態は損益分岐点をようやく達成可能かどうかという水準である。買収コストの約1500億円があれば、現在何%の自社株を消却できたであろうか。投資銀行およびやプライベート・エクイティーの実務の観点からは、今回のようないわゆる「高値掴み」は、最大の失敗と解される事例である。残念ながら、本買収については、投資資銀行のアナリストのレベルでも適切な判断が可能といわざるを得ない。結果、現経営陣の能力は、その水準の認識力もないことを意味している。従って、ペンタックス買収は、企業価値の数十パーセントを喪失させた買収であると評価できる。

 第二に、ベンチャー企業の投資に悲惨な結果を、「実績」として残していることが挙げられる。公開情報をもとに例を挙げると、2008年(平成20年)に投資対象であるXponent Photonics社やQstream Networks社の実質的な破産が会社から公表されているが、これが当社経営陣の手によるベンチャー投資の実態を示している。例えば2006年(平成18年)にXponent Photonics社への投資と代理店締結時に、「「GE-PON」用光トランシーバーの初年度の売上を6億円と見込んでおります」と発表しているが、なんら成果は上がっていない。これらは株主に損害を与えた投資活動の公開されているほんの一部である。なおRadiant Images社という2004年に連結対象になった投資先についても、ほぼ同様の結果となっている。なお、現社長である鈴木洋氏が米国駐在時に主導した投資は、すべて破産しているのが実態である。以上のような結果になっている理由は、優良案件を掴むための人脈や情報源を保有しておらずそのための努力も全く行っていないこと、投資を行った後は放置したままであり少なくとも四半期おきに投資先の技術開発の動向や代替技術の動向がどうなっているか、買収提案をするべきかどうかなどの精査な分析を一切行っていないこと等が挙げられる。なお、提案者は、こうした問題があることを3年以上前から現経営陣に伝えているが改善に取り組んだ形跡は全く見られないのが実情である。

 第三に、社内のR&D(研究開発)の結果が、ここ10年に見るべき実績が全くないことが挙げられる。当前のことであるが、当社は2007年度まで経常利益で約1000億円の利益を出しており、更に成長率を底上げするためには、少なくとも100億円以上の利益を上げられる事業を経済合理的な形で創出する必要がある。ところが株主向け資料に記載されているプロジェクトの中に、一つでも5年から7年以内に100億円以上の営業利益が創出されるようなものが含まれているであろうか。答えは否である。例えば2002年(平成14年)5月発表の、SiC其板の開発、製造子会社のHAST(HOYA Advanced Semiconductor Technology)という会社でも、2007年(平成19年)での上場を目指すと公表されている。すなわち、「設備投資金額は2004年度までに合計で26億円。設備投資の内訳は以下の通り。2002年度が工場の基礎工事費、装置などに7億2000万円。2003年度は結晶成長装置の増設、デバイスの試作装置などに7億6000万円。2004年度は量産設備に11億3000万円。設立5年後には、売上高40億円と株式上場を計画している」とある。しかし、8年たっても株主利益に貢献するような成果が何もないことは、利益に貢献するような事業の創出が行われていないことからも明らかである。これはあくまで一例である。丹治宏彰氏が最高技術責任者として不適格であることは、現場の従業員は認識していた事実であった。従って、丹治宏彰氏に支払われていた報酬自体が株主利益に反するものであり、取締役が株主の利益に立って報酬の決定を行ってこなかったことも明らかである。

 基本的に2000年以降に株主価値の増加や、株価の上昇が見られなかった最大の理由は、以上のような状況を当社の執行役を中心とする経営陣が放置していたにもかかわらず、社外取締役を多数とする取締役会がその状況を容認、放置していたことにある。しかし、その状況はいまだに継続している。例えば提案者は昨年度冒頭に、株主提案書の提出により、丹治宏彰氏(当時最高技術責任者)の取締役からの解任を要求、結果として経営陣は丹治宏彰氏を取締役からは自主的に退任させたが、2009年6月の株主総会後の取締役会において、依然として執行役(企画担当)として選任された。提案者から判断すると、社外取締役と経営陣はいわゆる「なれ合いの仲良しクラブ」とも言える関係となっていると目さざるを得ず、到底、最適な人材を執行役に選任するという動機や意思を持ち合わせていないと評価せざるを得ない。以前、鈴木哲夫氏は、「役員の任期は1年」と言っていたはずだが、不適切とされた取締役が以前執行役として留まることを容認している「仲良しクラブ化」の取締役会のもとでは、最適な人材を配置することなど適わないと言える。

