2011年8月7日日曜日

HOYA株式会社の株主提案の成果

HOYA株式会社の株主提案の成果

2009年 丹治宏彰氏の解任議案の提出(株主総会前に丹治宏彰氏は技術担当者から退任した)
2010年 15議案の株主提案(決議取消を東京高等裁判所で係争中)
2011年 20議案の株主提案(決議取消を東京地方裁判所で係争中)

2009年株主提案の成果
10年近くの間、研究開発にまったく成果のなかった丹治宏彰氏の最高技術責任者からの交代(なお丹治宏彰氏はその後1年間だけ企画担当執行役と横滑りし、2010年6月18日に執行役からも退任)。なお会社は一方的に不記載とする文書を送付してきた。

2010年株主提案の成果
株主提案の説明文字数増加の議案の実質化(2010年8月に株式取扱規則の改定により形式上は実現。ただし会社側は一方的に説明理由の削除等を行っている)
執行役を交えない経営会議をやっていると表明している(2011年6月の株主総会参考資料)

2011年株主総会での成果
年齢が40代の取締役候補も含む取締役候補者の選任を表明せざるを得なくなったこと
社外取締役の再任回数9回までの制限の明確化(議長答弁を引き出すことに成功)
取締役会仲良しクラブ化の象徴である椎名武雄氏の退任(2011年6月21日株主総会で実現)

その他全体的な成果
個人による株主提案がポジティブに社会的に評価されるようになったこと(2011年6月のみずほFGに対する株主提案が、国内の投資家からも高い支持を集めるようになった。東京電力の株主総会の社会問題化)
委員会設置会社の企業統治の問題点の指摘
投資家による議決権行使の問題が注目されるようになり、国会(衆議院財政金融委員会)でも取り上げられるようになったこと

2011年7月23日土曜日

日本版ERISA法制定の必要性と議決権行使について

以下、日本版ERISA法(従業員退職所得保障法)の概略を提示します。なお本件に関して助言を受けたい政策担当者(当然ながら衆参の国会議員も含む)は、ぜひ小生の電子メール(yy2248[at]columbia.edu [at]を@に変えてください)まで、ご遠慮なくご連絡ください。

     日本版ERISA法制定の必要性と議決権行使について

国民の最大の政治的関心事は、年金問題である。日本人の年金資産のかなりの部分が日本株等で運用されていることを考慮すると、労働者・年金受給者の受益権の保護を明文化し、資本市場の効率化を行う政策を採用することが、極めて重要である。

また、年金受託者(運用会社等)に対して、受益者の利益になるための株主総会での議決権行使を義務付けることが重要だと考える。日本の富を増やす構造改革のための、社会的なインフラ整備の一環である。

1. 現状

大前提として、日本の株式市場は、過去10年間あるいは20年間で、先進国中最低のパフォーマンスを記録しているという事実が存在する。年金の少なからぬ部分が日本株で運用されている現実を考えると、日本の株式市場(=資本市場)を活性化することは、日本人の年金資産を守り増やすために、非常に重要なことである。このため、日本の株式市場に於いて、経営者や取締役が株主の利益を考慮して行動する様な規律を導入することが、決定的に重要である。
しかしながら、米国に於いては、後述のように、年金資産の運用に於いて、その保有株式の議決権行使のガイドラインが受託者責任の観点から厳格に定められているのに対して、日本に於いては、法令上の規定は存在しない。

2. 日本版ERISA法の制定

従って、日本版ERISA法を制定する必要がある。
内容は、米国版ERISA法(後述)と同様なものが望ましいが、日本に特有の問題として、生命保険会社の一般勘定の存在がある。一般勘定資産も、その運用成果次第で保険契約者の受取る配当が異なってくるという点に於いては、年金資産と同様な性格を持つと言える。しかしながら、現実には、一般勘定の資産を用いて生命保険会社が行っている株式投資に於いては、生命保険会社はそれらの株式を基本的には政策投資として扱っており、契約者の利益は無視されているのが実情である。従って、日本版ERISA法の制定に際しては、生命保険会社の一般勘定もその対象に含めることが必要である。

3. ERISA法とは

米国で1974年に制定された従業員退職所得保証法(ERISA:Employee Retirement Income Security Act of 1974)の通称。企業の退職給付制度を包括的に規制する連邦法。
受給権の保護を最大の目的としている。具体的内容として、加入資格・受給権付与の基準、情報の開示、最低積立基準の設定、受託者責任の明確化と強化、制度終了保険などが導入された。

4. ERISA法で定める受託者責任について

ERISA法第404条に於いては、受託者の忠実義務を以下の様に定めている。

(1)(前略)受託者(fiduciary)はもっぱら加入員および受益者の利益のために以下のように、制度に関する義務を果たさなければならない。
(A)下記のみを目的とすること
(ⅰ)加入員および受益者に給付を行うこと
(ⅱ)制度管理のために合理的な経費を支出すること
(B)当該状況下で、同様の立場で行動し同様の事項に精通している思慮深い人(a prudent man)が同様の性格および目的を有する事業の運営にあたり行使するであろう注意、技量、思慮深さおよび勤勉さ(the care, skill, prudence, and diligence)を用いること。
(以下略)

5. 受託者責任と議決権行使の関係について

ERISA法で定める受託者の忠実義務に、年金資産で保有する株式の議決権を適正に行使することも含まれることが、1988年に化粧品大手エイボンの年金基金の受託者に対して米労働省から出された所謂「エイボン・レター」に於いて明確化された。エイボン・レターのポイントは以下の通りである。

①議決権行使と受託者責任との関係
・年金基金が保有する株式の議決権の行使は、受託者がなすべき資産運用行為に含まれる。
②議決権行使に関する権限と責任
・投資顧問会社等の運用機関に投資を委任した場合には、もっぱら運用機関議決権
行使の義務と責任を負う。
・ただし、基金規定に明記しておけば、指名受託者(基金規定で定められた責任者)が議決
権行使権限を留保できる。その場合には、指名受託者がその義務と責任を負う。
・指名受託者は投資顧問会社等の運用機関の議決権行使を監視しなければならない。労働省としては、行使、監視の各行為について、(手続きや基準の)文書化・記録の保存が必要と考える。
③議決権行使の基準
・受託者は、思慮深く、もっぱら加入者の利益ために議決権を行使しなければならない。
つまり、投資の価値に影響を与えるであろう要素を考慮して、加入者の退職所得に関する利益を無関係な事項に劣後させてはならない。

参考文献
『企業年金運営のためのエリサ法ガイド』石黒修一著 中央経済社2008年
『年金資産運用のためのエリサ法ガイド』石黒修一著 中央経済社2003年
『エリサ法の政治史 米国企業年金法の黎明期』ジェイムズ・A・ウーテン著 みずほ年金研究所

2011年7月13日水曜日

年金資産の受給権と企業統治の関係

私たちの年金資産の受給権と企業統治の改善には密接な関係があります。

というのも、日本人の年金資産の相当な部分は、日本株で運用されているので、日本株の運用効率を改善することには大きな国民益があり、それを実現するための手段が、企業統治の改善ということになります。
そして日本の機関投資家に議決権行使をもっとまじめにやらせるために、日本版ERISA法(そして日本版エイボンレター)が必要なのです。日本の機関投資家が、役所や経営者の方を向き、年金の受託者の方を向いていないことことが、大問題です。

実は法律を制定しなくても、議決権行使を受託者責任の一環に入れるには、厚生労働大臣の省令でも可能なのかもしれませんが、東京地裁民事8部の天下り体質を考えると、やはり明確に法律で規定しなくてはいけないと感じています。油断は禁物です。

そのための最大の障害は、中川知子氏?ということかもしれませんが、東京地裁民事8部の裁判官や、法務省民事局官僚の、企業法務を行っている事務所への天下りは、その一つの破壊するべき対象なのかもしれませんね。裁判官が裁判所の人事権を持っている方を向いて、判決をゆがめるようなことが公然と行われているような民事8部が、これからも放置されるとは思いません。

なお民主党政権による政権交代の成果について、内閣府令による上場企業における議決権行使結果の開示と報酬個別開示(ただし現状では年間1億円以上のみ)は、遅ればせながらでも積極的に評価するべきです。次は受託者責任を強化するためにも、日本版ERISA法(従業員退職所得保障法)の立法を実現するべきです。みずほFGの政策保有株式の議決権行使に係る株主提案が30%の支持を集めたことは、世の中の流れがそちらへ動いていることを示す一つの結果だと思います。

2011年6月24日金曜日

社外取締役の任期に関する成果:社外取締役の再任回数は原則9回と説明

先日の株主総会で、社外取締役の再任回数は原則が9回であると設定しているとの言質を取りました。小生が平成22年6月18日の総会で指摘している(もし詳細をご覧になりたい方は、東京地裁裁判所の決議取消訴訟の裁判記録をご覧になることをお勧めします)ように、ロンドンの証券取引所のルールでは、「取締役新任時から9年以上経過している場合」には原則として独立性がないと判断されるのですが、言論を持って企業統治を変えていくことができていることは、画期的だと思います。

再任回数の定義は若干不明ですが、就任した後9回再任されるとすると、10年で任期が終了するという意味なのでしょうか?
これに従えば、茂木友三郎は来年までに、河野栄子の再来年までには、原則に従えば、任期を迎えるはずですので、もしこの2人が退任すれば、今回退任していなくなる椎名武雄氏と合わせて、ペンタックス買収時の承認をした取締役は、過半数がいなくなることになります。ちなみに椎名武雄氏がなぜ16年の任期があったのか、不思議であります。椎名氏の存在自体が、取締役会が仲良しクラブ化していたということだと思います。

なお茂木友三郎氏に関しては、議決権行使助言会社3位のの日本プロキシガバナンス研究所(吉岡洋二所長)が去年も再任に反対していますし、議決権行使助言会社世界2位のグラスルイス社も今年は再任に反対しています。本来ならば、より若くて優秀な社外取締役を選任して、自らは身を引くべきでしょう。以前からいっているように、椎名武雄氏や茂木友三郎氏は、日本の社外取締役制度を形骸化させた罪を背負っています。早く自らの罪を認めて、謝罪してもらいたいものです。

昨年の総会で、多くの同世代の株主に、賛同の声を上げていただけたことが、変革の力になっていることを実感しています。発言すれば、変わることができるのですよ。本当にありがとうございました。

HOYA、社外取締役の再任は原則9回と説明=株主総会で 6月21日(火)15時20分配信 時事通信
 光学機器メーカー、HOYA<7741>は21日の株主総会で、議長の鈴木洋最高経営責任者(CEO)が社外取締役の任期について、「再任は原則9回」に制限していることを明らかにした。ただし、取締役全員の合意があれば、引き続き務めることができるとしている。
 今年で在任10年となる茂木友三郎取締役(キッコーマン会長)の再任については、議決権行使助言会社グラス・ルイスが反対意見を表明していた が、選任議案が可決された。
 総会の開催時間は2時間5分で、昨年より33分長かった。会社側が提案した取締役選任など2件は可決。一方、創業家の山中裕氏が提案した取締役 と執行役の報酬個別開示など、株主提案20件は全て否決された。(了)


<参考>(『委員会等設置会社ガイドブック』宍戸善一・広田真一編、日本取締役協会著、2004年東洋経済新報社、109ページから110ページより引用、なお下線部は提案者による)
英国財務報告評議会(FRC)改定統合規範(THE COMBINED CODE OF CORPORATE GOVERNANCE: JULY 2003)
取締役会は、独立性を有していると判断される非業務執行取締役と、年次報告書で特定しなければならない。取締役会は、その非業務執行取締役が、見解と資質において独立しているか否か、取締役会の意思決定に対し相当の影響を及ぼす関係または状況にあるか否かを決定しなければならない。また、取締役会の決定に影響を及ぼすかもしれない関係と状況(以下に定める例を含め)が存在するにもかかわらず、該当取締役が独立性を有すると判断するならば、取締役会はその理由を説明しなければならない。
・過去5年内において会社またはグループ会社の従業員だった者
・過去3年内において、会社と重要な取引関係があったこと(直接のほか、パートナー、株主、取締役、または会社と関係のある法人格の上級従業員としても含む)
・取締役としての報酬、会社のストックオプションまたは業績連動型報酬計画の参加者、会社の年金制度の一員としての支払いのほかに、会社から何らか別の報酬等を受け取っていた、または受け取っている場合
・会社のアドバイザー、取締役、上級従業員と強い親族関係がある場合
・役員の相互持合い、他の会社または法人格も含めて顕著な相互関係がある場合
・主要株主の代表
・取締役新任時から9年以上経過している場合

2011年6月20日月曜日

ゆかしメディアの記事

ゆかしメディアさんに取り上げていただきました。小生のコメントだけ、以下に引用しておきます。

「創業一族の乱」株主提案がなぜ必要か?」(2011年6月20日)

「世代間の不平等をあらためて、30、40代からリーダーを出すこと」と話す。

「日本は株主の権利を強く規定されている割には、株主提案では諸外国と比べて遅れています。株主が取締役会と直接対話できる機会は他にはなく、株主提案をもっと有効に使うべきです」

「日本社会は世代間で、特に30、40代に不平等感が強く、不当に抑圧されているこの世代からリーダーを出したいと思っています。年配者を排除するという意味では決してありません」

「どんなにすごいメジャーリーガーでも、ある年齢からパッタリと打てなくなることがあります。それと同じことだと思います。実際に、米国では30、40代の社長が活躍しています。そのくらいの年齢が経験や気力、体力が最も充実する頃で、(高齢になるほど)世の中の変化に対処できなくなってくるのだから当然です」

「能力のある人が後を継ぐのなら何の問題もありません。しかし、世襲の理由を明確に開示している企業はありません」

「80年代に政治がもっと先のことを考えて対策を講じていれば、今の日本はもっと違っていたでしょう。その時がいいからということではなく、予防という観点から、ダウンサイジングリスクを考えていかなければならないのです。もう、何もかも悪くなって、お金がなくなってからは何もしようがありませんからね」
 
「選挙でもそうですが、株主提案でも、やはり経営陣には声は届くものです」

2011年6月17日金曜日

江間賢二氏(HOYA株式会社最高財務責任者)の居住地に関する重大疑惑

小生は先月5月25日に江間賢二氏に対して、数多くの違法行為を放置しないように、さいたま地裁川越支部に仮処分申請(事件番号平成23年(ヨ)第27号)を行いました。するとまた以前の会社相手の保全事件の代理人である法務省民事局出身の元検事である泰田啓太氏(松尾・桃尾・難波法律事務所)ほかの弁護士が3人も出てこられて、「江間氏は東京の**区に住民票があり、管轄違いである」との主張を、本人の住民票を証拠資料として提出してきました。なお裁判官の勧告に従い、本仮処分申請はさいたま地裁川越支部ではいったん取り下げました。

ただそもそも、江間賢二氏はオランダに常駐していると発表されていたはずで、本人の住民票が東京にあること自体が、住民基本台帳法違反や公正証書原本不実記載罪になるのではないかと思いました。

次に監査委員長の児玉幸治氏(元通産産業省事務次官)に、このような違法な行為があったにもかかわらず、定時株主総会で法令または定款に違反する事実はない旨の報告を行うなという保全の申し立て(事件番号平成23年(ヨ)第276号)を、横浜地方裁判所に行いました。すると児玉氏は社外取締役であるにもかかわらず、また執行役の雇用している泰田啓太氏(元検察官)、脇田未菜子氏(元裁判官)ら、松尾・桃尾・難波法律事務所の代理人で出てきて、「江間氏は生活の本拠地を東京の**区においている」旨の反論を書面でしてきました。

以上には以下のような問題があると思われます。

①江間氏がオランダに在駐しているのならば、東京都に住民票を置くのは住民基本台帳法違反、公正証書原本不実記載罪(最高刑は懲役5年)の疑いがある。なお「公正証書原本等不実記載罪」は,公務員に対し虚偽の申立をして,権利・義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせるという犯罪です。

(公正証書原本不実記載等)
157条1項 公務員に対し虚偽の申立てをして,登記簿,戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ,又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者→ 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金


②以前にオランダに常駐していると日経新聞等が報じている(例えば吉永康樹氏のブログ記事「HOYA1200億円還流」などを参考)のに、江間氏が実は東京を拠点としているのであれば、オランダを実質的に財務拠点としていることでの税制措置を受けていることが覆される可能性がある。このことの租税上の負担額増加は、もし税務否認や追徴課税等が行われれば、数百億円単位である。レピュテーション等のリスクも無視できない。

③以上のような問題があるので、監査委員長の児玉幸治氏が、「江間氏の生活の本拠地は東京」と裁判所で代理人が述べているのは、虚偽の事実を伝えたか、あるいは児玉氏が執行に関する何の監督も行えていないことを明確にしている。

④さらに指摘すれば、江間賢二氏(最高財務責任者・執行役)と児玉幸治氏(社外取締役・監査委員長)の代理人が、同一の弁護士(本件では、泰田啓太氏ら)であることに大きな問題がある。社外取締役が執行役の弁護士とは異なる法律顧問を雇用するという議案を提出していますが、実質執行役も社外取締役も、中川知子氏によって同一の弁護士が代理人として選出されているわけで、監査委員長の保全事件の弁護士が、中川知子氏らが普段使っている弁護士だったら、中川知子氏の違法行為を指摘するでしょうか。監督される側と監督される側が同じ弁護士であるなど、企業統治の観点から見れば、完全な利益相反です。

昨年度の株主提案で適法な議題を取り上げなかったことなどの、中川知子氏らの違法行為、そしてその違法行為を素直に認めて再発防止に心がければいいのに、不正行為をさらに大きい不正行為で隠ぺいしようとする中川知子氏らの行動に、社外取締役らが何の監督の意思も持っていないことが、企業統治の破たんであり、最大の問題だと思います。検事や裁判官などの社会的に重要な立場を経験された弁護士ならば、なおさらその職業的な倫理の重要性を認識していただきたいものですね。言い換えれば、「事件屋に堕ちるな」ということです。

