2009年1月31日土曜日

民主党(日本)の天下り根絶法案について

選挙で選ばれた政治家ではなく、官僚が力をもっているというのは、いまいち国際的には分かりにくいです。すでに私がなんどかここでも取り上げた高橋洋一氏(元財務官僚:東洋大学教授)は、政治主導を実現するためには、大臣に5人くらい、官邸に数10人スタッフを入れなければと言う。以下が、高橋氏の説明の中で、興味深いと思われる点。

民主党の「天下り根絶法案」(2007年5月9日提出)では、
①事前規制撤廃:「離職後5年間の営利企業への再就職禁止」を削除
②あっせん禁止:「政府は組織的な再就職あっせんは行わない」
③「肩たたき」の全面禁止
④官民交流センターの禁止
⑤職員の定年を65歳に引き上げ
⑥高年齢職員の給与抑制を検討
⑦年齢に応じた職種の新設を検討

②はいいことで、これをやれば天下りはほとんど終わりになる(④とかは②のおまけ)。給与法を直してないため、⑥が極めて重要。長く官僚組織にいれば、有利になるという仕組みを変えないとだめである。給与法の改正は、GHQも改正に手をつけられなかったという代物である。提案としては、国家戦略スタッフ的な特別な公務員(ハイリスク・ハイリターン的な公務員)を作るべきという。

民主党(日本)の言っていたことを録画しておき、政権を取ったら追求できるように、言質をとっておくべきということだそうです。

2009年1月30日金曜日

オバマ・ガール輸入も検討へ

私は、私が知る限り、「小沢ガール(小沢一郎氏を背景とした東京の様々なシーンで、ボディコンの女性がお尻を振り振りさせるPV)」の最初の提唱者ですが、日本の衆議院選挙を前にして、いまいち盛り上がりが欠けることに不満です。

オバマ大統領の選出の主役は、若年層が政治に興味を持ち、投票を行ったことです。日本でも若い世代の政治意識が高まらなければ、本当の意味での政治変化になりにくいと思います。

そういった意味でも、本家本元のオバマ・ガールAmber Lee Ettinger さん)の日本輸入も検討する時かもしれません。

なお政治ウォッチャーとして、次期衆議院選挙での注目すべき候補のリストを発表したい(本当はこういった特集が週刊誌や新聞であるべきである)と思いますので、ご期待ください。

2009年1月28日水曜日

高橋洋一氏(元財務官僚:東洋大学教授)が、再びビデオニュースに登場:今回だけは皆さんにみていただきたく、高橋氏の議論は卓越しています。

今回の高橋洋一氏東京大学理学部数学科出身の元財務官僚)の番組は、面白すぎます。それにしても日本の主要メディアが取り上げないのが痛い。起こっていること(官僚の既得権を守るために、既に発効している法律を実質的に書き換えるような政令を閣議決定)も、法治国家の体をなさなくなっており、衝撃的です。高橋洋一氏については、私も能力を過小評価していました。 以下、高橋氏の、霞ヶ関改革に関する主張と説明をまとめておきます。 ちなみ以下で指摘されている、今の事務(官僚)方のトップの官房副長官は、警察官僚出身(元警察庁長官)の漆間巌(うるま いわお)氏であります。

高橋氏の説明によれば、大手メディアがまともに報じていない間に、国会で成立した法律の本則に反する行為を、法律よりも下位にある政令で可能にしてしまうというとんでもない事態(官僚による明らかな法律違反:「霞ヶ関のクーデター」(仙谷由人衆議院議員))が起こっており、麻生太郎首相も、何が問題かをまともに認識していないようである。いったいスタンフォード大学LSEで何を勉強していたのかということでもある。結論から言えば、政令で法律をひっくり返せるのならば、法律を立法府である国会で議論する事自体が意味がなくなり、国会議員はいらなくなる。

国家公務員法の改正(安倍政権下)で、省庁による官僚の再就職の斡旋(天下り)が実質的に禁止されたが、総理大臣が「委任する」再就職等監視委員会(新設)が承認した場合に限り、3年間だけは経過措置として、天下りが認められることになっていた。ねじれ国会でこの再就職等監視委員会の人事が進まないため、麻生政権はその間首相に天下りを承認する権限を与える政令を作った。高橋氏によれば、このことは、日銀総裁がいないから、総理大臣が政令で、「自分が日銀総裁を兼務する」といっているのと同じことである。明らかな法律違反なので、事務的な役人は困っているはずであるが、これを上層部が押し切ろうとしている。これら行為には、内閣官房の事務方(内閣官房副長官)には責任があり、民主党政権になれば退職金無しで懲戒免職にすればいいし、斡旋をした時点で、行政訴訟を起こせばかなりの確率で政治側が敗訴すると、高橋氏はいう。少なくとも今までは形式的にも大丈夫な範囲でやっていたわけで、これだけ危ないことを官僚がしているのは、あまりにもレベルが低い。官僚OBに対する、「渡りの斡旋」は、一民間人に対する利益供与なので、公序良俗に反しているし、違法である。法律というのは、ある意味では平等にできている。それを政令に書いてしまったわけ。追い詰められた状況で、官房副長官(霞が関官僚のトップ)が非合理的な判断をしたとしかいえない。事務次官会議も通過している意思決定なので、官僚全体の総意とみなされているはずであるという。