 当社の株主価値が創出されない経営上の問題について説明を試みたが、それではなぜ累積投票を排除する定款規定が、株主利益上望ましいかについて、最後に説明したい。現在の累積投票によらない取締役選出方法だと、株主の間で意見の対立があった場合、51%の賛同を得ればすべての取締役選任議案は承認され、49%の賛同があっても一人の取締役候補者も取締役にすることができない多数決ルールになっている。これは冷静に考えれば、民主主義において極めて不合理である。例えば国政選挙において、50%を超える得票を集めた政党だけが議員を選出でき、49%や8%といった得票であれば一人も議員を選出できないという制度が存在したとして、その制度に賛同する人はあまりいないのではないだろうか。仮に取締役の員数が10人である場合、10%以上を持つ株主が自らの票(1議決権につき10票)を一人の候補者に集中的に投票すれば、確実に一人の候補者が取締役になることが、累積投票が定款で排除されていなければ(本提案が可決された場合、来年以降は)可能である。

 多くの個人株主諸氏は、個人株主比率が全体の15%とか20%になっても、なんら経営陣や取締役は自分たちの株主利益ことを省みないではないかと感じることがあるのではないかと思う。ところが、累積投票制度が排除されていなければ、個人株主の票が一人の取締役候補者に15%集中すれば、個人株主代表の取締役を選出することが容易になる。これは従業員持株会が一定以上の株数を持つ場合にもあてはまる。機能する取締役会において重要な要素は、見解の多様性である。実際に提案者や提案者の推薦する候補がすでに取締役になっていれば、彼らはペンタックスの買収などで経営陣の独走を許すことに反対していいたであろうし、その他の問題となる状況も取締役会ですでに検討されていたであろう。

 彼らの意見が取締役の中で少数だったとしても、その意見を取締役会議事録に残すことで、過去の経営行動をチェックし、再検証することも容易になり、責任の追及もしやすくなるのである。この側面は、株主利益に大きく貢献する潜在的な可能性を持っており、取締役会に多様な意見を反映させることは、株主利益の実現上極めて重要である。

 累積投票制度は、現在の取締役会の構成や運営の欠陥を是正し、少数株主からの代表を取締役会に送り込む可能性を高め、取締役会の多様な意見の確保を行うのに適している制度である。総会屋等が横行した昭和49年の旧商法改正当時とは状況が変わっているため、現況に鑑みると会社法で認められている累積投票制度を定款で排除する理由は特に見当たらない。実際に、コロンビア大学のゴードン教授(*1)や、CFA協会(*2)、米国最大の年金基金であるカルパース(*3)などの権威筋についても、株主が自らの意見を反映させる可能性が高められるとして同制度を推奨している。現在民主党政権下において、公開会社法の制定が進められているが、本来あるべき労働者利益と株主利益を一体化していくことも、累積投票の存在によって、より可能になる。累積投票は株主民主主義を健全に機能させるために非常に有効な方式であるので、同方式を排除する当社の定款規定は排除するべきである。

*1 Geffrey N. Gordon, "Institutions as Relational Investors: A New Look at
Cumulative Voting, 94 Colum. L. Rev. 124-192 (1995).
*2 CFA協会「上場企業のコーポレートガバナンス 投資家のためのマニュアル」p.36-37(2005年)
(http://www.cfaj.org/publications/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%EF%BC%88%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%89%88%EF%BC%89forEthics%20class%20at%20Waseda.pdfを参照)
*3 カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)「説明責任のあるコーポレートガバナンス(企業統治)国際原則」20頁(最終改訂2008年4月21日)
(http://www.calpers-governance.org/docs-sof/marketinitiatives/japanese-global-principles.pdf参照)