しかし松尾桃尾難波法律事務所ですが、本当にHOYA執行役には弁護士がアドバイスしているんでしょうか。小生には着手金欲しさに事件がわざと揉めるように誘導しているとしか思えないですね。松尾眞弁護士とかいうのは、もはや法律家として危機管理等を論じる資格などないでしょう。

2011年6月12日日曜日

児玉幸治氏(元通商産業省事務次官)はあらゆる公職から退任を

東京電力経済産業省(旧通商産業省)や学会・メディアなどとの癒着が批判の対象になっています。小生は児玉幸治氏(元通商産業省事務次官)がいまだに公然と上場企業の社外取締役などのポストについて、公然と居座っている事実に唖然としています。児玉幸治氏は、あらゆる公職から退任するべきだと思います。

簡単に思いついた理由を考えてみますが。

HOYA株式会社の監査委員長として、ペンタックスの買収を承認したこと、その後の中川知子氏による不正行為の連発に代表される内部統制システムの崩壊に対して、何ら積極的な行動をとらなかったこと。なお平成22年6月の株主総会の株主提案議題を一方的に招集通知に不掲載にしたことについては、本年度の総会では取り上げている議題があるので、平成22年の違法行為を認めたのに等しいですし、児玉氏を相手方とする仮処分申請でもこの点については、泰田啓太氏ら代理人弁護士は何ら書面で反論をしていません。語るに落ちたというべきですし、昨年度の違法行為の存在については、きちんと監査委員長として株主総会で株主に報告するべきです。

東京ドームの監査役として、度重なる死亡事故等の不祥事になんら事前の対策を打てなかったこと。人が死んでも平然としていられる人間性がそもそも大問題。2010年11月に女性従業員が「タワーハッカー」の点検中に指3本を切断する事故、同年12月に「サンダードルフィン」のボルトが落下し、客の小学生が怪我を負う事故、2011年1月に客の男性会社員が「スピニングコースター舞姫」から転落し死亡する事故を相次いで起こしている。かかる重大な事故等が連発しているのは会社としての内部統制の問題、さらに内部統制の構築義務を監督・チェックする義務を負う監査役の責任であって、法的責任だけでなく、道義的な責任は免れないはずです。

③これだけ経済産業省と電力業界の癒着が批判される中、通商産業省の元事務次官を社外取締役にするべきではない。長年霞が関のキャリア官僚として人生の過半を過ごした人材は、株主の観点から独立の社外取締役であるとも認められない。なお児玉氏の天下り先である商工中金は、民業圧迫の存在です。

④そもそも80年代後半に事務次官をやっていたわけですが、少子化対策も先進国最低ですし、彼らの世代の政策が悪かったから、今の日本の低迷があるんじゃないのか?

⑤いわいる天下り、渡りの元官僚です。

まあもう70代後半の年齢ですので、そろそろ後進に地位を譲るべきでしょう。

児玉氏の名誉のために言っておくと、公人的な側面でおやりになってきたことを小生はあまり評価しませんが、普通に接してみれば人のよさそうなおじいさんです。ただ、人のよさそうなおじいさんだけでは、今の難局を乗り越えることはできないのです。いい加減、我慢の限界であるはずです。

2011年6月8日水曜日

株主提案理由の質問は、Yahoo! の掲示板でお受けします。

株主提案理由に関する質問は、以下の掲示板でお受けしますので、ご質問があり、提案者である小生に聞きたい方は、Yahoo!のアカウントを作成したうえで、質問をしてください。

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?action=q&board=7741

もともと株主提案権の立法趣旨は、株主間や株主と取締役のコミュニケーションを行うことにありました。ですから、コミュニケーションができることは、素晴らしいことなのです。

なお会社は、一方的に小生の株主提案の説明理由を削除するなどの行為を行っています。前年度の説明文字数増加議案の多数の株主が示した意思を踏みにじるものであり、断じて認められません。事後的に公開の法廷で争います。ただ椎名武雄氏が自主的に取締役から退任することは、すでに株主提案が成果を上げているという意味では、積極的に評価できると思います。

2011年6月4日土曜日

議員立法機能の上昇が国難克服のカギ

自分自身がヘッジファンドの投資手法を開発しながら、東京地裁民事8部で本人訴訟をやったり、仮処分申請を行ったりする、おそらく比較的希少性の高いであろう様々な体験からつくづく思うのですが、日本の政治経済システムの最大の問題の一つは、立法機能を実質的に霞が関の官僚が独占していることだと思います。

すでに述べたように、法治国家たる日本では、法律の最終的な解釈権は裁判所が持っています。地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所の順に上位に位置づけられますし、私の提起している株主総会決議取消訴訟の最初の担当判事だった福井章代裁判官がなっていた最高裁判所の調査官というポジションは、裁判官のキャリアの中ではエリートコースとされる分野です。彼らは法律の解釈者ですので、「会社が適法な株主提案の議題を株主総会で取り上げなくても、会社が提案した議題・議案の取消事由にはしない」という判決を、いわば解釈で行っているわけです。しかしながら、国会で「会社が適法な株主提案の議題を取り上げなかった場合は、当該株主総会でのすべての決議を取消しとする」という条文を、会社法改正案として衆議院と参議院で可決し、国会で成立させれば、裁判官は従わざるを得ないわけです。従って、私の思い描くような資本市場を作るためには、立法活動は極めて重要なのです。

あまりよく知られていないかもしれませんが、衆議院と参議院にはそれぞれ衆議院法制局参議院法制局があります。国会議員が議員立法をするときには、これら事務局が、他の法律との関係などを含めて対応することになっています。原則立法の事務局ですから、人事という意味では、比較的霞が関からも独立しています。ただし、司法修習の期間に修習生が交流することはあるみたいです。

ところが実際のところ、日本では政府提出の法案がほとんどであり、その作成は霞が関の官僚諸氏が行うわけです。すると霞が関の官僚の行動原理は、基本的には自らの省庁の天下り先の確保ですから、そこのところで徹底的に骨抜きをされるわけです。法務省の法制審議会も同じような機能です。法務省民事局のキャリア官僚(過去に太田洋氏や泰田啓太氏なども所属)などは、東京地裁民事8部の若手裁判官と同じように、企業法務を行う弁護士事務所へのパートナー弁護士としての転身を狙っていたりしますので、少なくとも大多数の国民の利益とは別個の方に目が向いているわけで、それに比べれば、選挙で落とされることにおびえている衆議院議員に権限を与えることは、必要ですばらしいことなんですね。

ただし、国会議員に力を与えるにしても、小沢一郎氏が従来から言っていた国会議員が内閣に100人単位で入るという政治主導の絵は、結局のところ、内閣法や国会法の改正がないので、一切実現していません。政務三役に入れなかった大半の議員の不満がうっ積し、彼らの存在意義が失われるという結果になっただけです。あと二院制の下では、いくら政府や政務三役が決めても、連立内閣や衆参のねじれがある状況だと、複数の党の幹部が一致しないと実際は何も法律が国会を通過して実際の法律にならないという現実もあります。政務三役よりも幹事長室に最終的な権限が集中していたのが、鳩山首相・小沢幹事長時代の民主党政権でしたし、「議員立法の禁止」という党の方針もありました。

以上を踏まえると、おそらく改革にとって肝心要のところは、「霞が関の官僚でない主体が立法を行える仕組み」だと思います。都市部の多くの有権者の支持を受けているみんなの党も、シンクタンクを設立する公約を掲げていましたが、いまだに当該議員立法を提出するには至っていませんし、日本では国会議員に立法機能がほとんどないことが問題としてあります。

私は一つの補完的な案として、地方議会の議員が国会の立法機能をサポートすることの兼職を広範に認めて予算をつけ、そして立法能力で頭角を現した地方議員には、国会議員への道が開かれるというようなシステムが良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

2011年5月31日火曜日

なぜ東京地裁民事8部で株主敗訴の判決が東京高裁で逆転勝訴になるのか

東京地裁の民事8部(通称商事部)ででた株主敗訴の判決が、東京高等裁判所(東京高裁)に控訴されると逆転で勝訴するケースが多々あります。山口三尊先生のレックスホールディングの事件が典型です。原弘産の日本ハウズイングの株主名簿閲覧請求事件もそうですし、同じく山口先生のサイバードもそうです。さすがにカネボウ事件だけは、あまりにひどいケースということで、一審の東京地裁民事8部でも株主勝訴です。確かに地裁レベルでは変な判決は結構ありますが、これだけ勝率に差があるのはなんか変?というのは明らかです。

先日和解した小生の株主提案に関する仮処分事件も、少なくとも債権者(株主側)の一部は認容する決定を出すつもりだったことは、担当の裁判官は口頭で小生に伝えています。あまりにひどいケースは、株主側請求でも認めていますね。なお東京地裁民事8部とほかの裁判所での商事事件でも、勝率が明らかに違うことは判例等を研究していると感じるところでもあります。小生の決議取消訴訟の裁判例と明らかに相反する「否決の決議の取消の利益はある」という判決文を書いたのは、山形地裁の裁判官です。

私の取消訴訟の判決などは、裁判所が明らかに説明義務に関する事実認定を曲げており、異常だといわざるを得ないと思いました。ただ裁判官たちも法律の訓練を伊藤塾などの司法試験予備校等で受けてきた人たちですので、事後的に検証されてぼろくそに言われると自分たちの立身出世にかかわりますから、さすがに「脅迫がない」とか、「適法な株主提案をとりあげなかったことが適法だ」というような意見は言っておらず、「取消事由ではない」といっただけです。この点は、はっきりと裁判での書面を示して、皆さんに判断していただきたいと思います。ただこの裁判は、形式的には原告敗訴ですが、実質的に勝訴です。鈴木洋氏は小生の質問を株主総会の議事録に掲載せずに、「原告は質問権を行使していない」などと述べたかと思うと、福井裁判長から総会当日の録画資料等の提出を求められると、質問したことにはするなど、支離滅裂ぶりを明らかにしています。会社側のめちゃくちゃな株主総会運営と主張を法廷の場で結果的に暴いていますが、最後に裁判官たちは「会社の総会運営方法がめちゃくちゃであっても、株主総会の決議の取り消し事由にはしない」と言っただけですからね。ぜひ訴訟記録を閲覧してみてください。個人的には、正論を貫こうとしていたにみえた福井章代裁判官から大門匡裁判官への変更には納得いきませんが。

それではなぜ東京地裁民事8部の判決が高裁で逆転する傾向にあるのでしょうか?(山口三尊先生はこのような背景を踏まえて、「民事8部は高裁の受付係」といっていました。)

①裁判官の天下りへのインセンティブです。民事8部の裁判官が、大手渉外事務所へのパートナー弁護士へ転身の下心を持つと、会社側に不利な判決を出すとそのような転身に悪影響を及ぼすと考えるみたいですね。法曹の天下りにはまだあまり注目が集まっていないので、これから若林亜紀さんに書いてもらいますので。

代表的なのはこの人(高山祟彦弁護士)ですが。裁判官だった人物が、次に物理的に同じ法廷(民事8部601号法廷)で弁護士として出てくることには、大いなる違和感を持たざるを得ないですが、いかがでしょうか?(以下山口三尊先生ブログより)
(ТМI総合法律事務所)高山祟彦弁護士:元東京地裁商事部の判事として、カネボウ営業譲渡差し止め事件で、株主敗訴の決定を書く。その後弁護士となりシャルレの代理人として、株主と敵対。

また法務省民事局付などというポジションがあり、私の相手方の泰田啓太弁護士(松尾・桃尾・難波法律事務所、当時は検事としてですが)や、山口三尊先生曰く「日本で最も株主の利益を侵害してきた」太田洋弁護士(西村あさひ法律事務所)などがかつて所属しています。この法務省民事局なるものは、法制審議会で御用学者を並べて法務官僚に都合のいい立法とするための局であり、特捜検察と並んで速攻おとり潰しにするべき不要な存在だと思います。政治主導の流れの中で、議員立法を強化する流れからいけば、議員立法をサポートする衆議院や参議院の法制局こそがエリートコースになるべきだと思うのですが。

議員が国民のために働かないのならば、自分で法案の素案を作って各議員の事務所を回るしかありません。今夜、知人と日本版ERISA法の立法をしようという話になりました。

②また日本の商法・会社法では、株主の権利が強く明確に規定されているという点があります。したがって、東京地裁民事8部の裁判官が解釈を捻じ曲げて会社側有利な判決を書いても、高裁の判事は株主の明文上規定された権利をそのまま適用して、逆転判決になることが多いのです。

③一つには裁判官の人事の問題があります。裁判官は任官すると地方の裁判所の判事をやらなければいけないなど、会社法や商法だけやっているわけではありませんし、一方で実務の世界はどんどん進んでいくので、裁判官がどんなに頭がよくて勉強をする気のある人でも、さすがについていけないということはあるのだと思います。裁判官は、日本の霞が関の官僚と同じように、特に専門性がないのですね。保全事件では裁判官と言葉を交わす頻度が高いのですが、(非公開の場ですが)その中で実務の感覚では変な発言を裁判官がすることは結構あります。

④あと③とも関連していますが、会社法と商法の経験が少ないために、民事8部の裁判官は企業法務を担当する大手弁護士事務所と勉強会などと称する交流会をやっています。そんなことが許されるのか、と言いたい。

しかし裁判所は、その権力の構造では、所詮は法律の解釈権を持っているにすぎないので、いくら東京地裁民事8部の裁判官が天下りの方向に目が向いていても、選挙で落とせる国会議員に国会で立法させてしまえば、すべてとは言えないにせよかなりの部分が解決します。やはり「資本市場改革関連法案」の立法活動しかないのでしょう。我々の年金を守るために、市民が立法をする仕組みを作りましょう。

2011年5月30日月曜日

株主提案関係で、取材したい方へ。

取材したい方は、どうぞメールください。
小生の取材申し込み用のメールアドレスは、yy2248[at]columbia.edu です。[at]を@に変えてください。

原則として、過去に失礼な対応をした以外の、すべての取材に答えます。

2011年5月26日木曜日

あるべく企業統治を破壊する中川知子氏(コーポレート企画室ジェネラル・マネージャー)

HOYA株式会社の企業統治の最大の問題点は、社外取締役が企業統治、株主価値の最大化の観点からまったく機能していないことです。日本が何でだめかについての、複合的な構造がそこに読み取れます。

というのも、社外取締役の情報のほとんどが、最高執行役傘下のコーポレート企画室(特に幹部社員の中川知子氏)の作成したものからのみ得られており、なんと昨年度の株主提案に対する反対理由のほとんどが、幹部社員の中川知子氏が作成したものを、浜田宏氏を含む取締役会の構成員が、何の批判もなく掲載したという問題があります。このことは、私の提起した決議取消訴訟の裁判資料からもはっきりと見ることもできます。そもそも適法な株主提案の議題を一方的に落とすことは違法であり、その違法行為を隠蔽するために、さらに違法行為を繰り返すというありさまであり、中川知子氏は鈴木洋氏と共謀して、違法行為を連発していると言えます。

そもそも例の無機EL(ナノ粒子)の研究中止について、監査委員会へ萩原太郎氏と塙義一氏、椎名武雄氏への賠償請求の書面を会社(というか監査委員会事務局)に送付しましたが、これらはすべて中川知子氏の検閲もどきがかかっており、監査委員会委員の取締役へ行く前に、中川氏らが中身を精査するわけですね。このことは、先日の仮処分の審尋の時に、相手方の泰田啓太弁護士(検事出身)がその事実をコメントしていたことからも明らかです。

取締役会反対意見として書かれている「秘密投票で議決権行使は変わらないと考えている」とかは、機関投資家の担当者であれば、当該議案に賛成するかどうかは別として、この取締役会はいったいどうなっているのではないかと思ったと思います。実は形式的に解任権限等を持つ取締役よりも、中川知子氏が主導し、実質的に力を持っていることが大問題なのです。このような仕組みの下では、中川知子氏と鈴木洋氏が不正行為を連発していても、なんら社外取締役がチェックする機能は果たされないわけで、内部統制システムの構築義務にも関連してきます。

結局高橋洋一氏の本とか読んでいても思うんですけれど、情報をコントロールしている人間が権利的には権限がなくても、実質大きな権限を行使しているということがあるんですね。それは内閣であっても、会社であっても変わらないと。大臣に人事権があっても、それを行使するのを妨害しようとしてくるのと似ています。実質的には社外取締役が大きな権限をいても、中川知子氏が決裁している書類しか取締役会や3委員会に行かないのであるから、当然誰が実質的な権限を持っているかという構造になるわけです。だからこそ、中川氏の権限外しになる議案「執行役を交えない経営会議」(ただそのアジェンダを中川氏が決めていればそれも骨抜きに)とか「取締役会だけの執行役が雇用するのとは別の法律顧問の雇用予算」とかの議案を不掲載にするでたらめな法解釈に基づく総会運営をやってこようとしてくるんですね。

というか、そもそも相手方の松尾・桃尾・難波弁護士事務所なども執行役側(というより鈴木洋氏と中川知子氏)のほぼいいなりなんだから、いままでの経緯はいずれこのサイトなどで公開していきますね。あと法的に正当化できる理屈と、株主利益の観点から望ましい理屈は、ずれてくることもあるんですね。

そして以上のような状況なのに、「PIが業界水準より高い」などと言って、取締役選任議案に賛成推奨する議決権行使会社にも大きな問題があると思います。以前ビデオニュースのなかで、宮台真司氏が「なぜ関西電力の経済合理性に反する原発建設計画に、株主が株主代表訴訟などのアクションを取らないのか?」という質問に、飯田哲也氏は「保険会社等には事業を分析する能力がなく、アメリカの議決権行使会社の推奨に従っているだけだ。議決権行使助言会社は、独占企業だから収益的には現状のままでOKとする。」と答えていました。議決権行使助言会社は、会社の分析をする能力や資源が十分にないことを認めたうえで、議決権行使の推奨レポートを発行するべきではないでしょうか?