なお、官僚のOB会(民間人)が互助会を作っており、「渡り」を斡旋しているという形式を取り、官僚はそれにはタッチしていないという理屈を取れば、少なくともこんな形式にはなっていなかったはずで、法律違反なので、民主党政権になったら、今の事務次官を全員懲戒処分にすれば良いと、宮台真司氏は主張した。

また管直人氏(民主党)の計画では、近未来の民主党政権下では、大臣の記者会見を官僚の作文読み(しかも従来はこの作文に拘束される)にしないで、会見までにかなり時間をかける合宿をするという。そこで官僚に刷り込まれないように、シンクタンク的な役割を果たす人材をプールするべきである。 だが、大学(アカデミズム)、NGO(NPO)、、シンクタンク、市民活動家、政治家などが、法律的なリテラシーを持っていればよいのだが、日本ではまだそういった人材の蓄積が弱く、霞ヶ関がほぼ独占している。霞が関では、どうやって法律を作るかは重要であるが、これは簡単なようで難しい。「委任する(しなくてはいけない)」と「委任できる(しなくてもいい)」では利権の所在が、まったく変わってしまうというところで、官僚は動いている。これが民間の人材が、霞が関で活躍する時の障害になるという。「てにおは」や政令で霞が関は、利権を守ることができるという。例えば、記者会見を複数会行い、霞が関官僚の作文を読むと、実質言質を取られる形になり、大臣は彼らに誘導されていくという。例えば廃止と統廃合(霞が関用語的には、廃止はしないで統合すれば良いということ)は違うという。したがって、大臣は自分の言葉で話すべきであるという。

秘書官にどういう人を持ってくるかが、政治家の能力。オバマ大統領にしても、すべての事柄を自分で分かっているわけではなく、誰をスタッフに持っていくかという勝負を、基本的にはやっているわけで、優秀な人を連れてこれるかどうかで、それぞれの政治家の能力がわかればいいということである。高橋氏によれば、大臣1人に3人の秘書官で、実効性がある形で、官僚をコントロールすることも可能だという。

マル激トーク・オン・ディマンド 第407回(2009年01月24日)
無法地帯化する霞ヶ関
ゲスト:高橋洋一氏(東洋大学教授)
http://www.videonews.com/on-demand/0401410/000827.php

(以下、引用)
 霞が関の官僚たちは一体何を考えているのだろう。  
 先々週の国会では、麻生首相は、既に発効している法律を実質的に書き換えるような政令を閣議決定したことを野党から厳しく追及され、答えに詰まる場面が、繰り返しテレビで放送された。安部政権下での国家公務員法の改正で、省庁による官僚の再就職の斡旋、すなわち天下りが実質的に禁止され、経過措置として3年間は新設される再就職等監視委員会が承認した場合に限り、天下りが認められることになっていた。しかし、ねじれ国会でこの再就職等監視委員会の人事が進まないのをいいことに、麻生政権はその間首相に天下りを承認する権限を与える政令を作ってしまった。国会で成立した法律の本則に反する行為を、法律よりも下位にある政令で可能にしてしまうというのだ。これは明らかに法律違反であり、「霞ヶ関のクーデター」(仙谷由人衆議院議員)と批判されてもしかたがないほどの暴挙だった。  安倍政権で公務員制度改革を設計した東洋大学の高橋洋一教授は、これを官僚による露骨な天下り禁止法案の切り崩しと説明する。何とか天下りを続けたい官僚たちが、なりふり構わぬ既得権益の防衛に乗り出した結果だというのだ。  
 しかし、官僚の権謀術数を知り尽くしている高橋氏は、「このような露骨なやり方は考えられない」と、官僚が利権維持のために法律違反まで犯すようになったことを嘆く。同じく安倍内閣で行政改革担当大臣として公務員制度改革を断行した渡辺喜美衆議院議員も、この政令の撤回を麻生首相に求めたが受け入れられなかったために、自民党を離党している。
 しかもこの政令には、一旦天下りした公務員OBの再就職を斡旋する、いわゆる「渡り」を容認する条項まで盛り込まれており、官僚たちは麻生政権が迷走を続ける間に、天下りを禁じた改正国家公務員法を完全に骨抜きにするばかりか、どさくさに紛れて、これまで法律で認められていなかった行為までも政令に押し込んでしまったようだ。
 それにしても、なぜ官僚はここまで露骨に権益擁護に乗り出さなければならないのか。これまでも官僚は、官僚にしかわからないような独特な霞ヶ関用語を法案の条文や大臣談話に滑り込ませることで、政治家の決定を骨抜きにするなどして、政治を巧みにコントロールしてきた。しかし、今回の政令のような露骨な手法は、これまで例をみない。
 また、仮に民主党が政権の座についても、霞ヶ関をコントロールできなければ、有効な施策を打つことはできない。若い議員が多く、官僚の手練手管を熟知していない民主党に、官僚支配を打ち破ることができるのか。高橋氏は民主党が政権についた時、今回の政令作成に関わった官僚たちを厳しく処分できるかどうかが、最初の試金石になるとの考えを示す。
 官僚たちは単に公共心を失ってしまったのか。あるいは、世論の突き上げで少しずつ特権を失い、いよいよここまでやらなければ、自分たちの権益を守れなくなってきているということなのか。今、霞ヶ関で何が起きているのかを、官僚の世界を裏の裏まで知り尽くした高橋氏に聞いた。
(途中、渡辺喜美衆議院議員の電話出演あり)

