2008年7月31日木曜日

自国民が他国に誘拐されたら、軍事行動を!

私は日本人として生まれ、日本で育ちましたが、海外での生活も経験しました。その中で感じることとしては、もしアメリカで、例えばカリフォルニアの海岸から、他国の政府により組織的に多くの自国民が誘拐されたら、おそらく軍事行動を起こして、自国民を取り戻すであろうと考えます。これはおそらくイギリスでも、同じことです(100年以上も前に生麦事件にて、すでにその点は確認されています)。

日本政府も、数十人の自国民が、他国により組織的に拉致、誘拐されたら、同様の軍事行動を起こして、自国民の安定した生活を取りかえすべきです。

日本政府は、生麦事件時のイギリス政府よりも、遅れているといえます。

2008年7月29日火曜日

社外取締役が諸悪の根源(2)

ふと当たり前のことを考えていただきたいのですが、形式的に社外取締役を置けばすぐれたガバナンスになるというのは、笑止千万の理屈です。損失隠しを行っていたエンロンでさえ、社外取締役はいましたし、KKRが買収する前に放漫経営であったとされるナビスコでは、CEOが社外役員にベネフィットを与えることで、実質的にコントロールしていたわけです。

社外取締役を過半数にして、委員会設置会社にすれば、ガバナンスが良くなるというのは、まったくの誤解です。株価の推移を見れば、それも明らかなはずなのです。

エンロンにしても、社外取締役は約14億円の賠償金支払いに応じています。「ペンタックスの従業員の過半が合併に賛成」などということを理由にして、株主利益に反する判断に賛成した社外取締役は、本当はすぐに役員会から追放されるべきでしょう。そうならないのが、「取締役会の仲良しクラブ化」の証拠です。本当は、個人株主が怒るべきなのです。 

2008年7月26日土曜日

社外取締役が諸悪の根源(1)

HOYAの取締役会は、すぐれたガバナンスにあらず」 (2008年7月20日)の記事の要約です。

①社外取締役が多数からなるHOYAの取締役会は、株主の代理人としての監督機能をまったく果たしておらず、2年間で株価の55%下落を招いた。問題の本質は、株主利益とは何かということと、事業内容について、まったく理解していない社外役員による役員会の仲良しクラブ化である。

②創業メンバーの日比良一常務らが役員会にいた、70年代80年代こそ、事業開発に真剣に取り組み成果を出した、まともな経営が行われていた時期であり、現在のほとんどすべての主力事業が創出された。

③90年代後半以降のお粗末な経営は、80年代末までに創出された事業があまりにすぐれていたために、既存事業の成長鈍化が明確になったここ2年くらいまでは、外から見えにくかったというのが真相。

④すでに機関投資家は投資家として離れる傾向にあり、本質的な変化がないのであれば、「HOYA株主の失われた8年」は「失われた15年」や「失われた20年」になってしまうだろう。

2008年7月20日日曜日

HOYAの取締役会は、すぐれたガバナンスにあらず

従来HOYAの取締役会は、社外役員制度や委員会設置会社形態をいち早く導入し、先進的な企業統治であるといわれてきました。一方で、まさにそのように言われるようになってきた2000年代(2000年から、この2008年まで)で、なぜまったく株価が上昇していないのか、今年の1月に株価の急落(より広い意味では2年間で55%の株価下落であり、日経平均すら大きく下回っている)を招く結果となったのかということに関して、私の見解を述べておきたいと思います(一部はすでに今まで私が表明してきたことと重複しますが、ご了承いただきたいと思います)。

すでに述べてきたように、HOYAがROAの高い企業になれたのは、いくつかの偶然もあり、70年代初頭に硝子(がらす)研磨の技術を手に入れることができたからです。もしこの技術を手に入れたのが、ほかのガラスの会社(例えば旭硝子、日本板硝子、山村硝子、コーニング、ピルキントン、ショット、ザイス)であり、手に入れた会社がそれに基づいて継続的な技術研究開発、製品開発を行っていたら、HOYAではない別の会社が、半導体の製造工程で使われるマスクブランクスやHDD用ガラス磁気ディスク基盤などの市場における主要プレーヤーになっていたでしょう。もちろん潜在的に優れた技術をせっかく手に入れても、きちんと開発を行わなければ高収益事業には育たないので、70年代、80年代の保谷硝子の会社経営は、相対的には優れていたといえると思います。