同世代の方から、数多くの応援メッセージと助言をいただけていることに感謝を申し上げます。
外国人投資家の議決権行使行動と議決権行使助言会社の問題点については、別に記載します。

2011年5月21日土曜日

萩原太郎氏(技術担当執行役)へ提訴請求

2008年7月24日に発表されている「全無機量子ドット・エレクトロルミネッセンス素子研究グループがJJAP論文賞を受賞」の研究成果でもある無機ELに関する研究開発を、2010年春ごろに突如中止していたことが判明しました。この研究グループは、大阪大学の松尾先生の研究室と、科学技術振興機構(略称JST)とのあいだで共同研究していたものであり、非常に高い評価を得ていたのに、突如としてその研究成果である機械等を寄贈してしまうなどの前代未聞の行為を行っています。小生が去年の株主総会で主張したように、萩原太郎氏は早急に退任するべきです。

なお当社においては、執行役候補の取締役会への上程権限が指名委員会にあることから、特に責任のある指名委員長椎名武雄氏と、塙義一氏についても、提訴対象としました。

株主代表訴訟に係る提訴請求書

〒161-8525
東京都新宿区中落合2丁目7番5号
H O Y A 株式会社 監査委員会 御中
H O Y A 株式会社 監査委員会委員長 児玉幸治様
H O Y A 株式会社 監査委員会委員 椎名武雄様
H O Y A 株式会社 監査委員会委員 茂木友三郎様
H O Y A 株式会社 監査委員会委員 小枝至様
H O Y A 株式会社 監査委員会委員 河野栄子様

平成23年5月16日
H O Y A 株式会社 株主 山中 裕

前略 私こと山中裕は、六ヶ月前より引き続き貴社株式を保有する株主である(会社法八百四十七条一項参照)。

 貴社は、2008年度のアニュアルレポートにて、研究開発活動の一つとして、「ナノ粒子」の項目を設け、「ナノ粒子とは、粒径が数ナノメートルの超微小な粒子のことです。金属やセラミクスなどの材料をナノサイズまで小さくすると、その材料の性質が変化し、発光など新しい機能がうまれたりします。HOYAは、さまざまなナノ粒子の分散・表面改質技術の研究に取り組んでおり、これらをうまく組み合わせることで新しい物性をもった複合材料の開発に挑戦しています。今季は高屈折率工学部品や磁気媒体関連分野での応用を目指します」(27ページ)と記載するなど、3年前の時点でも目玉プロジェクトの一つとして宣伝していた無機ELに係る研究開発プロジェクトを、2010年春ごろに一方的に脈絡ない技術経営判断の結果、中止した。 

 当該研究開発は、2008年7月24日の当社プレスリリースでも、「全無機量子ドット・エレクトロルミネッセンス素子研究グループがJJAP論文賞を受賞」などとして、「この度、HOYA株式会社 R&Dセンター QD-EL研究グループ(小林哲 主任研究員、谷由紀研究員)は、川副博司 東京工業大学名誉教授と共著の全無機量子ドット・エレクトロルミネッセンス素子に関する論文が認められ、(社)応用物理学会より第30回(2008年度)応用物理学会論文賞(JJAP論文賞)を受賞することとなりました」と、重要な研究開発活動の成果であるとして、3年弱前の時点でも、投資家に広く公表されている。
さらには係る研究開発の蓄積として社内独自に長年改良を行っていた機械を、大阪大学松尾研究室に、ほぼ無償で寄贈するという暴挙に至っている。当該製造技術等の構成は、二十メートル四方のクリーンルームとカスタムメイドの備品からなり、これらを再び初めから構築しようとすると少なくとも二十億円程度の費用が発生することは明らかである。

 また人材の育成が企業としての主要な競争力の源泉であるにもかかわらず、このような顕著な研究開発の能力を持つ小林哲研究員を、社外(本ケースではサムソン電子)へ転職させ、引き留める積極的な行動も行わなかった。

 以上のような多額の費用を費やしたはずの当該プロジェクトを一方的に中止する等の意思決定については、最低限の分析を行えば、これら意思決定は技術経営の観点から不適切であることは、簡単に理解できたことである。技術開発に何ら成果がないことは、株価を長期低迷させる主因の一つとなっている。このような会社に多大なる損害を与えた執行役(技術担当)の萩原太郎氏の業務執行行為は任務懈怠を始めとする善管注意義務(ないしは忠実義務)に違反する行為と言わざるを得ない。

 加えて、萩原太郎氏が技術担当執行役に就任した平成二十一年六月以降、新規事業に関する技術開発には何ら成果がなく、萩原太郎氏の業務執行行為により発生したこれら投資に関する損害についても、萩原太郎氏は善管注意義務(ないしは忠実義務)違反として損害賠償責任を負うべきである。

 前記、萩原太郎氏の善管注意義務(ないしは忠実義務)違反の結果、発生した貴社に対する損害額は、第一に長年にわたった研究開発の成果であるところの機械を大阪大学にほぼ無償で寄贈した二十億円程度の損害額、第二に当該プロジェクトを継続あるいは少なくとも社外に売却した場合には、機械を除いても、最低でも三十億円程度の金銭的価値を生み出していたと予想されることに係る機会費用であり、合算して総額約五十億円の損害が貴社に対し発生したと認められる。これら算出額は、仮に当該研究開発プロジェクトに少数持分投資した場合には、投資前価値が五十億円程度になることは容易に予想されるうえ、逆に当社が同研究開発活動を買収した場合には百億円以上の費用が発生することを考えれば損害額の下限と言ってもよい。

 さらには、萩原太郎氏が技術担当執行役に就任して以来、光通信部品、3CSiC、微細加工の主要プロジェクトについて何一つ進捗についての成果が見られず、一つも新規技術開発に係る起案がなく、本来新規プロジェクトを起案し新たな事業を起こす事がR%Dセンターのミッションである事を考慮すると職務怠慢とも言える行為であるが、そもそも萩原太郎氏は東京大学の機械工学科(学士)を卒業しており、日産自動車入社後も車のボディーの開発などに主たる時間を費やしていた人物であり、硝子研磨や加工などの材料科学や眼科領域、光学あるいは医療機器(旧ペンタックス内視鏡分野は赤字に転落しているが売り上げはまだ大きい)を主たる事業分野とする当社の技術担当執行役として適格性がないことはもともと明らかである。一般に他社の例を見ても、企業の研究会開発部門の長に任命される者は、①博士の称号(最低でも修士)を有する、②学界や特定の研究機関で顕著な活躍がある、③海外留学経験がある等の条件を満たす必要があるが、萩原太郎氏には、それに匹敵する研究機関での実績や外部研究機関からの賞賛の実績が全く無い。萩原太郎氏が前職で従事していた燃料電池のプロジェクトも、日産自動車で不要となった部門であり、なんら成果もなかった。従って以上のような背景の人物が技術担当執行役として不適切であることは、元社外取締役で日産自動車名誉会長(当時)の塙義一氏であれば容易に理解していたことである。自社で不要となった人材を、自らが社外取締役となる会社に押し付けた背任的行為ともみなすことができる。

 従って、かかる実績の存在しない人物を技術担当執行役として取締役会への推薦を行ったことについて、塙義一氏ならびに指名委員長である椎名武雄氏については、善管注意義務違反、あるいは忠実義務違反が認められることは明らかであり、萩原太郎氏の指名に特に責任のある2名については、最低でも二年分の研究開発費の六十億円の十分の一である六億円程度の賠償責任を負うと解するべきである。
従って、会社法八百四十七条一項に基づき、貴社の技術担当の執行役である萩原太郎氏を被告として約五十億円、塙義一氏と椎名武雄氏については約六億円の損害賠償を請求する訴えを提起することを貴社に対し、請求する。早々

参考
全無機量子ドット・エレクトロルミネッセンス素子研究グループがJJAP論文賞を受賞
2008年7月24日 HOYA株式会社 R&Dセンター
この度、HOYA株式会社 R&Dセンター QD-EL研究グループ(小林 哲 主任研究員、谷 由紀 研究員)は、川副 博司 東京工業大学名誉教授と共著の全無機量子ドット・エレクトロルミネッセンス素子に関する論文1)が認められ、(社)応用物理学会より第30回(2008年度)応用物理学会論文賞(JJAP論文賞)を受賞することとなりました。

受賞対象の論文に著された素子は、その構成部材を全て無機材料とした面状自発光素子(エレクトロルミネッセンス素子: EL素子)です。化学合成手法によるコロイダル量子ドットを発光層の原材料に用いることにより、CRTに比肩する純色の自己発光を実現できることが特徴です。

コロイダル量子ドット: QDは、液相にて化学合成され、表面を界面活性剤有機分子で覆われた、数ナノメートルの直径を有する半導体ナノ結晶であり、極めて色純度の良い高効率の蛍光を発する優れた発光材料として知られています。しかし、その表面に存在する界面活性剤や、QDを分散させる為に用いられる有機溶剤に由来する有機物の存在が、無機材料で構成される発光素子への応用を拒んできました。

QD-EL研究グループは、コロイダルQDから有機物を除去しつつも、QD構造を保存し、高効率純色発光特性を有する半導体発光活性薄膜を比較的低温で形成できる成膜技術を既に開発しています 。この度、二重絶縁層型薄膜EL素子の発光活性層の形成に新成膜技術を応用し、初めて量子ドットからの高純色自発光(電子・正孔の量子閉じ込め準位間発光)に成功いたしました。過酷な環境下でも、全無機構造が高い信頼性をもたらすことが期待できます。また、プラスティック基板を使用することが可能で、さらに全ての電極に透明導電材料を用いることで、フルカラーのフレキシブル透明ディスプレーも構成可能です。今後は、各構成部材の調製を行い、高輝度化のための開発を行っていきます。


本件に関するお問い合わせ:
196-8510 東京都昭島市武蔵野3-3-1
HOYA(株) R&Dセンター
企画部 探索評価 QD-EL担当
liquid@sngw.rdc.hoya.co.jp
----------------------------------------------------------------------------
*1 “Quantum Dot Activated All-inorganic Electroluminescent Device Fabricated Using Solution-Synthesized CdSe/ZnS Nanocrystals” Jpn. J. Appl. Phys. 46, L966 (2007)

2011年5月18日水曜日

祝、椎名武雄氏が取締役退任

小生の株主提案の圧力により、椎名武雄氏がHOYA株式会社の取締役から退任します。遅ればせながらですけれども、株主提案の一つの成果です。今後よりよい企業統治と、取締役会を目指すために、皆様の力もお借りして、戦っていきます。なお小生は、児玉幸治氏と茂木友三郎氏の取締役の不再任をめざす議案も、すでに提出しています。

そもそも9年を超える再任期間を持つ取締役は原則独立性がないというのがイギリス・ロンドンの証券取引所のルールなのです。それが16年というのはあまりに一般的な資本市場の感覚からかい離しているのではないかと。さらに言えば、椎名氏の罪は、児玉幸治氏や茂木友三郎氏などの同世代の人間のみからなる仲良しクラブ的な取締役会を作ったこと、丹治宏彰氏や鈴木洋氏によるR&Dの運営が10年以上の間支離めちゃくちゃなのを一切放置していたこと、さらにペンタックス買収の高み掴みに反対しなかったことです。今後、これらの問題を追及していきたいとかんがえています。

(以下引用)
時事通信 2011/05/10-19:53 椎名氏が社外取締役を退任=HOYA HOYAは10日、社外取締役の椎名武雄氏(日本IBM名誉相談役)が6月21日付で退任すると発表した。日本IBM会長だった1995年6月 に就任し、16年間務めた。後任には麻生太郎元首相の弟で、医療関連事業などを手掛ける麻生(福岡県飯塚市)の麻生泰会長が就任する予定。
 椎名氏ら社外取締役をめぐっては、HOYAの経営陣と「情実的な関係にある」として、創業家株主が6月の株主総会に、退任を求める株主提案を会 社側に提出している。(了)

2011年5月15日日曜日

眼科部門における世界的な再編の動き

(取締役選解任や定款改正議案の多くの議案と関係する記述として、参考してください)

眼科部門における世界的な再編の動き

Alcon社:従来スイスの食品大手ネスレ社の上場子会社であったが、同じくスイスの製薬大手ノバルティス社が、2010年12月にネスレ社から77%の株式を取得している。時価2011年4月時点の総額は約4兆円である。
Bosch Lomb社:2007年に、プライベートエクイティー投資会社であるWarburg Pincus社が$3.67 Billion USDで買収している。
Advanced Medical Optics社:製薬大手のAbbotts Laboratories社が、2009年に$2.8 Billion USDにて買収している。なおAbbott Laboratories社の2011年4月ころの時価総額は、6兆円以上である。
なお眼科分野は、網膜の病気である加齢黄斑変性症が、今後の市場と成長性などを考えると大きく、まだ有望な効果的な治療のための新薬開発の余地がある。一方緑内障に関しては、現状の薬剤の特許が切れるので、当社でもジェネリック医薬品を製造して販売できるようになり、むしろ薬物伝達(Drug Delivery)技術などが差別化要因になるので、当社が優位に事業展開する余地がある。世界的な眼科分野での再編と事業展開の動きに対し、当社経営陣は過去10年間に何もできずに取り残されているのが現状である。提案者が推奨する企業戦略は、Balamurali K. Ambati博士の記述を参考にされたい。

2011年5月12日木曜日

(取締役選解任や定款改正議案の多くの議案と関係する)総括的な提案内容(3)

 また提案者による企業経営の抜本的な改革案を示します。第一に、もっとも資本効率の高い眼科事業に資源を集中的に投下するべきです。特に眼科医薬に対する参入を行い、同業のAlcon社やAbbott Laboratories社が目指しているような、眼内レンズと眼科医薬をクロスセリングするような戦略を取るべきです。なおすでに内視鏡事業は赤字に転落していますので、競争優位は持っていませんので、撤退も視野に入れるべきです。医療分野の中では眼科に関する部門以外には基本的には投資せず、主要なコア事業として眼科領域に特化するべきです。日本のアナリストなどにはあまり認識されていませんが、先進国では高齢化が進み、高齢者に多い緑内障や白内障、加齢黄斑変性症の患者数が年率15%程度で急増していますので、世界の投資家には眼科領域は急成長かつ利益率の高い事業分野だとみなされています。この分野の最大手であるスイスのネスレとノバルティスを主要株主とするAlcon社の時価総額は日本円で約5兆円です。また製薬診断大手であるアボット・ラボラトリー社は主要な眼内レンズメーカーであるAdvanced Medical Optics社を買収することにより、眼内レンズを自らの製品ラインに加えることに成功しています。その他でも、ボシュロム社をPE投資会社のウォーバーグ・ピンカス社が買収するなど、世界的に眼科領域では幅広い再編が起きているにもかかわらず、日本の眼内レンズメーカーである当社だけが、その流れから取り残されているのが実情であります。眼科分野は、すでに眼内レンズメーカーであり、眼科医との強いネットワークと販売力を持つ当社が、眼科医薬を同時に販売するようにあれば、高い事業効率が期待できます。実際に、北米等でAlcon社が圧倒的な収益を誇っているのが、世界で眼科医が必要とする商品である眼科医薬と眼内レンズを同時に供給できる実質唯一の会社であることがあります。そこにすでに製薬会社である大手のAbbott Laboratories社が、第二のアルコンの地位を狙って眼内レンズメーカーを買収して参入してくる結果になってくるわけです。このような世界的な眼科領域での再編にただ1社遅れているのが当社であり、ペンタックス社のような収益性にきわめて劣る会社を1500億円近いコストで買収するならば、加齢黄斑変性症の有望な新薬候補を複数買収するなり、Advanced Medical Optics社を買収していればよい(もし買収していれば資本力のある大手のAbbott社の眼科領域への参入を阻止できたのである)のであり、経営陣と取締役会、及びこの程度の判断をしている取締役選任に賛成推奨している議決権行使助言会社や機関投資家の議決権行使担当者たちの無能は、極まりというべきである。この点に関しての詳細は、17歳で医学博士となった天才的眼科医で、加齢黄斑変性症の研究分野での第一人者でもあるBalamurali K. Ambati博士(ユタ大学准教授)による別途資料を参考にされたいが、現在加齢黄斑変性症は有望な新薬がないが、症状の進行を止めるという程度の効果しかない、抗がん剤の転用であるLucentis(Genentech社が開発)は、1000億円近い売り上げ(製薬事業の売上比の利益率は30%程度だと予想される)をすでに誇っており、また緑内障向けのXalatan(ファイザー社)もいわいる1000億円以上の売り上げを誇るBlockbuster drugであります。加齢黄斑変性症は、より効果的な新薬が開発されれば、市場を席巻できる大いなる可能性を持っているし、緑内障向け新薬は特許切れによりジェネリック医薬品でも販売できるようになります。カメラ事業のような資本効率の悪い分野に再投資を行うのではなく、このような急成長かつ有望な分野に、積極的に投資先を変更して振り分けるべきです。なおこのような業界の詳細について知らなくても、普通に経営学の授業を受けた人間ならば、常識的に眼科部門に再投資するべきだという結論になるとは思いますが。

 第二に、当社の事業開発は、眼科以外では材料科学に特化するべきです。当社の優位性のある経営資源は、ガラス加工及び研磨等の材料科学と眼科領域であり、ペンタックスから引き継いだ光学技術は、キャッシュフローを生むような経営優位性を持っていません。またペンタックス社から引き継いだカメラ事業等は、早期に分社化等を行うべきです。材料科学の領域においては、日本企業はまだまだ世界的にも優位性を持っている事業が他社の例でも数多くあり、当社の80年代までのような事業開発に戻って、真剣に研究開発を行うべきです(以下を参照)。いずれの事業も、ペンタックスのカメラ事業などと比較して、極めて高い営業利益率、資本効率を誇っていることは確実であり、材料科学メーカーの原則に戻るべきであります。もちろん以下の企業の事例は、個々の企業の基盤技術に基づいているのであり、このような基板技術を育成し獲得していくことが経営戦略上、明らかに必要となりますが、このような中長期での材料開発はまさに日本企業が従来から得意としていた経営分野なのであります。