2009年1月21日水曜日

アメリカ大統領選について思う(8):オバマ大統領就任の歴史的な日

昨日(1月20日)ワシントンDCでは、バラク・H・オバマ(Barack H Obama )大統領の就任式でした。これは歴史的な出来事です。

まず何よりも、オバマ大統領が黒人であること。アメリカでは50年前には、黒人と白人が同じバスに乗ることもままなかったのです。8年前でさえ、近いうちに黒人の大統領がアメリカで見られるとはそう簡単には予想できなかったと思います。 もちろんすでに申し上げた(「オバマを選べたのは、ブッシュ政権の貢献」2008年11月5日)ように、これはかなりの程度がブッシュ前大統領の貢献なのですが、

第二に、オバマのミドル・ネームのHについて、これはフセインのHです。イスラム系の名前なのです。バラクというのも、かなりイスラム色のする名前です。政治学者の小室直樹博士は以前、テロ戦争の唯一ともいえる解決策として、アメリカの大統領がイスラム教に改宗することをあげていました。フセインという名前の大統領があらわれたことは、アメリカ史において、それ相応の変化なのです。日本でいうと、蓮舫参議院議員(民主党)や、故新井将敬議員(自民党)やツルネン・マルテイ(Martti Turunen)参議院議員(民主党)が、そのままの民族的出自の名前で首相になるようなものです。

第三に、やはり政治意識の変化があります。今回は若年層が大挙して選挙に行ったのです。アメリカでは、日本と違って、まず選挙人名簿に登録しないと、投票もできないのですが、そこから着実に若年層がオバマ候補に投票したのです。投票率というのは重要で、日本でも、もし投票率70%ならば10年前に政権交代だったのですが。

アメリカ政治の自浄作用が一定あることの証拠であり、なによりも画期的です。もちろんオバマ大統領一人ですべてが解決できるほど、甘くないのですが。ハワイ生まれ、インドネシア育ちのアメリカ大統領に期待します。

2009年1月18日日曜日

オークランドで暴動のニュース

カリフォルニア州オークランド(Oakland)で、暴動のニュース。白人警官による黒人男性の射殺事件に端を発しているものだが、暴動の政治的効果については、いまだにアメリカのような先進国でも、暴動によるチェック&バランス機能が一定存在しているといえると思います。暴動は、警察権力に対する大きな牽制になります。 不必要に射殺しているシーンは、こちらのユーチューブ(Youtube)にも上がっています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090109-00000901-reu-int
米オークランドで黒人射殺事件の抗議が暴徒化、105人逮捕
[サンフランシスコ 8日 ロイター] 米カリフォルニア州オークランドで、警官による黒人男性の射殺事件に抗議するデモが7日夜に行われ、暴徒化した抗議者ら100人以上が逮捕された。これを受け、オークランド市当局も8日、市民に平静を呼び掛けている。