この時代に社外取締役などはおらず、経営の意思決定である取締役会は、鈴木哲夫社長(当時、以下同じ)のほか、日比良一常務(私の祖父である山中茂氏とその兄である山中正一氏の甥(兄弟の姉妹の息子)、鈴木哲夫氏の義理の従兄弟)が関与しており、仮に社長の意思決定や日々の事業執行がおかしければ、創業家の株主兼役員が声をあげたであろうと思いますし、彼ら以外にも創業時代から苦労して会社を一緒にやってきた人が多くいましたから、会社のそれぞれの事業の内容や技術などもよく理解していました。そういったチェック・アンド・バランスが、ある程度良く働いていたのです。

すでに述べたように、ガラス磁気ディスク基板、マスクブランクス、フォトマスク、オプティクスなどの現在の高収益事業は、80年代末までに製品開発されて創出されたものであり、90年代半ば以降はなんら実効性のある新事業が創出された実績がありません。

ところが、90年代以降創業時からのメンバーである日比良一氏らは老齢化したこともあり経営の一線からは退き、社外役員制度なるものが導入されていきます。椎名武雄さん、茂木友三郎さん、河野栄子さん、塙義一さんら、別の会社で著名な方々が役員になるという構成になりました。90年代末、2000年代になって、やれ先進的なガバナンスだの宣伝されるようになったまさにこの時期が、私のいう「HOYA株主の失われた8年」という、株主価値がまったく創出されない期間と重なるのです。いったい何が問題だったのでしょう。

①現在の社外役員は、材料科学や眼科の領域のビジネスについては、まったくもって不案内であるし、80年代までの取締役であった日比良一氏らとは対称的に、HOYAの事業内容について、まったく理解していません。

②金融の自由化、国際化とともに、現在の株主利益を最優先とする経営がどういうものであるかについて、現在の取締役諸氏は、きちんと理解しているとはいえないと思います。社外役員最年少の河野氏を除くと、現在の社外役員諸氏は70歳以上であり、彼らの経験則と、現代の株主のほうを向いた経営とは、残念ながら、齟齬が発生してしまっているのではないかと思われるのです。だからこそ、普通に訓練をうけた人ならば、HOYA株主に多大な損害を与えるだろうことが簡単に予期できるにもかかわらず、「ペンタックスの従業員の過半がHOYAとの合併に賛成」などということを根拠に、株主価値を破壊する決定に賛成してしまったのでしょう。

③社外役員の中には、HOYA株をまったく所有していない方もおり、(無能な経営陣を排除して)株価を上げよう(少なくとも下落を防ごう)という金銭的な誘引が、ほとんどない。所有していたとしてもきわめて少数である(経済記者の牧野洋氏がかつて上げていた論点)。

④社外役員は、経営陣が無能でも、執行を行う社内の役員を解任する動機を持っていない。

⑤日比良一氏がもっていたような、会社に対する強い愛着などを、外部の役員は持ち合わせていない。

客観的にいって、90年代後半以降にの経営はかなりお粗末です。シリコンバレーで技術を買うなどといって行った投資活動は、すべて破産していますし、このままいくと近い将来株価が急落するということが分かっていなくてはならないのに、株主価値を増加させるような買収や事業開発をまったく行えませんでした。そうであるにも関わらず、取締役会がなにもしてこなかったのは、役員会の仲良しクラブ化、まともな企業統治の不在といわざるを得ないのです。

なお、私のある上場企業の経営者の親族(注:父方親族ではない)は、こういった現状を踏まえ、HOYAの取締役会を、「最悪の取締役会構成」と呼んでいましたし、別の人は、社外取締役のことを「売名行為」「お小遣い稼ぎ」などと揶揄していました。

補足:日比良一氏は、終戦直後の保谷硝子(当時の社名は保谷陶器製造所、軍事工場であったことを隠すため、社名も変え、戦時中の経営者は表には出さないためです)の社長をしていました。当然ながら鈴木哲夫氏よりも社歴は長く、祖父が倒れたときの第一の社長候補でした。その日比氏は、日比氏の別荘での一族で会議の上、社長就任を辞退し、鈴木哲夫氏に社長を譲ったのでした。そういった歴史があるのです。