 第三に、クリスタルグラスなどで高い価値を有するブランド価値を最大限活用するための経営戦略をとるべきで、執行役としてChief Brand Officerを置くなどの手段をとるべきです。具体的には、HOYAブランドによる化粧品の販売や、プライベート・エクイティー投資会社との共同によるホテル経営などの運用なども検討するべきだと思います。例えばフランスのクリスタル・メーカーであるバカラ社は、Starwood Capital Groupにより、ハワイのホテル事業を投資家グループと経営するなどの新展開をみせているのであり、世界的にも女性や年配の消費者に高級ブランドイメージとして認知されている当社のブランドとしての経営資源(例えばこのような)を利用して、イタリアやフランス企業のブランドマネージメントにより、多額の付加価値をつけているように、株主利益をさらに増加させる経営展開を行うべきである。
そして以上のような企業戦略を実行するためには、ペンタックス部門のカメラ事業は売却、分社化などの手段により早期に事業をやめるべきで、伝統的な事業領域であるメガネレンズのほか、材料科学と眼科という2つの領域に資本を投入する先を限定するべきです。なお医療用内視鏡事業は、洗浄機を製品として持っていないという致命的な欠陥を有しているうえ、日本国内でほとんどシェアを有しておらず、欧州などに少しだけシェアを持っているだけです。ペンタックス買収は当社の株主価値の増加にとって全く持って意味不明であり、もしペンタックスの医療分野がほしいのであればそれだけ買えばいいのであり、長年赤字を垂れ流しているカメラ事業のような事業を1500億円もの大金を出して買収する経営上の合理性は当時より論理的に考えて全く存在せず、このような判断は論外と言えます。また当社は、ガラス磁気ディスク基板に関するメディア事業をウェスタン・デジタル社に売却していますが、この判断により、事業の見通しの表において評価したように、コニカミノルタなどの競合相手から当社から垂直磁気方式等の差別化しうる技術が失われました。しかし関係者の意見としては、メディア売却の選択は、正しいとのことです。なお関係者が何故正しいと言っているかと言うと、「他社と比較し当社は、R&D部門を事業部に持たないため、開発に必要なリソースと開発費・時間を確保できない。メディアの開発には、金と時間が必要であるが、今の当社の体制では、その供給は、期待できないので、開発の先が見えないのであれば、売却して現金化できる時に売却した判断は、まだましということで、正しい選択だ」ということだそうです。また有価証券報告書におけるセグメントわけについて、実質赤字になっている内視鏡部門をライフケア分野に入れて、内視鏡部門が赤字になっている実情を隠蔽する脱法行為もやめるべきです。

 また提案者が従来から退任を要求してきた丹治宏彰氏が、最高技術責任者から退任した後も、これら問題は全く改善されていないか、むしろ実態は悪化しています。提案者は昨年の株主総会で萩原太郎氏の技術担当執行役からの退任を要求していますが、萩原氏には材料科学と眼科領域をコア優位とする当社の技術担当役員として必要な教育的訓練あるいは実務的背景を有していないばかりか、前職の日産自動車での燃料電池開発部門は、カルロス・ゴーン最高経営責任者就任以後の日産自動車の電気自動車に集中するとした戦略から外れて不要になった部門であり、また燃料電池の開発自体も特に成功していません。それ以前に従事していたのは車のボディー開発等であり、研究部門の経験や新規事業の創出実績も持っていないにもかかわらず、このような人物を技術担当役員にすること自体が、指名委員会の機能不全を意味していると思います。例えば3C SiC事業については、10年近く開発を行っているにも関わらず、何ら成果が出ていませんので、すでに終わった事業計画と言われています。またXponent社への資本参加も失敗していますし、ナノインプリントも成果を上げる見通しはなく、生体適合性材料、外径0.8mmの微細ファイバースコープなども、大きな成果を上げる見通しはまったくなく、ナノ粒子、高密度実装基板、Radiant Images社など、すべてが場当たり的な技術開発の結果として失敗しています。これらは、萩原太郎氏が技術担当執行役になって以降、何ら問題点が改善されていないばかりか、むしろ悪化しているとさえ言えます。以上のような問題があるので、研究開発部門を再構築し、M&Aによる企業価値の創出の実務が全く分かっていない鈴木洋氏らによる企業価値を毀損し続ける企業買収や売却を早期にやめさせなければ、株主価値が継続的に破壊され続けますが、現在の社外取締役にはそれを是正する機会が今まであったにもかかわらず、なんら放置しているのが実情なのです。実績のある技術担当執行役候補は残念ながら社内にはほとんどいないのですが、何としてでも研究開発体制を改めて立て直し、事業部の予算としても中長期の競争力維持のための研究予算を配分し、中長期的に材料科学の分野と眼科領域で優位性を持つ事業体に変えなければ、当社の株主に高い利益を配分することはできないと確信します。
これらの問題ある企業統治の現状や、鈴木洋氏らがでたらめな技術経営を行って株主資本を無駄遣いしつづけていることを停止し、さらに企業価値を毀損する企業買収や事業部の売却判断を実行することを阻止するために、現状を改善するにはまず、現在の取締役会と指名委員会から独立した取締役候補である会社法の専門家である溝渕彰氏(香川大学法科大学院准教授)と、眼科分野の専門家であるBalamurali K. Ambati博士(ユタ大学医学部准教授)の2名を取締役会に送り込み、そして企業統治改善に貢献する定款変更議案に賛成するように、株主各位には推奨したい。なお提案者は、取締役会の構成が急速に変わることを懸念する株主がいることを一応は考慮し、解任議案を提出している椎名武雄氏、茂木友三郎氏、児玉幸治氏以外の再任の取締役候補に対して賛成することは特に妨げません。また執行役の中では、鈴木洋氏と萩原太郎氏が特に問題であるためこの2名を執行役から外すべきであり、江間賢二氏と浜田宏氏は当面の間は、問題があるにせよ、当社のまともな後継計画のなさを考慮すると、執行役としては再任されるべきだと考えています。

2011年5月10日火曜日

(取締役選解任や定款改正議案の多くの議案と関係する)総括的な提案内容(2)

実際のところ、当社の指名委員会は全く有効に機能していません。例えば、鈴木哲夫氏の長年の友人である椎名武雄氏(昭和4年(1929年)生まれ)が指名委員長を務めていますが、前年の株主総会で、鈴木洋氏は「社外取締役のサーチは行っているが、良い社外取締役を探してくるのは難しい」と述べています(なお指名委員会の専権事項について権限を持たない執行役を兼ねている取締役が回答していることを、説明義務違反として係争中である)が、例えばアステラス製薬は女性の取締役として大石佳能子氏を、女性の監査役として黒田由貴子氏を、2010年の株主総会に向けて候補として指名していますし、企業が採用活動に一定の資源を使って競争しているように、よい取締役を探してくることも他の企業と競争してでも行うべき指名委員会の業務の一つであり、彼ら取締役が怠慢であること以外の何物でもないとしか言いようがありません。なお社外取締役を探してくるのは指名委員会の専権事項であり、このような質問には説明義務を有する指名委員会の委員が答えるべきである。例えば提案者の先輩である東京大学の卒業生である児玉幸治氏や小枝至氏、あるいは以前の取締役である塙義一氏は、東京大学の女性卒業生の団体である「さつき会」などに自ら接触し、女性の社外取締役を積極的に探せばいいのであり、このような努力をせずに、自らの取締役としての再任だけを狙っているならば、株主に対する背任行為だといわざるを得ません。また17歳で医学博士を取得したギネスブック記録保有者であり、現在の眼科医療研究の第一人者であるBalamurali K.Ambati博士(ユタ大学医学部准教授)を取締役候補にしない積極的な理由を指名委員会は説明されたいと考えています。

また特に、監査委員会も全く機能していません。例えば監査委員会の機能不全については、本来であれば株主が取締役を選び、取締役が執行役を選ぶという本来の委員会設置会社のあり方がある一方で、私を含む株主は直接監査委員会や指名委員会の事務局に接触することができず、すべての連絡が鈴木洋氏の下にいる中川知子という従業員を通じて行わなければいけないようになっています。実際に監査委員会の機能不全はとんでもない事態を発生させています。その一例が、すでに指摘しているように、株主総会決議取消訴訟の発生事実を適時開示せず、株主に隠ぺいしてきたことです。まさに当社元幹部が、「社内と社外が同数になった段階で、社外取締役が結束すれば、社長のクビすら、すげ替えることができるようになった。こうした緊張関係の中で、業務執行に関わらない社外取締役の権限が高まれば、経営者への監視も高まり、コーポレートガバナンスも機能するというのが、制度を導入した哲夫氏の説明です。しかしそれは欺瞞にすぎない気がします。」(「『偽りの米国流』で屈折するHOYA『父子鷹』経営」「ZAITEN」2010年1月号)」42ページ)とコメントしている内容が、すべてを物語っていると考えられます。

まとめると、当社の企業統治の問題点は、コーポレート企画室の中川知子という従業員らが、執行役鈴木洋氏の強い影響力の元で、取締役会(及び指名、報酬、監査の三委員会)のアジェンダ等を設定し、社外取締役らは完全なイエスマンになっていることです。実際に去年の株主総会でも、「秘密投票で投資家の皆様の議決権行使は変わらないと考えている」「ストックオプション保有者のヘッジを制限するのは、財産権の問題」などという、機関投資家の常識などからすれば、浮世離れした取締役会の反対意見を述べていましたが、これは中川知子氏が実質的に作成し、そのまま社外取締役が何の反論もせずに参考書類に掲載したという経緯があります(中川氏本人がドラフトを作成していることを明言していることは、公開の裁判資料でも確認できます)。当社の企業統治の現実はこの程度のものです。なお「そのようなヘッジを行うことは想定できず」などと書いて参考資料に配っていましたが、実際に大株主には、投資銀行がOTCの金融デリバティブを作って売ることもできるのであり、このような実情を踏まえて虚偽の事実を公然と参考書類に掲載して行った決議は、取り消しの対象にすらなりうるものです。当社においては、(例えば賞与の決定や人事権を有する)最高執行役の部下であるコーポレート企画室の幹部社員が、会議のアジェンダや資料作成を行っており、社外取締役らがそれに異議を唱えることはまったくありません。

米国でも最高経営責任者や執行役が実質的に取締役の決定を支配するということが顕著にあり、エンロン事件などの数多くの不祥事が繰り返されてきたために、①最高経営責任者と取締役会議長の分離、②執行役を交えない社外取締役だけの経営会議開催義務、③コーポレート・リーガル・カウンシルとは異なる取締役会のための法律顧問の設置、などが企業統治の専門家によって推奨されるようになっており、これらについての株主提案は米国でも、多数の賛成票を集める傾向にあります。当社においては社外取締役が機能していないのは、鈴木哲夫氏の友人である椎名武雄氏を中心に現在の社外取締役が構成されているからです。そもそも世襲であり教育的にも実績的にも平凡あるいは平均以下である鈴木洋氏を最高経営責任者や最高執行役にしていることが問題なのですが、経営者の後継計画もないし、まさに当社の株価の低迷は企業統治の欠陥から生じたといって認定できる。従って、トップ指名に責任のある椎名武雄氏は少なくとも取締役会から去るべきです。定款変更議案については、機関投資家の方にも見慣れない議案もあると思いますので、丁寧に説明したい。質問については、当方のTwitterアカウント(@yutakayamanaka)や(http://yutakayamanaka.blogspot.com)でも質問を受け付けていますので、そちらも活用いただけるとありがたいと考えている。個人投資家の皆さんと、日本の子供たちに継承していくに誇れるような資本市場を共に作っていければと考えている次第であります。(続く)

2011年5月9日月曜日

(取締役選解任や定款改正議案の多くの議案と関係する)総括的な提案内容(1)

(取締役選解任や定款改正議案の多くの議案と関係する)総括的な提案内容

 今回の株主提案を行うようになった経緯を説明したいと思います。当社はバブル経済崩壊後の日本経済の初期の低迷を尻目に、90年代に株価が約4倍になるなど、この時期より日本の資本市場における代表的な優良企業として認識されるようになる一方で、2003年6月に委員会設置会社の形態を採用し、社外取締役が過半数の取締役会を有しているにも関わらず、2000年代以降、特に2003年以降に、長期的な株価の低迷という現象が観察されます。これは客観的な株価の推移を鑑みるに明らかなことですあり、特に、2010年4月6日現在、当社株価は過去1年でも30%下落していますが、日経平均の下落率は15%にとどまっています。2000年6月株価の終値は2375円であり、現在(4月11日時点)の株価は1700円であるので、株価は中長期的に低迷しています。特に2000年代初頭の株価上昇は、80年代までの事業開発の成果の反映であるとすると、直近5年から6年の株価の低迷は著しいといえます。

 提案者は、なぜ2000年以降に株価ベースで見たときに当社の企業価値が創出されないのか、株価が低迷しているのか、という問題は、最高経営責任者・最高執行役である鈴木洋氏の経営者としての能力の不在や、ペンタックス買収の失敗、過去11年間で一つの新規事業プロジェクトが収益に結びついていないことなどが重要な要因ですが、より根源的には当社の抱える「企業統治の偽装」という問題と密接に関わっていると考えます。すなわち最高執行役がR&Dプロジェクトの創出に関わる意思決定や企業の買収や売却の決定などにおいて、きちんと訓練を受けた職業的ビジネスパーソンならば首をかしげたくなる判断をしても、鈴木洋氏の問題ある意思決定について、やめさせたりする監視機能が全く果たされていないという問題があります。提案者としては、現在の当社の取締役会と指名委員会等が株主価値を最大化させるようにまったく機能していないので、指名委員会と現取締役会から独立した社外取締役候補者を1名ないしは2名を取締役に選任することが、取締役会の監視・監督機能、しいては株主利益に帰すると考えます。

 基本的に2000年以降、あるいは2003年以降に日経平均を下回るような株価の推移を生み出しているのは、新規事業を創出するR&D部門において脈略もない経営方針が10年以上も延々と続けられ、資本の無駄遣いは行われているにも関わらず、社外取締役が提案者からの指摘にも耳を貸さず、まさにこの問題に関心を持たず、介入も行わないということが最も大きいと考えます。もちろんその他の技術経営の問題点、例えばペンタックス買収の失敗やメディア事業の売却等、長期的な株主利益に反するような経営判断がとられることも、株価低迷とは無縁ではありませんし、以上のような問題あるM&A等を執行役、特に鈴木洋最高執行役らが行おうとしても、当社においては、社外取締役や、浜田宏氏、江間賢二氏らが取締役会で異議を唱えることはありませんし、社外取締役らがそういった意思決定に歯止めをかけることもありません。取締役会が機能不全を起こしているといわざるを得ないのであります。さらにとんでもないことに、平成22年6月の株主総会に関する株主総会決議取消訴訟が平成22年9月にはすでに東京地方裁判所に提起されていますが、この訴訟提起の経緯となった株主総会事務局の対応は上場企業として論外だといわざるを得ないのですが、当社は投資家の判断に重大な影響を与えることが確実な本件訴訟発生の事実を一切開示しないという暴挙を行っていますし、提案者が2月に最高技術責任者であった元取締役・前執行役に対する訴訟提起請求の書面の中で、監査委員会に通告しているにもかかわらず、いまだに監査委員会は提案者に対して何の通知も行わずに、そのままになっています。通常、昨今の上場企業の情報開示強化の流れでは、株主総会に関する決議取消訴訟を提起されれば、すぐに適時開示するのが当たり前ですし、他の上場企業、例えば立飛企業が投資家から同様の訴訟提起を受けた時にはすぐに開示しています。また株主提案を受けた場合も同様であり、例えばシャルレでも、すぐに開示を行っています。これら事実関係を鑑みるに、執行役が上場企業を預かる社会的責任感や、法令遵守の意識に乏しいことを表していますし、さらには監査委員会委員の取締役が執行役の不正行為をチェックすることを放棄しているといえると思います。「形を作れども魂入れず」のガバナンス体制を放置していると、企業価値の毀損が継続的に続いて株主価値に重大な影響が発生すると考えています。

 資本市場からの評価が低くなっている理由については、①現在の主力事業の将来性が明るくない、成長性が低く、長期的に減益の可能性すら強い、②新規事業の創出実績がなく、その見通しもない、という2点に集約されることを、提案者は3年前にすでに主張しています(http://www5.atpages.jp/ymnk/top.html を参考)。まず認識として重要な点ですが、当社が資本効率の高い事業を創出することに成功したのは、80年代後半までの研究と事業開発の成果であり、90年代半ば以降は新規事業の創出に全く成功していません。メガネレンズ、ガラス磁気ディスク基板、フォトマスク、マスクブランクス、メガネレンズ、眼内レンズ、コンタクトレンズ小売などの事業はすべて80年代末までの研究開発と事業開発の成果であり、これら80年代末までに開発されたガラス研磨技術等の差別性のある技術に基づいた事業は、参入障壁が高いために、極めて高い資本効率を達成することができました。まさに高い資本効率を達成することができたのは、80年代末までの事業開発の成果であり、「社外取締役が過半数の先進的な企業統治」などはこの高い資本効率の達成とは無関係です。一方で、90年代終わりから2000年代前半までは、既存事業は収益ベースでは成長していたものの、特にガラス磁気ディスク基板の事業は、代替品であるフラッシュ・メモリーが記録媒体として台頭してくることが中長期的には予想できていたことなどから、新規事業の創出が急務であったわけですが、2000年代の取締役は、これら経営課題に対して、何ら手を打てず無能であったわけです(しかも新規事業を創出せずとも、固定の社外取締役報酬を受け取れるので、社外取締役には、この問題に介入するインセンティブを持っていませんでした)。