2009年1月13日火曜日

渡辺喜美氏が離党届を提出の件

以下のニュースですが、いよいよ自民党の空中分解の序曲が、はじまってきたように思えます。 渡辺喜美氏は2世議員であることもあって、小選挙区での選挙に強いので、比較的自由に行動できるのですが、そういった恵まれた環境を、政治のために、有効につかってもらいたいと思います。私も陰ながら、応援しています。 渡辺議員が提唱するように、官僚支配から独立した政治のために、国民運動を起こすべきでしょう。

渡辺喜美氏が離党届を提出
http://www.asahi.com/politics/update/0113/TKY200901130179.html
自民党の渡辺喜美・元行革担当相は13日午後、自民党に離党届を提出した。麻生首相に求めていた定額給付金の撤回や、早期の衆院解散・総選挙などが受け入れられなかったとして、定額給付金を含む第2次補正予算案が衆院本会議で同日夜に採決されるのを前に、離党に踏み切ることとした。総選挙をにらんで地方議員や首長らと連携した国民運動を展開し、政界再編に結びつけたい考えだ。

本人の肉声を聞きたい方は、こちらをぜひどうぞ。
プレスクラブ (2009年01月13日)
渡辺喜美衆議院議員 離党表明記者会見
http://www.videonews.com/press-club/0804/000820.php

第359回(2008年02月16日)
官僚の思い通りにはさせない
ゲスト:渡辺喜美氏(金融担当大臣)
http://www.videonews.com/on-demand/0351351360/000762.php

2009年1月5日月曜日

公の志を持つ人へ:アイラ・マガジナー(Ira Magaziner)の記事

日本でも、若い人間の中にでも、今も強く、社会に貢献したいという強い動機付けがある人が少なからずいます。東京大学の学生が就職先を決めるときに、公の社会への貢献を考慮する割合が高いという統計調査もあると聞きました。

でもどうやってその志を実現するかについて、簡単な答えはないということが、10年来問題になっています。90年代後半になって、官僚組織の能力とキャリアパスが崩壊、公務員になっても役所の縄張り争いに巻き込まれて公のことはできないことは明らかになったからです。そのための、ひとつのありうる答えを、以下の人物像を示すことで、提示したいと思います。

アイラ・マガジナー(Ira Magaziner)氏の記事

ブラウン大学在学中に、学生の自由な意思による選択カリキュラムの確立を大学当局と交渉して実現、そのような学生活動を行いながらも、卒業生総代の成績(主席)で卒業し、アメリカの主要新聞に卒業式の主席卒業者の演説が掲載される。オックスフォード大学ローズ奨学金生として留学。ビル・クリントンロバート・ライヒ(クリントン政権労働長官)をはじめとする、後に重要な役割を果たす友人に出会う。

帰国後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のコンサルタントとなり、後に自らの手となるコンサルティング会社であるテレシスを起業する。その間、コーニングボルボワンラボラトリーなどの企業戦略の作成に関わると同時に、スウェーデンアイルランドの産業政策の立案やロードアイランド州マサチューセッツ州ブルックトン市の政策にも重要な役割を果たす。

クリントン政権では、ヒラリー・クリントンとともに医療政策の抜本的な改革案を提示することに主導的な役割を果たすが、失敗に終わった。その後は、コーニングなどへのビジネスコンサルティングを続けながら、クリントン基金の役員となり、途上国のエイズプログラムの改革に取り組んでいる。

2009年1月4日日曜日

2009年元旦に思う、日本社会の問題点

ついに2009年になりました。今年は必ず衆議院選挙があり、民主党政権の誕生が強く期待されます。私は長年の小沢一郎氏の支持者ですから、細川護煕首相時代の連立政権誕生から15年以上たっていますので、今の心境は2004年のボストン・レッドソックス(Boston Redsox)、あるいは最近では2006年の北海道日本ハム・ファイターズの優勝のときの気持ちですね。にわかにファンになった人とは違うのです。私にしてみれば、新生党時代も、新進党時代も、自由党時代も、ずっと応援してきたからこそ、今の期待があるのです。

私は、今の日本社会の問題は、①コーポレート・ガバナンスの不整備(投資家から見た取締役会の機能が国際的にまるで信用されていない)と経営者の株主価値を増加させるという意味から見た相対的な無能力、②政治家の相対的な能力の低さ、③大学の研究や教育の生産性という意味での競争力のなさ、④マスメディアの程度の相対的な低さ、に集約されると考えています。

なお学者にしても経営者にしてもメディアにしても例外ありで、あくまで平均レベルの話です。 いすれにせよ、民主党政権がどのように以上の問題に対応していくかは、非常に興味深い問題です。民主党政権に過剰な期待をするべからず、しかし3回予算編成を非自民政権で行わせることが、非常に重要なのです。