2008年10月30日木曜日

アメリカ大統領選について思う(5):アメリカで世襲政治家が少ない理由

今回の大統領選で思うのは、アメリカ社会が、個人にとって、まさにドリームのある国だということです。なぜならば、以下の主要候補だった誰一人もいわいる2世や3世の政治家ではないということが言えます。これは日本政治と比較して、特筆すべきことです。

なぜこのような違いがあるのかと言うことは、アメリカ政治を考える上で極めて重要だと考えられます。表題の件、私なりの分析を加えて、加筆しますので、しばしお待ちください。

共和党
ジョン・マケイン上院議員
サラ・ペイリンアラスカ州知事

ミット・ラムニー前マサチューセッツ州知事
マイケル・ハッカビー前アーカンソー州知事
ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長
フレデリック・トンプソン上院議員

民主党
バラク・オバマ上院議員
ジョセフ・バイデン上院議員

ヒラリー・クリントン上院議員
ジョン・エドワード前上院議員
ビル・リチャードソンニューメキシコ州知事
クリス・トッド上院議員
デニス・クシニッチ下院議員
マイク・グラベル前上院議員

2008年10月29日水曜日

アメリカ大統領選について思う(4):サラ・ペイリン(Sarah Palin)候補の大ヒットについて

アラスカ州知事の共和党副大統領候補、サラ・ペイリン(Sarah Palin)知事が、メディアでヒットしています。以前に私が述べたように、無名知事から大統領になることはしばしばあるので、地方政治は要チェックです。

ペイリン知事の経歴では、1987年にアイダホ大学卒業となっているが、卒業前には、ハワイやアラスカの複数の短大(Community College)で単位を取っているし、名門の高校を出たわけでもなく、弁護士でもないわけで、いわいる中流の白人家庭に育った女性の、典型的な経歴ともいえるわけです。配偶者は高校の同級生のエスキモー出身の男性で、国際石油資本のBP社に勤務しながら、自分の漁業のビジネスを持っており、5人の子持ちで、高校生の長女の娘さん(ブリストル(Bristol)ちゃん)は、なんと妊娠中で、相手のレビ・ジョンストン(Levi Johnston)君は18歳のアイスホッケー選手ということが明らかになっている。ミスコンの出場歴もあるとか。 ヌード写真の流出という噂もあった。

そういった経歴でも、政治の表舞台に立てる可能性がある、そういった流動性がアメリカ政治には、あるのです。もしあなたがアメリカの短大に留学すれば、こういったおねえちゃんと、いい仲になれる可能性もある、実際にそうなる現実性がありそうな女性なのです。

しかしこれほど国民の関心を集め、しかもテレビの視聴率の取れる候補は、先にも後にもなかなか現れないですよ。アメリカにおけるみのもんたこと、オブラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)なみの視聴率の稼ぎ方で、ビリオネイヤーにもなれるかもしれない。なんといっても、政治が少なくとも広い関心事になっていることだけでも、日本人としては羨ましい限りです。ペイリン知事に匹敵するキャラクターは、日本政治にいるでしょうか。

せめてもの、私の小沢一郎氏への次期選挙でのお薦めは、蓮舫(れんほう)民主党副代表案(勝谷誠彦氏が以前に言及)。台湾系の出自をもっていることは、歴史問題の対話を行うのに、日本の国益にとって有利に働く可能性ありでしょう。 日本社会への影響力を考えると、村上ファンド村上世彰氏やUSENの宇野康秀社長も台湾系だ。日本社会では、もう華僑の力は無視できないわけだから、少数派の出自を持っている人たちをどう日本社会を良くするために使えるか、真剣に検討するべきだ。 別に大リーグのワイルド・カードを争っているチームみたいに、急遽、ニューヨーク大学経済学博士でもある佐藤ゆかり氏を引きぬいても、民主党副代表にするのも、いいと思うけど。

いずれにしても、政治がバラエティー番組化することは、政治への無関心よりも、おそらく良いことなのです。 だから私としては、一刻も早く小沢ガールのPVを作って、ユーチューブで流してほしいわけです。

副大統領候補、美人コンテスト出場時のビデオを拝見
共和党の副大統領候補Sarah Palin氏に関しては、すでに驚きの画像があるが、先週末にはまた別の驚きの画像がYouTubeに登場した。