 このような観点から、提案者はすでに丹治宏彰元取締役、前執行役に対する損害賠償訴訟を起こすことを監査委員会に提起しています。またメディア事業の売却による垂直磁気方式技術の放棄などに伴いガラス磁気ディスク基板事業の優位性は、コスト競争だけとなり、数年以内にコニカミノルタなどの同業他社が同水準の製造コストによる供給能力を持つ見込みであり、当社の主力事業の将来性は誠に暗いといわざるを得ません。また実際のところ、米国法人の責任者であった鈴木洋氏は、90年代後半に自らの主導したすべてのベンチャー投資を実質的に破産、失敗させましたし、実際には何ら新規事業の創出に実績を持っていないにも関わらず、このような能力しか所有していない人物の経営判断に、他の執行役や社外取締役が何ら取締役としての忠実義務や善管注意義務を果たさないということが問題なのです。これら経営に関する問題について、取締役らに再三通告しているにもかかわらず、いまだに何ら問題が改善されておらず、この一点だけ見ても担当執行役だけでなく、すべての取締役に善管注意義務違反、忠実義務違反があると考えています。特に社外取締役らは、「仲良しクラブ」に堕落しており、ダメな日本の資本市場を象徴するような存在に堕ちています。またフォトマスク事業の競争環境も急速に悪化していますし、余剰資金の再投資先が明らかに経営上の課題とされた2000年代以降に経営陣による成果が全くないことも、株価に反映されているというべきでしょう。

 なお鈴木洋氏が判断したでたらめなベンチャー投資が破産しても、財務諸表等では「軽微な影響」などと開示されますが、そういった経営判断の積み重ねが株主価値の毀損を招くのであり、長期的な株式保有を考える投資家に対しては、提案者は特にこの点を警告しておきたいと思います。(続く)

2011年5月6日金曜日

私が株主提案をする理由―日本の資本市場改革の試案も含めて―

東大経済学部の卒業生の団体である経友会の「経友180号」に、小生の原稿が掲載されますので、特に卒業生の方はぜひ一読ください。

私が株主提案をする理由―日本の資本市場改革の試案も含めて―

日本の資本市場が低迷して久しい。中国やインドの株式市場に20年前に投資をしていれば、非常に高いリターンを得ていたし、北米や欧州の資本市場でも基本的には株価は中長期的には上がるものである一方、日本株インデックスだけが20年間の低迷を続けている。

背景に、日本の上場企業における「企業統治の不在」という構造的欠陥がある。日本の上場企業の経営者は、会社の一株当たり価値を上げ、配当またはキャピタルゲインで株主利益に貢献する能力と動機に乏しいし、この点で社外取締役制度が全く機能していない。日本の家計の年金の運用の大きな部分が日本株で行われているということも考えれば、企業統治の改善により株価の上昇を行うことは、国民的利益に直結する。日本版ERISA法(Employment Retirement Income Security Act:従業員退職所得保障法、米国では73年に制定)により、年金運用を行う機関投資家に議決権の行使を義務付けることも急務であると考える。小生は、全米1位の会社法研究者であるLucian Bebchuk教授のもとで、ハーバード大学法科大学院に留学して帰国した溝渕彰准教授(香川大学法科大学院)など、幾人かの同世代の有志とともに、日本版ERISA法制定を目指すささやかな運動も行っている。2009年8月の政権交代に失望する声は多いが、上場企業の年間1億円以上の役員報酬の個別開示と株主総会の議決権行使結果の開示を10年3月の金融庁により内閣府令で決めたことは、政権交代の成果だと評価することができる。

小生は、もともと祖父兄弟が創業したHOYA株式会社(旧保谷硝子)の2010年6月の株主総会に対して株主提案を行った。2011年6月向け総会でも株主提案を行う予定である。我が国の会社法は、一定要件を満たす株主による株主提案による議題や議案を株主総会の招集通知や参考書類に掲載する義務を課している。2010年には役員報酬の個別開示が特に注目されたが、株主提案の議案説明字数を増加させる提案や、執行役を交えない社外取締役だけで経営会議を年1回以上開催する議案も相当高い賛成票を得たことが、相当の話題となった。ストックオプション所有者に対してコールオプションを売却してプットオプションを所有するなどの方法のヘッジを禁止すること、取締役の株式売却の30日前の事前予告と開示を行うことなどの議案も、議決権行使助言会社世界第一位のISS社の賛成推奨を得た。14歳で大学を卒業し17歳でギネスブックに世界最年少の医者として記録されているインド系アメリカ人で世界第一人者の眼科研究者であるBalamurali
K. Ambati博士(ユタ大学医学部准教授:1977年生まれ)を株主提案の取締役候補としたことや、社外取締役の兼任数の制限や、秘密投票、取締役選任議案における累積投票の採用、公益法人の兼任状況の開示、退職した取締役の報酬の開示、社内インサイダーの取締役議席数の制限なども論点に上っており、世界有数の資産運用会社である当社筆頭株主のキャピタル・リサーチから、定款変更議案14議案中10議案に賛成をいただいたことに勇気づけられた。

なぜ株主提案を始めたかと言えば、どう考えてもおかしいことが公然と放置されていると考えたからだ。過半が75歳を超えている社外取締役構成は常識と照らしてもおかしい。取締役会が「仲良しクラブ」に成り下がってしまっていることが悲しい。実際に、当社においては中興の祖と言われる名誉会長の友人が指名委員会委員長を8年も務めているが、彼らの縁故でしか社外取締役を集めていないという点に問題がある。過半数の社外取締役の年齢が75歳以上というのは、欧米の上場企業としても例がない。会議体チームの能力を上げるには、構成員の多様な背景があるほうがいいはずだ。

もし社外取締役の質や能力が会社の価値にとって重要であるならば、取締役選任議案を株主総会に上程する権限を持つ指名委員会は、相当な費用と労力を使ってでも有能な社外取締役を世界から探してくるべきであり、それを怠っているなら、善管管理義務違反として株主代表訴訟の対象にすらなりうるのである。よく社外取締役の良い人材がいないということをいう人がいるが、彼らの社外取締役を探す方法は、取引銀行や取引先、監査法人、弁護士、経営陣の知人などをあたるというものだ。しかし良い人材を採用するのが難しいのは、何も社外取締役だけではなく、人材採用が難しいからといって採用活動を中止する企業はなく、人材が企業価値の源泉の一つだと考えるからこそ、新卒採用や中途採用、経営幹部の採用に企業は相当な労力と費用をかけるべきなのだ。なぜ社外取締役だけが例外なのか(石田猛行「2011年ISS議決権行使助言方針」商事法務3月5日号No.1925に同見解が紹介されているのでぜひ参考にされたい)。そもそも社外取締役の公募だってしてもいいのである。主要政党でさえ、選挙の候補者発掘に公募をする時代である。年配世代は、自分たちが社外取締役養成の学校でも作って、優秀な後進を養成したらどうか。それこそ東京大学の卒業生の社外取締役は、さつき会(東大女子の卒業生の会)にでも赴いて、女性でも優秀な人材を探したらどうか。

社外取締役が執行役側のいいなりになっており、取締役会が「社外取締役も納得したという大義名分を与えるだけの存在」とまで雑誌記事で酷評されるようになっているのは悲しい。委員会設置会社になった2003年以降に特に株価が低迷している。社外取締役は名誉職ではなく、企業価値の上昇のための相当の時間と労力を使って、時には頭脳労働をして、株主価値の増加に真剣になるべきで、他社の最高経営責任者を務める人物が6社も社外役員のポストを兼任し、かつ公益法人のポストを20も兼任したりすることに違和感を覚えるのは小生だけでなく、株主総会当日の質疑でも、若い女性など同世代の複数の株主から同じような疑問が投げかけられていた。当社は80年代までの技術研究開発成果により、日本経済が低迷する90年代に株価が4倍になるなど世界でも有数の高資本効率の材料科学メーカーとなることができた。半導体や液晶パネルの製造に使われるフォトマスクやマスクブランクス、HDD用ガラス基板の事業はほぼ独占ないし寡占であり、高い利益率を誇った。それが2000年代になると、買収失敗や10年間まったく研究開発成果がないことにより、株価が低迷している。高齢化社会の進展により眼科領域は世界的にも高い市場成長率を持っているが、眼内レンズという商品を持っているのに、まったく生かし切れていない。集中と選択により、材料科学と眼科というもともとの事業領域に戻って、今後の戦略を練っていくべきだと考えている。技術開発の失敗の痛手は、日本経済の失われた10年と重なるかのようである。

2010年から独立性のない監査役候補者や委員会設置会社の社外取締役候補者に反対を推奨する議決権行使助言会社のポリシーと相まって、社外役員の独立性が注目されているが、株価のアップサイドを支えるのにおそらく一番重要なことは、取締役個人の利益を株主の利益になるべく一致させるインセンティブ構造を設計することだ。HOYAの例をとってみても、社外取締役は取締役報酬と比べて一部の株式保有しかしておらず、株価を上げるインセンティブに乏しく、それより最高執行役らと仲良くして取締役としての再任を狙うという行動原理をとっていることは明らかだ。米国企業では、取締役は一定の株式を継続的に取得していくことが求められていることが多いし、当社が最も成長した90年代には小生の伯父である会長が他の取締役に個人保証をして積極的に株を買わせていた。日本企業の問題の一つは、経営陣や取締役の自社株保有が少ないこと、株価が下がっても懐はほとんど痛まないので、エイジェンシー・コストが多大に発生しているという問題だ。

実際にアメリカの大リーグの監督はシーズン途中での解任もあるし、競争メカニズムが働いていると解釈できるが、日本で経営トップの解任はほとんどない。本来あるべき競争原理が十分に働いていないことを示している。ただし近年になってオリンパスや日本板硝子、日産自動車など、日本企業でも外国人の経営トップが出てくるようになってきたことは注目してよい。ERISA法が重要なのは、年金受託者となった運用者に株主のための議決権行使を実質義務付ける効果があるからである。なおどこまでが法整備が必要で、どこまでが大臣命令(本ケースでは厚生労働大臣)による省令で可能かは、仲間内でも議論がある。2010年のHOYAの総会での事例でも、米国の機関投資家はERISA法によって議決権行使を義務付けられているので、企業統治を改善することで中長期的株主価値を増加させると見込まれる定款変更議案には賛成票を投じる傾向にあった。一方日本の投資信託などでも近年は受託者責任が強調されているので、議決権行使ガイドラインに従って議決権行使を行うようになってきているが、日本の大手銀行の政策保有株式や企業間の持ち合い株、相互会社となっている生命保険会社や農林系金融機関については、まだまだ遅れているというのが実情だ。日本版ERISA法は、これら課題を一気に改善する可能性のある資本市場のウルトラCであることを、政策担当者になるべく伝えたい。社外取締役の候補者についても、株主価値を増大させる優秀な人材であれば高い給料を払っても株主からみれば何ら不満はないが、無能でやる気のない候補者には、その過去のパフォーマンスに基づいて反対票を投じることもあってしかるべきだ。11年前に米アップルに投資していれば、株価は20倍だ。日本版ERISA法は、健全な競争原理により、日本の上場企業にスティーブ・ジョブズのようなスーパー経営者を一人でも増やすための改革である。

2011年5月5日木曜日

サンテック株主提案

サンテック株式216,000株を保有する株主2名が、同社に対して、以下の株主提案を行った模様あり、世襲の場合の情報開示の議案も提出されました。

1 株主提案の内容(議案の要領)

(1) 第64期利益処分案承認の件

第64期の利益処分案として、1株につき20円の配当を行う。

(2) 自己株式消却及びそれに伴うその他の剰余金の処分の件

保有する自己株式のうち、200万株を消却する。これに伴い、別途積立金を1,000百万円減少させ、繰越利益剰余金を1,000百万円増加させるその他の剰余金の処分を行う。

(3) 取締役2名解任の件

取締役八幡欣也及び取締役八幡信孝を解任する。

(4) 定款一部変更の件(取締役社長の世襲に関する情報の開示義務)

「取締役会が、過去2代に翻って取締役社長を務めた人物の2親等内の親族を取締役社長に選任する場合には、世襲の潜在的批判があるにも拘らず、特にその人物が取締役社長に最適であると判断した理由を株主に開示しなければならない。」という条項を、定款に規定する。

(5) 定款一部変更の件(株主提案権行使の適時開示義務)

「株主総会に向けて株主提案権が行使された場合は、行使されてから1週間以内に株主提案権行使の事実を株主に開示しなければならない。」という条項を、定款に規定する。

(6) 定款一部変更の件(白票を会社側提案については賛成、株主提案については反対とすることの禁止)

「株主総会の議決権行使書面において賛成とも反対とも記載されていない白票については、会社側提案と株主提案で不公平な取り扱いをしてはならない。」という条項を、定款に規定する。



2 提案理由

議案(1)について

当社は、長年に渡り(第53期以降)1株当りの配当額を毎年10円に据え置き続けてきました。第60期・第61期には、各々12円・13円に増配したものの、そのうちの各々2円・3円分は特別配当・記念配当の扱いで、第62期には再度10円に減配しています。普通配当を10円にする事に拘っているとしか思えませんが、この10円という配当金額には、合理的な根拠は皆無であり、「安定配当」の名の下に、長年続けているから、という理由だけでこの配当金額が継続されてきたものと言えます。実際に、株主総会の場でも、あるいは前期までの株主総会参考書類に記載された株主提案に対する取締役会の反対意見に於いても、ただの一度も10円配当に拘泥する定量的な理由が説明された事はありません。
一方、当社の連結ベース(以下、数値は全て連結ベースです。)の1株当り株主資本(評価・換算差額等を含む、以下同じ)は、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点で1,319.58円あるのに対して、市場に於ける株価はこの水準の約1/4という驚くべき低水準にあります。
1株当りの株主資本は、会社の「解散価値」と言えるものです。最悪期は脱したとは言え長引く株式市場の低迷により、1株当りの株主資本を株価が下回っている企業自体は多数あるものの、株価がこの水準の約1/4程度まで低迷している当社のようなケースは、信用不安のある企業、バランスシートに多額の含み損を抱えていると思われる企業(一部の不動産関連企業など)を除けば稀であり、極めて異常な状態です。
当社が、バランスシートに含み損を抱えていたり信用不安がある訳でもないのに、このような異常な低株価に喘いでいる原因としては、当社が、株主から運用を付託された株主資本を有効に活用し、期待される利益を計上する事が出来ていない状態が長年に渡り続いているにもかかわらず、経営陣にこの状態を改善する意思と能力が無いことを市場が察知しているためであると思われます。
一般的な前提に基づき当社の株主資本コストを試算すると、約6%程度であると思われます。3年前の第61回定時株主総会において、当社社長も同内容の答弁を行っています。株主資本コストとは、会社が株主資本を最低この利回りで運用しないと、株主資本の拠出者である株主が損害を被っている、と看做される利回りと言えます。長年に渡り、当社の当期利益の水準は、この株主資本コストを満たす水準(17.5億円程度)を大きく下回り続けており、第64期(平成23年3月期)の会社予想においても同様です。これは、株主資本が過剰であることが原因です。
一方、当社は、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点において、現預金だけでも112億81百万円保有しています。現預金に有価証券9億99百万円、投資有価証券31億45百万円を加えた広義の現金等価物は154億25百万円にも上り、これは株主資本の約55%に相当します。これに加えて、本業とは無関係な投資用の不動産も36億73百万円保有しています。それに対して有利子負債は、短期借入金が3億64百万円存在するのみであり、極めて安定的な財務状況にあると言えます。また、配当原資である利益剰余金も、258億68百万円と膨大です。
当社の業態は、多額の設備投資を必要としない電気工事業であり、現金性の資産を過剰に保有する必然性は極めて低いものと考えられます。
当社取締役会は、第60期の株主提案に対する反対意見の中で、「設備工事業界は(略)工事施工に際して瑕疵担保責任も有しており(略)自己資本の厚さや不測の出費をまかなうだけの手許資金の余裕が極めて重要」であることを増配に反対する理由の1つにあげていますが、単体ベースの完成工事補償引当金は僅か2,100万円に過ぎません(単体ベースの最新のデータである平成22年3月末時点)。広義の現金等価物を154億円も溜め込みながら増配を拒む理由としては、あまりにも荒唐無稽です。しかも、手許に保持すべき資金の具体的な金額についての説明は、株主総会において何度説明を求めても、全くなされていません。また、手元資金の余裕が重要だと言いながら、直ぐには現金化できない投資不動産に多額の投資を行っているのも、矛盾していますし、わざわざ手数料を払って57億円ものコミットメントライン契約を毎年更新し続けている(最新更新日平成23年2月22日)意味がありません。
とは言え、我々提案者は、一部のいわゆる「ハゲタカファンド」のように、保有する現預金を全て株主に還元すべきである、などという極端な主張をするつもりは毛頭ありません。
当社の第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点に於ける自己株式を除いた発行済株式数は2,142万3,000株ですから、1株当り20円の配当を行っても、配当金総額は僅か4億2,846万円に過ぎません。当社が第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点で保有する現預金だけでも、この26倍強ありますし、同じく広義の現金等価物は、この36倍あります。利益剰余金は、この60倍強あります。1株当り20円の配当を行っても当社の財務状況には何らの問題も生じ得ないことは明らかですし、この配当金額は、毎年継続して配当可能な金額であることも明らかです。
株主資本配当率という指標が近年大きな注目を集めており、大手企業などを中心に、株主資本配当率に基づき、配当金額の下限を定める企業が増えてきています。
これは、株主から運用を付託された株主資本に対して、最低でも、ある一定の利回りで配当を行う、という考え方です。会社が高成長の段階にあり、資金需要が豊富な企業には、この考え方は必ずしも最適とは言えませんが、当社は、売上も安定的であり、そのような企業に分類されるとは考えられません。業績の高成長を望めない企業は、株主資本配当率で最低の配当金額を決めるのが妥当だと思われます。
1株あたり20円の配当は、株主資本配当率僅か1.49%の水準に過ぎません。株主は、株価下落リスクを引き受けて投資を行っている訳であり、少なくともリスクの無い国債・社債等の利回りよりも高い株主資本配当率があって然るべきです。会社側の配当予想の10円では、株主資本配当率は僅か0.74%に過ぎず、あまりにも低過ぎます。
なお、従来、株主総会に於いて、社長の八幡氏は、配当金額を上げない理由として、「当期利益を上回る配当はしない主義だ」という趣旨の事を繰り返し述べていましたが、我々提案者は、上述の理由から、この考え方自体が、当社の様に、既に成長段階にはなく、過剰に株主資本を貯め込んでいる上場企業には適切では無いと考えております。また、現実には、1株当たり当期利益が1.60円だった第61期に13円の配当を行い、同じく15.07円だった第62期に10円の配当しか行わないなど、会社自身がこの意味不明な「当期利益ルール」に縛られていない事は明らかです。
また、取締役会が、当株主提案に対する反対理由として、以前リーマンショックを口実にした様に、今回の東北大震災を引き合いに出してくる可能性があるので、事前に釘を差しておくと、前述の様に、当社は多額の設備投資を必要としない電気工事業です。実際、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点に於ける土地を除く固定資産の残高は17億59百万円に過ぎず、前述した当社の株主資本、現預金等に比べ僅かな金額に過ぎません。これらの設備は一箇所に集中して所在する訳でもなく、当社にとって大震災のリスクは僅少です。実際に、当社の株価は、震災前の3月9日終値が287円だったのに対して、復興需要期待もあってか、4月26日時点では334円と上昇しているくらいです。これらの事実からは、大震災リスクは僅かな金額の増配を拒む事由には成り得ません。
以上の理由から、1株当たり20円の配当を提案いたします。