2008年7月19日土曜日

7月15日記事に関しての追加

今こそ庶民版アクティビスト・ファンドの設立を!』(2008年7月15日)の記事において、 「海外の金持ちのお金である外国籍のファンド」という表現をしましたが、いくつか指摘を受けたので、コメントをしておきます。

チルドレンズ・インベストメント(TCI)は少なくとも数年前までエール大学の大学基金が運用対象にしていたことが公表されていますので、運用益が学部生の授業料免除の奨学金(あるいは日本人大学生の授業料免除や生活費補助の費用)に使われたりすることもあるでしょうから、その場合は経済的に必ずしも裕福でない人へも、恩恵が行き渡ることとなります。

最近は、日本の生命保険会社なども、海外の代替投資に投資を行っているので、例えば日本の保険会社が運用益を得ていたとすると、日本の保険契約者に恩恵があったということにもなります。

あくまで「海外の金持ちのお金である外国籍のファンド」というのは、一般に抱かれてしまっているイメージについて述べた表現(つまり実態を必ずしもあらわしていない)であることを、お断りしておきます。

2008年7月15日火曜日

今こそ庶民版アクティビスト・ファンドの設立を!

私は海外から日本を眺めるという立場に長らくいましたが、日本に必要なのは庶民版アクティビスト・ファンドだと確信しています。

高度成長期、あるいは少なくとも80年代までの日本経済は、右肩上がりの成長を続けていました。したがって、さして能力がなくとも、会社は経済全体の上昇率程度には、成長できていたので、現在の日本の上場企業の経営者の多くは、株主にとっての価値を増やす経営を行う能力や自覚に乏しく、潜在的に上手に経営すれば価値を大きく増やせる会社でも、そのような経営者が経営すると、大きく伸びるということはなくなってしまいます。したがって今でさえ、現金や不動産を多数保有しているにもかかわらず、株価が低く放置されている会社が多くあるのです。

スティール・パートナーズやチルドレンズ・インベストメント(TCI)といった投資ファンドは、このような環境下で低く放置されている会社の株を買い、経営陣に圧力をかけることで、保有株式の価値の増加を狙います。このような投資戦略に、世界からお金が集まるのは、日本の資本市場に、以上のような条件を満たす投資先が多数あるからなのです。

しかしながら、日本の社会の世論としては、このようなファンドに対して嫌悪感のようなものが形成されています。海外の金持ちがわけの分からん運用で日本の企業を責めているというような印象なのでしょう。その上、経済の理屈が分かっていない裁判官が、ブルドックソースのときみたいに、国際的に見て大変違和感のある判決を出す。これは日本社会にとって、大変不幸なことです。 

日本の金融資産の多数は、日本企業の株式で運用されています。したがって、日本企業の業績がこのように低迷していると、年金資金が不足するなど、長期的な国民益という意味で、多大な損害が発生します。企業業績を改善し、日本企業の株価を上げるには、無能な経営者の更迭する必要があり、そのためには、アクティビストが活躍する必要があるのです。

海外の金持ちのお金である外国籍のファンドが、日本企業を責めているというのではなく、サラリーマン所帯のお金の集合体からなる投資資金を運用する担当者が、非効率な経営をしている会社の株主になり、議決権行使などで会社と無能な経営陣を変えていく。これならば、日本社会の世論も、アクティビストを受け入れるのではないでしょうか。

2008年7月10日木曜日

戸塚洋二氏の死去に思う

日本の誇るノーベル物理学賞の有力候補であった、戸塚洋二氏が亡くなりました。

物理学者戸塚洋二氏死去=ニュートリノ質量確認-文化勲章受章、前高エネ研機構長
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2008071000436

東大の教授でも世界に通用するような研究を行っていた人は、割合的には多くはないがそれなりの数がいます。彼らは、ハーバード大学などの北米の有力大学の教授にもなりうる人材です。戸塚洋二氏は、その1人でした。

ノーベル賞をとるまえに、亡くなられたことが残念です。