2009年2月20日金曜日

中川昭一財務大臣の辞任騒動で露呈した日本のマスコミに関する分析

中川昭一財務大臣の辞任は、ご本人にとっても、日本経済にとっても、大きな打撃です。中川氏は、対中国外交などで、至極まっとうな意見を述べていたり、行動力もあったりして、自民党の中では期待できる政治家の一人でしたが、今回の一件で、下手すると政治生命自体が失われかねないわけです。ただしより本質的な問題は、本人の資質や自覚とか、麻生太郎首相の任命責任でなくて、財務省の危機管理能力や、マス・メディアの記者を取り巻く問題を、本当は焦点を当てなくてはならないはずです。財政再建派の与謝野馨氏を財務大臣にするために、財務省が仕組んだ罠だとも言われていますが、国益に与えた損害は多大であり、財務省の担当者も辞任して責任を取れということですし、官僚組織というものは、そういうことを平気でやりますね。そもそも「中川昭一財務大臣の辞任で、マス・メディアと財務省の悪を隠蔽するな」です。

記者クラブ制度は諸悪の根源であるのですが、ようやくみんなわかるようになってきたように思えますが、やはりほとんどの人が、主要メディアの報道によって判断するので、まだまだでしょう。以前述べたように、日本のマスコミは、諸悪の根源の一つです。国際的に見ても、かなり異常です。日本では、メディア自体が、利害当事者的な守旧派になっていますから。かなり深刻な問題は、①記者クラブ制度、②クロス・オーナーシップ(Cross Ownership:新聞社・放送局の間の株式の持ちあい)、③再販制度(再販売価格維持制度)、です。

①は、論外といえます。これに立ち向かって選挙で敗れたのは、田中康夫参議院議員(前長野県知事:新党日本代表)です。ちなみに石原慎太郎都知事は、記者クラブ主催でいつも会見しています。真の改革者は、誰かという話です。田中康夫氏のウィキペディア記事の該当箇所を引用しておきましょう。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%BA%B7%E5%A4%AB
脱記者クラブ宣言 「大手マスコミの情報独占を止めさせるため」として打ち出し、記者クラブに加盟できない多くのジャーナリストや外国メディア、雑誌から賞賛された。しかし、これにより既成権益(記者会見への出席独占だけでなく、記者クラブ事務所、およびその光熱費の提供が得られる)を守ろうとする新聞社をはじめとする大手マスコミから激しく非難され、読売新聞信濃毎日新聞などの県内外の大手マスコミとの確執を生むきっかけとなった。常に記者クラブを利権談合の頂点と指摘していた親田中派のコラムニスト勝谷誠彦は「登場した時は万歳と持ち上げておいて、記者クラブの利権が奪われると分かった途端に反田中派になって極端なネガティブキャンペーンにより落選に追い込んだ」と大手マスコミ、特に顕著だった信濃毎日新聞の姿勢を痛烈に非難した。 

岡田克也民主党副代表は、今も記者クラブ所属以外のメディアの記者(海外メディアや週刊誌記者、フリーランス記者)にも会見を開いていますし、小沢一郎民主党代表も新生党代表幹事時代には、同様の試みを行っていました。だいたい大手新聞社やテレビ局自体が、報道の自由と反することをやっているわけですから、何をいわんやです。 利権談合共産主義(勝谷誠彦氏)そのものです。勝谷誠彦氏や上杉隆氏の書いたものに、①の罪悪については多くが書かれています。

②は従来は、アメリカでさえ、放送局と新聞について、規制されていました。
③については、三輪芳郎教授(東京大学経済学部:産業組織論。ちなみに私の東大4年間の在学中に、私にC(可)の成績をつけた4人しかいない教官の一人)が、10年以上も前に問題を指摘して、奇妙な猛反発を受けました。主張はごくまっとうだと思われます。ご本人のホームページも、ぜひご覧下さい。

なお三輪氏は、日本における社外取締役の有用性についても、正当な議論をしています。なにしろ某会社では、「ペンタックスの従業員の過半数が(HOYAとの)合併に賛成」で、HOYA株主に多大な損害を与えた合併に賛同した通産官僚OBが、今も月一回勤務で推定1000万円もらっていますから。 まともな学者が、東京大学にもいたのか、と、改めて思い知らされます。

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