議案(2)について

当社は、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点において、発行済株式の10.0%に相当する238万2000株の自己株式を所有しています。当社は、「第64期利益処分案承認の件」(株主提案)の提案理由で詳細に説明したように、財務状況は磐石であり、過大な現預金、現金等価物を保有しています。また、当社の業態は、多額の設備投資を必要としない電気工事業です。従って、株式市場から資金を調達する必要性は、予見できる将来において極めて乏しいと思われます。
自己株式を保有していると、取締役会の決議だけで自己株式を処分される恐れがあります。現状のように、当社の株価が1株当り株主資本を大きく下回る状況下で、時価で自己株式を処分されると、割当先がどこであれ、処分方法が公募であれ第三者割当であれ、1株当り株主資本が減少し、また1株当り利益が希薄化し、株主共通の利益が大きく毀損されます。
当社取締役会は、第62期の株主提案に対する反対理由の中で、「現行法上自己株式の処分は、会社成立後の株式の発行と基本的に同様の規制に服しており、仮に自己株式を消却しても、自己株式の処分と基本的に同じ手続を通じて、株式を発行することができる」から、自己株式の消却をしても意味がないと主張していますが、では、何故多くの企業が自己株式の消却を発表すると市場に好感され、株価が大幅に上昇するのでしょうか?我々提案者は、自己株式を消却する行為を、株式の希薄化を防ごうとする会社側のコミットメントと市場が受け止めるので、このような現象が起きるのだと理解しています。確かに、自己株式の処分も新株の発行も取締役会決議で可能ではありますが、新株発行の方が自己株式の処分に比べてより「大義名分」を求められ、実行のハードルが高い、というコンセンサスがある訳であり、自己株式を消却する事に実際上意義がある事は明らかです。
また、自己株式の処分と基本的に同じ手続を通じて株式を発行出来るのであれば、何故、会社側は自己株式の消却に反対するのでしょうか?万が一、どうしてもエクイティ・ファイナンスを行わなければいけないような危機的な状況が生じた場合は、それこそ新株発行をすればいいのであり、発行済株式の1割もの大量の自己株式を所有し続け、消却に反対する論理的な理由は皆無です。
会社側は、M&Aに必要であるといった反論をするかもしれませんが、M&Aを行う際には過大に保有している現預金・有価証券を用いればよいのであり、自己株式を用いる必然性は全くありません。現実的に使い道がない自己株式を消却し、将来的な株式価値の希薄化の可能性を減らすことは、既存株主全ての利益に適うことであり、238万株余の自己株式のうち、200万株の消却を提案いたします。
なお、自己株式の消却に伴い、会計上、繰越利益剰余金が減少することになります。第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点で自己株式の帳簿上の価格は9億49百万円ですので、必要な会計上の手当てとして、245億円ある別途積立金を10億円減少させ、繰越利益剰余金を10億円増加させる、その他の剰余金の処分を行うことを併せて提案いたします。

議案(3)について

八幡欣也氏の解任について

現在、社長の八幡欣也氏は、昭和38年以来47年の長きに渡って当社の取締役を務めており、また、昭和61年に当社社長に就任以来24年の長きに渡って当社社長を続けています。どちらも、上場企業としては極めて異例です。
取締役に定年を設けるべきという昨年の株主提案に対する取締役会の反対理由の中に、「取締役候補者は、経歴、経験、人柄、能力、年齢等を総合的に判断してその都度決定し、株主総会に推薦しております」という記述がありましたが、この異例の長期在任や、長男の八幡信孝氏への世襲を企図していることから分かるように、客観的に見ればそのような事は行われておらず、八幡家が当社を私物化していることは明らかでしょう。
また、会社と利害関係の無い立場から、株主に代わって会社の運営を監督する役割が求められる社外取締役が、未だに当社には1名もおりません。当社は上場企業であるにも拘らず、資本コストや株主利益を考慮した経営が行われているとは言い難く、こうした経営の結果、株価も「解散価値」である1株当り株主資本の約1/4という極度の低迷を続けており、株主共同の利益の観点からも、また、上場企業としてのコーポレートガバナンスの観点からも問題が山積しております。これは、八幡欣也氏が、サンテックが八幡家のものである、といった誤った認識を持っている事にも原因があると思われます。
更に、株主総会に於ける答弁や、株主総会招集通知に於ける取締役会の意見の中では、八幡欣也氏の行為には問題がないという強弁が度々なされていますが、以下の客観的な事実が存在します。
まず、第61期中の関連当事者との取引として、株式会社共立ハウジング(以下、共立ハウジング)への資金の貸付が行われました。共立ハウジングは、八幡欣也氏が代表取締役を務める八幡家のファミリー企業ですが、当社の関連会社ではありません。つまり、この会社に対して、当社が好条件の取引を行う必然性も利益を供与する必然性も全くありませんでした。
共立ハウジングの財務情報は入手できませんが、(株主提案者は)経営状態は芳しくないと仄聞しています。そのような会社に、当社が1億5,000万を貸付ける必然性は全くありませんでした。仮に、経営状態に問題が無い企業なのであれば、金融機関から資金を借り入れればよいだけの話です。3年前の第61回定時株主総会に於ける八幡欣也氏の答弁で判明したのは、この共立ハウジングに対する貸付けの際の利率が、短期プライムレートだったという事実でした。
上場企業である当社にとって、当社の関連会社でもない会社で、かつ、代表取締役である八幡氏のファミリー企業に対して貸付けを行うようなことは、利益相反取引であり、行うべきではなかった事は言うまでもありません。また、短期プライムレートのような低金利での借り入れができるような企業ではない共立ハウジングに対して、短期プライムレートで貸付を行うことは、利子の差額分を利益供与したのと同じです。最終的に貸付金が返済されたから問題は無かった、という話では全くありません。
第61回定時株主総会に於いて、八幡欣也氏は、担保を取っていたこと、取引が取締役会で了承されたことを理由に問題が無い旨を述べました。また、貸付けた理由としては、取引先だから、と説明しました。しかし、共立ハウジングは、その担保を当社ではなく金融機関に差し出して貸付を受ければ良かった筈で、それが出来なかったために当社を頼ったのであれば、担保に問題があった可能性があります。また、このような利益相反取引を取締役会が了承した事は、当社のコーポレートガバナンスが機能していないことの証ではあっても、八幡氏の責任を減じるものではありません。
既に、第58回定時株主総会に於いて、株主(株主提案者ではない)から、共立ハウジングの業績が良くないようだが、サンテックから資金援助を行う恐れは無いのか?という質問がなされていました。この質問に対して八幡欣也氏は、そのようなことは行うつもりは無い、と明確に否定していました。この2年以上後に行われた共立ハウジングへの貸付けは、第58回定時株主総会における八幡氏の答弁の内容と異なるものであり、同氏は、株主総会において虚偽答弁を行ったことは、否定しようがありません。
株主総会に於ける虚偽答弁という事に関して言えば、昨年の株主総会に於いても、八幡欣也氏は、平成22年度から開始する第9次中期経営計画の数値目標を早期に開示する旨の答弁をしていたのにも拘らず、平成23年4月現在、未だに何らの開示も行われていません。
また、株主提案者は、ここ数年の株主総会の度に、海外工事に付随するリスクを管理する体制を整備すべきだという提言を何度となく行って来ましたが、その度に、八幡欣也氏は、対策を行っている旨の答弁を繰り返してきました。しかし、当期(第64期)に於いても、第3四半期末時点で既に3億54百万円の為替差損を計上するに至っています。第63期には、海外工事の売上債権に関する貸倒引当金繰入で9億83百万円、海外子会社に関する債務保証損失引当金繰入で1億99百万円の損失を出しており、第62期には2億73百万円の為替差損を出しています。日本市場の縮小に鑑みれば、当社としても海外工事に活路を見出さなければならない情勢であると思われますが、八幡欣也氏が、経営トップとしてこういった情勢に全く対応出来ていない事は明らかです。
このように、長年の経営不振や、社外取締役をおかずに世襲を企図している事に象徴されるコーポレートガバナンスの欠如に加えて、ファミリー企業との利益相反取引や、株主総会に於ける虚偽答弁などを鑑みれば、八幡欣也氏には、上場企業である当社の取締役としての適格性が著しく欠けていると判断せざるを得ません。
よって、八幡欣也氏の取締役解任を提案いたします。
なお、会社側は、昨年の株主総会で八幡欣也氏が選任されていることをもって、解任すべきではないと主張するかもしれませんが、上記の通り、昨年の株主総会以降にも解任に相当する事由は存在している訳であり、改めて同氏の取締役としての適格性を株主総会に諮るべきであると考えます。

・ 八幡信孝氏の解任について

八幡信孝氏は、上記の通り社長の八幡欣也氏の長男です。平成9年10月に当社に入社後、僅か6年半後の平成16年6月に29歳の若さで当社の取締役に就任しており、明らかに特別扱いの人事が行われております。同氏が特別の業績を残している形跡は全くありません。世襲を目論んだ人事であることは明らかです。
仮に世襲を企図しているとしても、同氏が若くしてその重責をこなしているのであれば、同氏に関する人事を株主が許容する余地が無いとは言えません。しかし、現実は異なります。
平成16年6月に、当社は、学校法人東北文化学園・学校法人友愛学園に対する総額4億82百万円(学校債3億円、リース債権1億82百万円)の債権が貸し倒れになる被害に遭いました。この件について、会社は同学園の会計監査人を訴えておりましたが、平成20年に当社の敗訴が決定し、損害賠償を得ることは出来ませんでした。つまり、この4億82百万円の損害の責任は、当社の当時の責任者にある訳です。
八幡信孝氏は、平成14年6月に執行役員に就任して後、管理本部を担当しており、この東北文化学園・友愛学園に対する貸し倒れ事件の責任者といえます。同氏は、この巨額貸し倒れ事件の経営責任を全く取っていません。
また、当社は第63期に於いて、海外工事に関する貸倒引当金の繰入として9億83百万円及び海外子会社に関する債務保証損失引当金の繰入として1億99百万円の合計11億82百万円を、特別損失に計上しました。巨額の貸倒れ損失が発生した訳ですから、昨年の株主総会に於いて株主提案者は、損失の詳細についての情報開示を求めましたが、会社側は、資材価格の高騰が招いた出来事だと言うばかりで、事件が未解決であることを理由に一切の情報開示を拒みました。事件の解決後には情報を開示するとの答弁がありましたが、未だに何の情報開示も為されていません。
上場企業として早期の情報開示が待たれますが、いずれにしても、当社の規模に比べて貸倒れ損失の額があまりにも巨額であり、常識的に考えて、担当役員は、管理能力不足或いは、社内体制の整備を怠ったといった事を含む広い意味での過失(刑事、民事上の業務上過失の意味ではありません)に対する経営責任は免れないと言えます。海外工事に関する債権管理のまずさから起因した巨額損失ですから、担当取締役は管理本部長の八幡信孝氏、海外本部長の槇岡敍治氏が該当すると考えるのが自然でしょう。
会社側は、原因は資材価格の高騰だと昨年の株主総会でも強弁しましたが、海外工事を行っている全ての電気工事会社が巨額の貸倒れ損失を計上した訳ではなく、当社の内部管理体制に問題があった事は明らかです。
 この件では、昨年4月28日付の会社側発表によれば、取締役の責任の取り方としては、全取締役が2ヶ月間月額報酬を僅か20%返上するだけ、という驚くべきものでした。
経常利益額の2倍以上の巨額の損失を出したのにも拘らず、担当役員の個別の経営責任は一切問わず、全取締役が僅かばかりの報酬を返上する事で問題を済ませてしまおうとする当社の姿勢は、上場企業としてのコーポレートガバナンスが欠如しています。
最近の当社の歴史の中で、2大巨額損失事件と言える東北文化学園・友愛学園に対する貸し倒れ事件、及び海外工事に関する貸倒れ事件のいずれに於いても、八幡信孝氏が担当役員であった事は紛れもない事実です。その損失総額は、16億64百万円です。東北文化学園・友愛学園に対する貸倒れ事件から、八幡信孝氏が何も学んでいなかったのではないかと思わざるを得ません。
これら一連の出来事は、社長の八幡欣也氏が長男の八幡信孝氏への世襲を企図して、管理能力・経験不足なのにも拘わらず同氏を重用し続けている為に起こった(株主にとっての)悲劇だと考えざるを得ません。
また、同氏はIR担当役員でもありますが、株主総会で何度要請しても決算説明会を開催しようとはしていません。また、当社の極度の株価の低迷は、市場関係者に対するIR不足もその要因の一部であると思われることから、IR担当役員として、機関投資家や証券会社のアナリスト等とのミーティングに立ち会った回数を株主総会で質問しても、同氏は、答えることが出来ませんでした。複数回の株主総会に於いて何度質問しても答えようとしないのですから、その意味不明な態度は理解の範疇を超えています。これは、自らの重要な職務の状況についての記憶さえ曖昧であるのか、一度もその様な事は行っていないのかのどちらかしか考えられず、いずれにしても上場企業の取締役の資質に欠けているとしか思えません。
このように、実績、資質の両面において、八幡信孝氏は、当社の取締役として適格性に欠けることは明らかです。仮に、当社の大株主でもある八幡一族が同氏への世襲を企図しているとしても、一度取締役を辞して、一社員として研鑽を積み、実績・資質の両面で取締役としての適格性を得てから、再度株主に対して同氏の取締役への選任を諮るのが、上場企業としての当社のあるべき姿でしょう。
よって、八幡信孝氏の取締役解任を提案いたします。
なお、会社側は、昨年の株主総会で八幡信孝氏が選任されていることをもって、解任すべきではないと主張するかもしれませんが、上記の通り、昨年の株主総会に出席していない株主にとっては、昨年の株主総会当日に於ける海外工事に関する巨額損失事件に関する会社側の説明等を知る立場にない訳であり、それも踏まえて、改めて同氏の取締役としての適格性を株主が判断する機会を持つべきであると考えます。

議案(4)について

現在、取締役社長の八幡欣也氏は、昭和61年に当社社長に就任以来23年の長きに渡って当社社長を続けています。これ程長期の社長在任は、上場企業としては極めて異例で、他に同様の事例は数える程しかないものと思われます。
また、その前任者は八幡欣也氏の実父の八幡貞一氏でした。
さらに、何らの実績もなく、当社に巨額の損害を与えた事件(事故)の際の責任者を歴任しているにも拘らず、異例の若さでの抜擢人事が行われている事実等に鑑みれば、八幡欣也氏は、同氏の子息である八幡信孝氏への取締役社長職の世襲を企図している事は明らかです。
この様に、当社は上場企業であるにも拘らず、世襲ありきの人事が断行され、コーポレート・ガバナンスが全く機能していません。その結果として、資本コストを無視し、株主利益を一顧だにしない企業経営が続けられ、超長期に渡る株価の低迷に象徴される株主価値の大幅な毀損が続いています。
このように、株主価値とは全く無縁の人事が執り行なわれ、取締役会も監査役会もそれを牽制する機能を全く果たしていないので、少なくとも取締役社長の世襲に関して、その合理性についての株主への説明責任を強化する条項を定款に設けることには、一定の合理性があると思われます。

議案(5)について

提案者は、ここ数年、毎年株主提案権の行使を行っていますが、会社は株主提案権が行使された事に関して一切の適時開示をせず、その結果、株主は、株主総会招集通知が送られて来て初めて、株主提案権が行使されている事、及びその内容を知るという事態になっています。多くの会社(例えば、本年株主提案権が行使されているシャルレやサンシティー)では、株主提案権の行使が行われた時点で、適時開示を行っています。株主提案権の行使は、株主間のコミュニケーションや、株主と取締役のコミュニケーションを行うという意味で有用であるという立法趣旨が従来から存在し、上場企業の情報開示を強化する傾向からしても、今までの当社の対応は問題があったと言わざるを得ず、取締役会にとって都合の悪い事実を隠蔽しようとする当社の体質には、懸念を抱かざるを得ません。株主提案権行使の事実について適時開示をする事で、当社株主共同の利益を損なう事などは有り得ませんので、株主提案権行使が行われた場合、その事実の適時開示を行う様義務付けるべきです。