2010年4月13日火曜日

社外取締役候補の略歴その1:Cardinal Warde博士(マサチューセッツ工科大学電子工学教授)

6月の予定されている、次期HOYA株式会社の株主総会での社外取締役の候補として考えているDr. Cardinal Warde(マサチューセッツ工科大学電子工学科教授)を紹介します。黒人で数少ないMITでの終身教授権を獲得した先生です。


Dr. Cardinal Warde joined the faculty of the Department of Electrical Engineering and Computer Science at the Massachusetts Institute of Technology in 1974, where he is currently Professor of Electrical Engineering. He graduated from the Stevens Institute of Technology (with high honor) in 1969, and received the M.Phil. and Ph.D. degrees in physics in 1971 and 1974, respectively, from Yale University.

.Professor Warde's current research activities are centered on the development of: (1) compact optoelectronic neural network co-processors for brain-like computing, (2) imaging multispectral-polarimetric sensors, (3) light modulators for optical switching and projection displays based on micro-electro-mechanical-systems (MEMS), and (4) high-resolution adaptive wavefront phase compensation systems for imaging and optical communications. He has published over one-hundred-fifty technical papers on optical materials, devices and systems, and he is the holder of twelve patents on spatial light modulators, displays and optical information processing systems.

As an entrepreneur, Dr. Warde founded Optron Systems, Inc. in 1982, and then in 1999 co-founded Radiant Images, Inc. Radiant Images was subsequently acquired by the Hoya Corporation of Japan in 2004. Radiant Images was a manufacturer of transparent liquid-crystal microdisplays for use in display eyeglasses, compact computer projectors and TV monitors, and cellular phones and digital cameras.

   Dr. Warde is a fellow of the Optical Society of America, and an Associate Editor of the Journal of Display Technology. He has spent sabbaticals as a Visiting Professor at the University of California (San Diego), Alabama A & M University, Universidad Carlos III de Madrid, and the Barbados and Trinidad campuses of the University of the West Indies. Previously, he served as a member of the Board of Trustees of Stevens Institute of Technology.

2010年3月27日土曜日

これがギネスブックに載っている32歳眼科医の正体:Baramurali K. Ambati博士(ユタ大学医学部眼科及び視覚科学准教授)

今のHOYA株式会社の社外取締役は「仲良しクラブ化」していて、株主の利益を十分に考慮しているとは言えないと断言できます。私が疑問に思う最大の理由は、ペンタックスの買収資金1500億円があれば、眼科新薬の候補などをその3分の1でも買うことができたのではないかということ。眼内レンズと組み合わせて、北米で会社の市場での地位を急速に上げていくべきです。
そのために、インド生まれでアメリカで育ち、17歳で医学博士を取得した神童で、ギネスブック記録保持者のバラムラリ・クリシュナ・アンバッティ博士(ユタ大学医学部眼科及び視覚科学准教授兼角膜研究部門長)をHOYA株式会社の社外取締役にして、新しい日本の資本市場の流れを作りたいとおもいます。機関投資家、個人投資家を含む、皆様のご助力を、ぜひともお願いします。1兆円市場である加齢黄班変性症の研究分野でも第一人者となっている人です。お兄さんも眼科医の研究者ですが。加齢変性症の薬を他社に先駆けて市場に出せば、北米と世界の眼科市場を席巻できます。眼科は高齢化に伴い急成長している分野なのに、経営陣はどぶに金を捨てるような投資の失敗ばかり繰り返して、何もできていません。今こそ変革を求めるときです。


Dr. Balamurali Krishna Ambati(University of Utah, Associate Professor of Ophthalmology and Visual Sciences & Director of Corneal Research at the University of Utah School of Medicine)

冬のソルトレーク・シティーで私自身が昨年12月に撮影した写真もあります。