議案(6)について

当社の株主総会に於いては、賛成とも反対とも記載されていない議決権行使書面に関しては、株主提案について反対、会社提案について賛成とする取り扱いが行われていますが、これらは議案の決議方法として不公正だとする見解が存在します。実際に、提案者が議決権行使書面を閲覧したところ、毎年かなりの白票が現実に存在します。殊に、一般の株主にとって重要度の高い配当に関する議案に関しては、会社提案と株主提案が対立議案として扱われており、会社提案に関しては賛にも否にも○をつけずに、株主提案に関しては賛に○をつけている議決権行使書面の場合でも、会社提案に何も印をつけない事が会社提案に対する賛成として扱われ、会社提案にも、そしてその対立議案である株主提案についてもともに賛成をしているという事で、両議案に関して棄権扱いにされています。これは極めて不合理な扱いであると言えます。会社側は、「賛否の表示がない場合、会社提案については賛成、株主提案については反対の取り扱いをする」旨の注意書きが議決権行使書面に記載してあるのだから、構わないと言うかもしれませんが、現に、配当に関する株主提案には賛に○をつけ、会社提案には何も印をつけない人も多数存在しています。その様な株主の意図する所は明らか(株主提案の配当案に賛成)だと思いますが、会社側に著しく有利である不公正な取り扱いに関する注意書きを見落としてしまったが為に、棄権扱いになってしまっているのです。この様な、株主の本来の意図とは異なる取り扱いを避ける為にも、賛否どちらにも○がつけられていない議決権行使書面に関しては、会社提案、株主提案を問わず、その議案に関しては棄権扱いとする事が正当であろうと考えられます。

2011年3月13日日曜日

小生主張紹介(山口三尊先生ブログ):累積投票は、社外取締役に勝る。

MBOによる少数株主への株式買取り価格に関する訴訟で有名な山口三尊先生のブログで、小生の従前の主張である、累積投票制度による取締役選任と少数株主権保護に関して、紹介されました。

2011年2月4日
累積投票は、社外取締役に勝る。


「「吼えない番犬」「実質身内」である社外取締役よりは数百倍まし」と山口先生は述べていますが、全く同感です。なお今年のみずほFGの株主総会でも、報酬個別開示や政策保有株式の議決権行使ガイドライン作成の株主提案が予定されています。みんなの党もリフレなどと言っていないで、早く資本市場改革の議員立法を準備するべきだと思います。

2011年3月6日日曜日

これがHOYA株式会社の取締役会(笑)です。

これがまさにHOYA株式会社の取締役会(笑)です。いい加減コメディーのような状況は、早急にやめてもらいたいものです。


http://www.economist.com/node/17492860

3委員会の委員長の取締役構成(2011年6月時点)
椎名武雄(昭和4年生まれ:82歳):在任期間16年
児玉幸治(昭和9年生まれ:77歳):通産省の天下り官僚
茂木友三郎(昭和10年生まれ:76歳):在任期間10年

なお当社の取締役会は、すでに田中幾太郎氏(ジャーナリスト)により「『仲良し老人クラブ』に集う社外取締役という藩屏」と批評されています。(「ZAITEN」2010年1月号)
http://www.zaiten.co.jp/blog/zaiten
■ノンフィクション ペンタックス統合の誤算 「偽りの米国流」で屈折するHOYA 「父子鷹」経営」

2011年2月28日月曜日

株主総会事務局による脅迫・強要行為について

すでに2011年6月の株主総会への株主提案などが報道されていますが、まずそれ以前の問題として、前年6月の株主総会の前に、HOYA株式会社の株主総会事務局により、私に対してとんでもない行為がなされました。以下の反訳書を参考にしていただきたいのですが、平成22年4月30日午前10時から、江東区東砂の三菱UFJ信託銀行のオフィスにおいて、被告会社の株主総会事務局の幹部らが、部下2人とともに、面会する事前の予定もないのに突然株主名簿の閲覧当社請求に訪れた原告に面会を半ば強要、さらに原告を狭い一室で取り囲み、30分近くにわたり問題のある言動を繰り返しました。

通常の常識では脅迫・強要だと解されると思いますし、とても上場企業のやることだとは思えません。そして会社の代理人の松尾眞氏、泰田啓太氏ら弁護士(松尾・桃尾・難波法律事務所)は、私が東京地裁にて提起している株主総会決議取消訴訟において、法廷の場で「原告に対して概ね原告準備書面第一回第1(2)記載の内容の発言をしたことは認め」などと述べており、最終の口頭弁論(2月25日)でも、裁判官から確認されたところ、以下の記述の通りであることを認めました。

詳細は後日の記者会見等で明らかにしたいと思いますが、私は「取締役の70歳定年」(議案26)、「天下り渡りの取締役就任の禁止」(議案29)、「社外取締役の再任回数の15回までの制限」(議案37)、「取締役の80歳定年」(議案28)、「最高経営責任者と代表執行役の世襲禁止」(議案87)、「取締役の満75歳定年」(議案27)、「他社CEOとCOOの兼任数制限」(議案32)などの議案を提出していたにもかかわらず、HOYA株式会社の株主総会事務局のスタッフらは、一方的に議案を削除するなどの方法で、総会に議案を付議しませんでした。害悪を告知するなどの方法で、都合の悪い株主提案議案を取り上げないなどということが、いまだかつて日本の上場企業の株主総会であったでしょうか。詳細は、今後記者会見等で明らかにしていきます。

株主総会事務局との会話(平成22年4月30日午前10時@江東区東砂)
参加者 HOYA株式会社(被告)株主総会事務局 中川知子、本山雄一、岩田良子、山中裕(原告)

山中が入室すると、中川、本山、岩田が部屋に待機していた。

中川 「今日ちょっと進め方何ですが、11時半にここを出なくてはいけないんで。」
山中 「はいはい。」
中川 「株主名簿なんですが、全部で4300ページくらいあるんですね。それを全部見たいというお話だったので、そのお時間とかを考えますと、どうですかね、最初の30分から45分くらい協議させていただいて、」
山中 「はいそれは結構ですよ」
中川 「はいその後閲覧」
山中 「もし時間足りなかったら閲覧また後日やればいいんですよ。それでもいいですよ、別に最悪。」
中川 「では閲覧の時にあの代行のひろさんに立ち会ってもらう。」
山中 「はいわかりました。」
中川 「まず協議のほう。またわかりました。」
山中 「送っていただいたやつですが」
中川 「7というのですね」
山中 「この前の19日の時のお話だと、何で19日でしたっけそうですね、19日ですね。19日でしたっけ、19日ですね。えっと上限はないとおっしゃっていましたね。」
中川 「法的にはないです。」
山中 「上限がないと、しかしここでは弁護士から権利濫用の可能性が非常に高いと書いてありますので、その間で変わったということですよね。」
本山 「でもそれは誤解があるかと思いまして、会社法上は上限がありません。会社法上の文面としては上限はありません。ただしそれではなんでも良いかというとそういうわけにもありませんで」
山中 「まあ他の法令との関係とかありますからね」
本山 「あと解釈ですね。」
山中 「ああはいはい」
本山 「そちらの連絡書にも書いてありますけど、乱用ですということになればもちろん法律的に違法ということになりますので、そういう意味で申し上げています。」
山中 「えーとえーと本山さんでしたっけ、議決の取り方についておっしゃっていたと思うんですけど、あの議案数が多いときの。」
本山 「当日の、はい」
山中 「あれはもし数がすごい多い場合は、別に私のケースじゃなくてもいいんですけど、もし数がすごく多い場合は、反対のやつを全部出して一括でばさっとやればいいんですよ。もし多い場合は。株主提案が非常に多い場合は。」
中川 「反対のやつっていうのは、すいません」
山中 「株主提案の反対の提案を一括で出して、その時にですよ。そういう状況で、一括でやればいいって言われましたけど、私。それと同じ内容のもので一括の提案を1個ばっと出して、10個分それでとればいいんですよ。それでそれたぶん標準的な見解だと思いますよ。当日の運営に関しては。たとえば百株主が一つずつ出した場合でも、一括でやればいいんですよ。弁護士から説明させますけど。その辺の。あとこれは失礼なんですけど、弁護士というのは、具体的には広松先生ですか。どの人なんですか。」
中川 「広松ってどなたですか」
山中 「広松先生じゃありませんでしたっけ」
中川 「いろいろ弁護士はいますので」
山中 「これちゃんと四大事務所とかの人に聞いていますか。西村あさひの人とかにきいていますか。」
本山 「いや特に4大事務所に聞かなきゃいけない理由はありますか。」
山中 「特にないですけど、いやそういうのどうなっているのかなと思いまして。」
中川 「それなりの弁護士事務所と思っていますので。その辺の町弁では当然ないので。」
山中 「ちょっとその辺どうなっているのかと思いまして。あと当日の運用は、もしかすが多い場合はそういう風にやればいい。あと書面なんですけど、たとえばエーザイさんの招集通知は200ページ超えているんです。」
中川 「ええ立派なの作ってらっしゃいますよね。」
山中 「こういうのありますよね。だから参考書類の枚数が増えるというのは、べつに200ページとかでやっている会社あるので、仮に30とか40くらいだったら合理的なんじゃないかなと思います。あと最後まで聞いてください。あとはがきですよね。はがきについては、書面投票という制度になっているので、はがきじゃなくて紙にして郵送で送り返すようにしてもいいはずなんです。書面投票制度。べつにはがきじゃなきゃいけないということはない。だから基本的には量が多いということは本当には問題に何らないと思いますよ。ただもしこの弁護士の方がそういう風におっしゃっているんであれば、適法な数っていうのはこの方の見解だといくつになるんですか。」
中川 「適法な数とか、そういう数とかいう問題ではもちろん法律ではないんで上限が。」
山中 「権利濫用になるのはいくつまでって」
中川 「そういった議論ではないです。」
山中 「じゃあたとえばいま」
中川 「もうそういった議案の中身からもして、出してくるということ自体が、株主さんの、他の株主さんの利益を損なう。もともと十個で出してきていているんですよ。山中さん。もともと十個で出してきていてその中身をじゃあ一緒にやっていきましょう、見解出しましょうっていっていたんですよ。それが急になんで100個にするんですか。」
山中 「それは増やすということ自体は違法ではない」
中川 「それが何でもともと10個しかないのが急に100個になるんですか」
山中 「この弁護士さんは、その10個から100個に増やしたことを言っているんですか。最初から59だったらよかったんですか。じゃあちょっと伺いたいんで。上限はいくつという考え方なんですか。」
本山 「ですから数じゃない」
中川 「数じゃないんですよ。」
山中 「やりかたをいっているんですか」
中川 「やりかたですよ。」
山中 「じゃあ最初から多かったらよかったんですか?」
中川 「そういうことではないと思いますよ。」
山中 「どういうことですか」
中川 「100個出して真面目に株主総会で決議してもらいたいと思っているんですか」
山中 「思っていますよ。一つ一つについてですよ。それを権利濫用とおっしゃっているんですか。別に減らしていいと思っているんですよ。減らしていいと思ってるんですよ。でもそれは株主権なんで、20から30だったら問題ないっていうのが4大事務所とかにいた私の先輩とかの弁護士の人の意見ですよ。それは別に株主権なんで。私は減らさないとは言っていないですよ、20から30だったら問題ないっていうのが私の先輩の四大事務所にいた人の見解なんで。あと議決権行使助言会社のダイレクターの人も言っていましたが。数は上限はないですよ。」
中川 「その四大事務所の方はなんとおっしゃっていたんですか」
山中 「20とか30の株主提案権はあるから」
中川 「じゃあ100は。」
山中 「え」
中川 「じゃあ100は。100についてはなんていってましたか。」
山中 「100も100も別に上限はない」
中川 「20、30については100についてはその方どういうご意見だったんですか。その方はどうおっしゃっていたんですか。」
山中 「上限がないって」
中川 「20,30についてはあれって言っていましたが、100についてはどうおっしゃっていたんですか」
山中 「まとめればいいんですか。」
本山 「弁護士は数については何度も申し上げているように言っていません。」
山中 「私のやり方がいけないって言っているんですか。」
中川 「10にしてくださいって、ずーとお願いしているんです。もともと10で提案して来ていますから。10くらいであれば実務的に回りますから、十分まわります。だからそうお願いしているんですよ。それを100にしてきたんですよ、どういうことですか。」
山中 「権利としてはあるんですよ。」
中川 「権利としてではなくて、具体的に総会を円滑に、だいたい2時間ですよ。だいたいね、そのくらいで終わらせるのに、主張されたい意見を株主さんにきちんと伝えてわかるように伝えて、そしたら100なんて言ったら逆効果ですよ。私からしてみれば」
山中 「でもそれはだから一つの御見解ですよ。私は減らさないとは言っていませんよ。ただ弁護士の先生はいくつだったら」
中川 「山中さんそういう議論じゃなくて、もう時間がないの本当に」
山中 「ええ」
中川 「今10か20にしてください」
山中 「20だったらいいんですか」
中川 「あなたが優先順位をつけてきてくださいましたね、この20だけにしてください。」
山中 「20だったらいいということなんですか。逆に。」
中川 「20をベースに考えさせていただきます。」
山中 「だけど濫用ということをおっしゃるんだったら、動かしたらダメということになってしまいますよね。20でも、11でも13でもダメということ、ていうこと。いくつならいいんですか」
本山 「そちらの文章にそう書いてありますかね。」
山中 「書いていませんが。今おっしゃっていることの私の理解がそう。」
中川 「だって山中さん、これさ上限が、ここでも優先順位をつけてきていただいていますから、山中さんとしては株主さんに訴えたい、一番伝えたいことをこの20に絞ってきているわけですよね。」
山中 「まあそうですが」
中川 「数じゃないんです。あなたが一番伝えたいのがこの20なんですという理解をしています。なのでそこで20くらいであればこの中でまあ多少あのこれから協議をしてやっていくことはあると思いますが、そこにフォーカスして20に絞って提案したらいかがですかということです。数がどうこうという問題じゃないんですよ。伝えたい累積投票とか秘密投票であったり、そういったお考えはあるでしょう。そういったことを伝えたいんであれば、そうすればいいじゃないですか。きちんと伝わるように。数のそういう議論をしてもしょうがないんです。実際あなたが何をしたいか、実際株主総会でほかの株主さんに何を訴えたいか、いかに上手に皆さんの理解も得られるようにていうのを考えたほうがいいんじゃないですか。今ここで100だ50だなんだかんだというんじゃなくて。」
山中 「じゃあ20だったらいいんですか」
中川 「実務としては10くらいにしてほしいです」
山中 「20だったらいいと」
中川 「まあここにある20、10です。10にしてください。はじめの提案10だったんだから。」
山中 「ただ株主権、提案する権利はありますよ。」
中川 「だから数ではね、権利の話じゃなくて、法律的にどうのこうのというのはも議論にならないです。10にしてくださいと。もともと10で出してくださっていますから。」
山中 「いや、だけど追加で提案する権利はありますよ。」
中川 「権利の話をしているんじゃないんですよ。」
山中 「別にいいですよ、減らしたりまとめたりするのはいいですよ、追加提案する権利はあるんですよ株主の側には。別に減らさないとは言ってないですよ。いっていませんよ。」
中川 「じゃあ減らしてください」
山中 「でも権利としてはあるんですよ。それをやるのをそうやって攻撃されても困りますよ。私は減らさないとは言っていませんよ。」
中川 「じゃあ減らしてください。法律的に上限がないっていうのは言っているわけですからね、あとは実務的に減らしてくださいというお願いをしているんですよ。」
山中 「わかりましたそれはいいですよ、それは分かりますけど、では何で権利濫用の可能性が非常に高いって、要するにこれは不適法な株主提案として否決されるんですか。59のままだと、いくつだったらいいんですか。10個増やしても同じなんですか。」
中川 「10個はもう取り上げているでしょう。」
山中 「10個のあと10個増やして20個になった場合もダメなんですか。追加でやるのがダメなんですか。法律ていうのは感情じゃないので。」
中川 「法律は上限がないんですよね。法律に上限がないっているのは、みんなここでだれも反対していない。」
山中 「でも不適法って書いてあるじゃない」
中川 「59できませんから実務的に。」
山中 「不適法なんですかそれ」
中川 「できませんから。」
山中 「59できないというのは。別に減らさないとは言っていませんよ、減らしますけど、ただ株主の権利っていうのは重要だから、一応確認させてくださいね。べつに実際やるかどうかとそれは違いますから。ただなんで上限がないっていうのに不適法って言っているんですか。べつに減らさないとは言いていませんよ。私がどうするかとは別の問題です。ただなんで不適法とから濫用って言っているんですか。権利としてはあるんですよ。それをそういう風に言うのはおかしいですよ。減らさないとはいっていませんよ。」
中川 「内容とかによるじゃないんですか。その意図ですよ、意図。山中さんが減らすって今言ってくださいましたけど、これはその前の話ですから。こちらがいくらお願いしてもう実務的に無理ですよって言っているのに、59だ100だといっているのに。」
山中 「実務的に無理なんですか。」
中川 「それは本当に株主提案を真摯にやっているというのはちょっと疑わざるをえないことがありますよ。」
山中 「でも実務的に無理なんですか。減らさないとは言っていませんよ。ただ実務的に無理というのは違うと思いますよ。それは。別に減らさないとは言っていませんよ。」
中川 「実務的に」
山中 「どう無理なんですか」
中川 「コストがすごくかかります。」
山中 「どういう風に」
中川 「すべてにですよ。」
山中 「何がですか。」
中川 「印刷から何から郵送料から何から全部コストがすごくかかります。」
山中 「でもそれは権利としてあるものを行使して、それを言われるっているのは、それはもちろんその全部提案状をみたいなものを送らなくてもいけないというなら別ですけど、 権利行使してそういう風に言われるっているのは、なんかあのしっくりこないですよ。まあ協力してくださいというなら。」
中川 「じゃあ、じゃあ、じゃあですね、10万個、10万個議案を提出してきた人がいるとしますよね、10万個ですよ、10万個。それはやんなきゃいけないんですか。かかるのは5億かかりますよ。
山中 「だからコストは」
中川 「だからコストが5億かかりますよ、それは会社はやんなきゃいけないんですか。」
山中 「それは請求したらできると思いますよ。10万個だったら。」
中川 「じゃあ10万個ですよ。10万個と100個はどう違うんですか。」
山中 「私の先生が、20から30くらいだったら合法だっていうのが、まあ一般的な見解かなと思いますけど。別にそういう風にするとは言っていませんけど。」
中川 「だから20をベースにお願いしますって言っているんです。」
山中 「ただだけどそれ提案するっていうことを、そういう風に言われるのはおかしいと思いますよ。別にそれで協力してくださいっていうのでれば。」
中川 「ただ山中さんはね、たぶん100個出したとしても、最終的には合理的なところに落とそうと思っているんじゃ何かと思うんですよ。」
山中 「何でですか。」
中川 「違うんですか。」
山中 「それはだって会社として会社というか、でも前も溝渕さんもおっしゃっていましたけど」
中川 「100個やれと、100個やれと。」
山中 「だからそれはコストの問題なんですか。」
中川 「100個やれということですか」
山中 「それは個数の問題なんですか。21の、減らさないとは言っていないですよ。21から、21から99まで一括にすれば」
中川 「減らさないとは言っていないといっているんだけど、分かんない。」
山中 「法律のさ、法律の」
中川 「法律は上限がないといっているんですよ。こっちは」
山中 「はいそうですよ、」
中川 「いやだから。」
中川 「そういう話じゃないです。何個にしてくれますかって話なんですよ。いるんですよ。法律上どこに上限があるって言っていますか。言ってないでしょう。」
山中 「でも権利濫用不適法って書いてあるじゃないで。何が不適法で適法なんですか。何が不適法で何が適法なんですか。」
中川 「意図ですよこの中の。」
山中 「いやでも私は」
中川 「とてもまじめにとてもまじめに、たとえばこれが秘密投票、累積投票、あと例えば取締役の報酬開示とか、兼任の数とか、定年の年だとかそういうことだけで」
山中 「あと報酬、報酬」
中川 「報酬今言いました。」
山中 「あとヘッジ禁止とか」
中川 「ヘッジ禁止、そういうのが10個ぐらい来ているんであれば、何の問題にもならないんですよ。」
山中 「それが10個、20個になったらダメなんですか。30になったらダメなんですか」
中川 「30はどうかわかりませんけど、そういう中身じゃないでしょう。だってあとからそれが細かく細かくこうなっているだけじゃないですか」
山中 「いやだけど、追加提案する権利はあるんですよ。別にそれは、一括提案すれば数自体は減りますよね、一括提案すれば数自体は減りますよね。」
中川 「まとめればということですか」
山中 「それはいいんですか。」
本山 「一括提案とかいう言葉は正直わからないんですが」
山中 「内容を11から59までを、21から59まで一個の提案にすれば全部定款変更の議案にしてそれで数は10何個だったらいいんですか」
本山 「議案が変わるっていることですね。提案される議案が。」
山中 「まとめるっていうことですね。」
本山 「まとめるっていうかもう変わっちゃうんですね議案が。提案期限切れていますから。」
山中 「それは協議すればいいんじゃないですか」
本山 「それはできませんよ。」
中川 「それはできませんよ。それはできませんよ。それは期限切れていますから。だからこないだの23日までぎりぎりですよというのは申し上げているじゃないですか。」
山中 「修正するのは、いいんじゃないないのかな」
中川 「修正じゃないでしょ」
山中 「修正になるでしょ」
本山 「こちらの見解は違います。はい。」
山中 「それだったら権利濫用、不適法、不適法ですか」
中川 「どうしたいんですか」
山中 「不適法じゃないでしょう」
中川 「そういう法律的なことを争いたいのか、株主さんに何かを訴えたいのか、どっちなんですか。」
山中 「だから私は長期的な株主の利益を実現するための企業統治に変えるということを目標でやっているんです。」
中川 「それを法律論を争ってどうなるんですか。」
山中 「それは株主権の問題なんだから、非常に重要なんですよ。株主権の問題なんだから。だって株主権がどう規定されていることが重要なんですから。不適法って何が不適法なんですか。減らしてくださいっていうのならわかりますけど。」
中川 「減らしてくださいっていって、59まで減らしてくださいましたけど、それをさらに10か20まで減らしてくださいていうことです、それを呑んでいただけますか。今日の5時45分までに今日返事をいただかないともう間に合わないんです。」
山中 「わかりました、電話します。」
中川 「で私たちが考えているのは、こないだ送っていただいたのに優先順位をつけてくださいましたけど、初めの20ですけどここまでを議案に乗せるというのをベースに考えたいんですよ。」
山中 「ああそうですか、ただ、はい、わかりました御見解は。今日連絡付けるところは。」
中川 「今から社に戻りますので」
山中 「何時以降」
中川 「1時間くらいで社につくと思います。一時にはついていると思いますけど」
山中 「そうですけど、昼食の時間とかありますけど」
中川 「でもだいたい一時にはついていると思います。」
山中 「ただそれは議案の変更になるんですか、修正っていうのはしてもいいんですよ。御見解とかあると思いますが。別にそうすると言っているわけではないですけど。」
中川 「7日なのでね、役員会がね。すでにお伝えしているようにね。」
山中 「でもそれは、手続き的には7日にやって、もう一回臨時にやることだってできるわけですから。手続き的には。なんで私だけそうやって言われるのかわかりません。」
本山 「これまでスケジュールお伝えしていますよね。それをお互いの信頼でやっていましょうっているベースでこれまでやってきているわけですよ。」
中川 「23日は守っていただきましたけど、だけど、だけど、だけどまだ59なんですよ、山中さん。」
山中 「ガバナンスに問題があるっていうのは、ガバナンスに問題があるっているのは、あるんですよこの会社。」
中川 「だからそう書いているじゃないですかねえ。20あれば十分じゃないんですか。」
山中 「それを制限されるわけですから。20に。」
中川 「20あれば十分じゃないんですか。」
山中 「いや不十分。不十分ていうか、権利でできる、やんないとは言っていないですが。」
中川 「10だったら割とみなさんそういうこともあるかなと思うかもしれませんが、定款変更で100個変えるっているのは、皆さんこの人何考えているかと思うかと思いませんか。」
山中 「それは受け止める方の問題なんで、もし」
中川 「それを意図しますか。そういうリスクをとりますか。」
山中 「それはだから私がどうするかということなんであって、逆にそれで問題が大きく改善されるのであれば」
中川 「そうは思わないと思いますけどね」
山中 「それは御自分の見解で」
中川 「もともとの十個の提案、いただいた提案で、あれで十分伝わるんじゃないですかね」
山中 「400字に制限されているし、実際に問題があるわけですから」
中川 「あまり長いと読みませんですからね。」
山中 「定款改正議案は機関投資家は全部会議して決めていますよ、定款改正議案は。」
中川 「100個読ませるんですか。100個より10個の方が読みやすいと思いますが。」
山中 「それは重要な、機関投資家は義務があるんですよ。」
中川 「義務とか権利とかじゃなくて、100個読ませて相手は賛成しようっていう心情になりますか。」
山中 「心情はいろんな方いらっしゃるので、」
中川 「10個で」
山中 「それが長期的な株主利益に合致すると論理的に判断すればそうなりますよ。」
中川 「100個ですよ、あのくそ忙しいときに。」
山中 「でも日本の総会の運営の、資本市場の現状がそうなんだからしょうがないじゃないですか」
中川 「それをいってもしょうがないでしょう、現実そうなんだから。」
山中 「そうですね。」
中川 「そこに100個出すんですか。」
山中 「まあでも、別にそれを言ったらインデックスでバーと投資している投資家からすれば、会社数自体が多いから、そこだけが少し増えても全体としてみたらパーセンテージで見たらほとんど変わらないと思いますよ。」
中川 「個人的には賢いやり方とは思えないですけどね。」
山中 「個人的にはね。」
中川 「ご主張している内容はね、こちらとしては、そういった考え方もあるでしょう、定款変更ということについては会社としては必ずしも賛成できないと思いますが、そういうお考えがあるということは理解できるところですよ。でもそれをどうしてそういうやり方をするのかなと。」
山中 「それは株主権の使い方っていうのはあるんじゃないですか。」
中川 「株主権の使い方ですか。株主権の使い方。」
山中 「それさ、前も申し上げましたけど、厚生労働省のお役人の方が長妻大臣が野党の時に同じようなことを言っていましたよ。でも権利としてはあるんですよ、だからそれは、国会議員の国政調査権、株主の株主権はあるんですよ。」
中川 「株主権があるので、10個ぐらいにしてはどうですかといっているわけですね、10個でどうですか。呑むのか呑まないかですよ、同意されるのかされないのか。いま私たちは20というので、そうすると、これだけじゃないんですからね、今度これを招集通知にのっけたりとか印刷したりとかの作業もありますし、当日の議場での進み方シナリオをどうするかとか、そういったところも入ってきますよね、あと集計の方法とか、それを詰めたいんで、いまさらこれがどうなるこうなるっていうのは避けたいんですよね、実務的に。間に合わない」
山中 「それもなるべく協力しないということではないんですけど。ただまあそれは。」
中川 「5時45分までにもうこの20を最終的な、ほかにもいろいろ言いたいこともあるかもしれませんが、今年はこの20でやるということを同意いただきたい」
山中 「わかりました、検討して連絡します。電話とれるようにしてください、メール送れないかもしれませんので。」
中川 「はい」
山中 「ゴールデンウィークに作業されるんですか。明日以降、されないんですか。」
中川 「会社は休みですが、必要な作業はします。」
山中 「家ですか。会社にいらっしゃるんですか。」
中川 「会社に来る予定でいます。」
山中 「わかりました。」
中川 「ですのでそのお返事を5時45分までにご連絡ください。電話は通じますので6時くらいまではおりますので、それは大丈夫ですのですので、でもなるべくこういうのは営業時間内にしておいたほうがいいので。」
山中 「はいわかりました。わかりました、20個の。」
中川 「この優先と言ってくださった20個です。ページ数振っていませんけど、15ページの底までです。」
山中 「多少入れ替えてもいいんですか。」
中川 「入れかえっているのはどうですかね。」
山中 「まあ多少それはいいんじゃないですか」
中川 「それは変更になっちゃうのかな」
山中 「変更にはなんないですよ。」
本山 「ならないですけど、会社としてはこの20できていますから山中様から、これで考えます。これに同意されるかどうかですから、その間はありません。」
中川 「だってこれを一番重要だと考えているんですよね。提案期限ぎりぎりの時にね。」
山中 「あの経営環境は日々変わるので、まあそれは入れ替えるっていうことは」
中川 「経営環境は日々変わるのですが、こういったものには期限というものがないと、お尻が決まっているので」
山中 「もちろんそうですが」
中川 「最後の最後までぐずぐずぐずぐずっていうのはありえないです。それで22日だったんです、期限は。8週間前というのは。それをいただいていますので、それの20を優先として株主提案としてやりたいと」
山中 「20のうち取り下げてもいんですか。」
本山 「それは要望を出していただければこちらで検討します。」
山中 「入れ替えも要望してもいいんですか」
本山 「入れ替えと取り下げは議論が違いますので」
山中 「ただでも全部出してわけだからので、全部取り下げることになるんでしょう後ろのほうは。形としては、その手続きに従えば。」
本山 「それでは20で結構ですと言っていただければ、のこりの39は取り下げるということになります。」
中川 「取り下げるということになりますね。扱いとしては。」
山中 「では取り下げ39を、一応20個は20個で多少20個のうち18個をとして、後ろの2個とかにしてもいいんですか。そのくらいいんじゃないんですか、常識的に。」
本山 「すいません、いま山中様から20個議案が優先として取り上げていますよね、この20を18にする、つはり2つ減らすというお話ですか。」
山中 「それであともう少し後ろのほうにあるやつ2つを足してよい。このぐらいいいじゃないですか。」
本山 「それはできません。」
山中 「できないんですか。」
本山 「それは会社としては致しません。それは書かれているとおりです。」
山中 「それはできないんですか。」
本山 「できないというかしないんです。」
山中 「しないんですか、はいわかりました。いいですよ。」
中川 「でもここで一番重要だと思っておられる、というものが基本的にはカバー、あの一番初めの10個の提案はこの中に含まれていますね。」
山中 「でもしないというのはどういう法的根拠に基づいているんですか。べつにそれはどうなのかというのはちょっと伺いたいんですけど。20個にしろと言って」
中川 「ここでもう優先順位はついているという理解です。この20個だという理解です。」
山中 「それを変更したらいけないんですか。」
中川 「中身を含めて、この20個だというふうに思っています。山中さんが一番提案したい、優先順位が高いのは、20個だとふくめて」
山中 「それ例えば1から18、23と25だというのは」
中川 「それは優先順位が狂っちゃいますよね」
山中 「それは目安として付けているので、なんでそれをそうやって強制的に押し付けるんですか。それはダメなんですか。それは。一応そうするかどうかはあれですよ、ただその法的根拠はどういうふうになっているんですか。別にそういう風にするって言っているわけではないですが。」
中川 「5時45分までにお返事ください。」
山中 「返事すればいいんですか。」
中川 「返事ください。」
山中 「口頭でいいんですか。とりあえず。」
中川 「できればメールで。」
山中 「ちょっと口頭になってしまいますよ。アイフォーンとかも持っていないんで。」
中川 「メールも打てない。」
山中 「不確定ですね。まあ口頭で伝えれば法的には
中川 「あとからメールなどでいただけますかね、それとこちらも録音とかもさせていただきたいですが。」
山中 「組み換えもしない見解なんですか。法的根拠はどうなっているんですか。」
中川 「法的根拠とかそういう話ではありませんね。」
本山 「これは交渉ですから。協議ですから。」
山中 「それでやんないという意味なんですか。」
中川 「会社としてはこの優先順位が高いとされてる20個を山中様からの提案だと理解したと。22日時点で。」
山中 「はあと」
中川 「何でこれをベースで進めたいと」
山中 「組み替えるのもダメなんですね。」
中川 「まあそうですね。」
山中 「その法的根拠は」
中川 「法的根拠じゃなくって、そういう風に会社が解釈したと。」
山中 「解釈するということですか、はいわかりました。」
中川 「今日は外出されているんですか」
山中 「していますよ。」
中川 「携帯は通じますか」
山中 「はい通じますよ。通じるところにいますよ。」
中川 「地下鉄とかじゃなければですね。なんでえーと本当にこれはスケジュール見ていた開ければわかりますが7日はゴールデンウィークの明けた次の日ですから、もう本当に今日の5時45分までに作業しますので、それからがーと作業しますから。その後でというのは、権利的にはあるのかもしれませんが、招集通知の印刷のとかに間に合わないんです。」
山中 「ああそうですか。取締役会の意見載せるわけですよね。
中川 「載せますよ。それははじめにドラフトは作りますから、もちろんご意見あれば修正はしますから、その後2,3日はありますけど、総会が6月だからと言ってそんなに余裕のある話ではありません。」
山中 「ああわかりました。連絡します。」
中川 「連絡お待ちしていますので、株主名簿の閲覧と謄写という形でそれでよろしいですか。私と本山は先に事務所に帰らせていただきますので。1時には当然向こうについていますし。」
山中 「ただしちょっとでも法的なことでご質問したいことは、別にそれでいいか同意するということとは別なんですけど、法的なことで質問したいことについては、質問送ってもいいですね。」
中川 「メールで送っていただけますか。あの口頭で法的なことは難しいと思いますので。」
山中 「そうです、メールとか書面で、電子メールも書面の一種ですから。」
中川 「こちらで中身検討させていただいて、答えられる中身なのかも検討させていただいて、まあ答えられる内容なのかも含めて、検討させていただきます。」
山中 「なるべく早く。これ200ページのありますけど。」
中川 「エーザイさんは存じ上げています。そういったところに力を入れている企業ですけどね。それでは代行の方に
岩田 「もしもしHOYA株式会社の岩田と申します。証券代行のひろ様はいらっしゃいますでしょうか。これから名簿閲覧謄写に入りますので。よろしくお願いします。」
中川 「その返事いただいてから具体的に詰めなくてはいけないことはありますから、日本にはいらっしゃいますか。
山中 「一応しばらくいる予定になっていますが。少しわかりませんが、出たり入ったりしますが。だから事務連絡の人が必要なんですが。」
中川 「総会当日はいらっしゃいますか」
山中 「決定していません。ただ説明したければ、説明する権利あるはずですが、べつにしなくてもいいはずですよ。」
中川 「まあそうですね」
山中 「したければすると」
中川 「したければといえば、まあ」
本山 「こちらから強制できるものではありません」
中川 「ただ絶対来ていただければこまるというわけではありませんけど、ご説明したいということになれば、ロジスティクスについての問題もあるので、そこら辺をご相談させていただきたいので、会社外に長期間いらっしゃって連絡がつかないとかいうときは教えていただけると。」
山中 「携帯電話は海外でも通じますし。」
中川 「時差とかありますし。出ない時にお電話しても。」
中川 「溝渕さんはいらっしゃるんですか。」
山中 「きますよ、株主ですから。」
中川 「下関ですか。」
山中 「北九州ですけど。」
中川 「北九州ですか。須田先生はまえ株主名簿の閲覧に来られたと思いますが」
山中 「あんまり関係ありませんが。」
中川 「メールのCCでよく入っていますので。」
山中 「まあいろんな人に聞いていますので。」
中川 「では山中さんすいませんが、私たちはこれで失礼させていただきますが。お電話お待ちしていますので。」

中川・本山退室。

岩田 「それではこれコピーとらせていただきたいので。」
以下株主名簿閲覧手続きのみ。