ペイリン氏、TV界に転身?=選挙敗北見込み獲得戦略-米紙
【ロサンゼルス24日時事】米テレビ局幹部らが、共和党副大統領候補のペイリン・アラスカ州知事を大統領選後、トーク番組司会者やニュース番組のアンカーなどに起用する戦略を練っていると24日付の芸能専門紙ハリウッド・リポーター(電子版)が報じた。エンターテインメント業界は同党大統領候補マケイン上院議員の敗北を予想しつつ、視聴率が稼げるペイリン氏の獲得に乗り出す構えだ。

2008年10月27日月曜日

日本人ノーベル賞受賞者4人(?)について

2008年の日本人ノーベル賞受賞者が4人となったことについて。 小林誠教授益川敏英教授の2人は、たびたび物理学賞の候補となってきたし、南部陽一郎先生については、ノーベル賞級の業績であることは確実で、タイミングの問題とだけ言われてきた。化学賞の下村脩先生についても、基礎研究が主要な応用を後年生んだという意味で、特筆すべきものでもある。

南部陽一郎先生がアメリカ国籍であることを云々することには、私は特にあまり関心がない。研究者は優れた環境を求めていくものだから、国籍云々を言っても仕方がないではないか。 日本だって、ノーベル賞候補を日本国籍に勧誘すれば、それだけで日本人の受賞者を増やすことはできる。それはオリンピックの選手でも同じ。ちなみに、ボストンの大リーグ球団、ボストン・レッドソックス(Boston Redsox)の主力選手で、アメリカ人というのは半分くらい。あとはドミニカ共和国、プエルトリコ、日本、カナダなどだけれども、アメリカのサイエンスはそのような成り立ちになっている。コンピュータ・サイエンスはインド人が強かったり、いろいろな人種や出身者がいて成り立っている。

従来大学教授はユダヤ系が多くを占めていたし、それは今も変わりがないが、躍進目覚しいのがアジア系である。ここ20年で、インドや中国のみならず、イランやパキスタン、韓国、マレーシア、シンガポールなど、様々な出身国の人間が、北米の大学教員に多数なっている。

日本のマスコミでは、あいかわらず頓珍漢な議論が多いが、サイエンスの世界における重要業績の8、9割はアメリカ発のものであり、残りの1、2割がその他ヨーロッパや日本のものであることは、なんら変わりはない。一部の分野で日本が世界でトップ級という分野は、確かにあるが、それは日本では、研究費や人材の配置が一部の分野に偏っていることの裏返しでもある。

すでに私が別のところで述べているように、日本の科学において問題なのは、①大学院教育の質の違い、②若手教員の業績評価、待遇のあり方、③研究費配分の仕方、の3点に集約されるわけで、はやくその点を改善願いたい。大学教員など大した利益集団ではないのだから、政治として、なるべく早く改善を願いたい。国籍云々は本質的な問題ではない。

2008年10月18日土曜日

高橋洋一氏(元財務官僚)が、ビデオニュースに登場

大蔵省出身であるにも関わらず、官僚組織と対峙した実績を持つ、高橋洋一氏が、ビデオニュースに登場しています。高橋洋一氏は、東京大学理学部数学科卒という経歴を持ち、異色の官僚と言われています。以下は引用になりますが、高橋氏は霞ヶ関埋蔵金という言葉を広く流布した人物です。官僚組織には相対的にはまともな人も多くいます。ただ組織として動く場合、救いようがなくなっているのです。今後民主党が政権をとるときに、政策立案と運営をどうするかという大きな問題が残っています。

なお竹中平蔵氏のブレーンを務めていたからといって、直ちに高橋氏が竹中路線の継承者だと結論付けるのは軽率です。官僚のキャリアをみれば、自らが政策的に成し遂げたいことを実現するために、必ずしも理念が完全に一致できる人の下で、働ける保証はなく、理念が異なっても自分が関わった方がセカンドベストであるとして、行動することが一般的だからです。

マル激トーク・オン・ディマンド 第393回(2008年10月11日)
民主党マニフェストと霞ヶ関埋蔵金
ゲスト:高橋洋一氏(東洋大学教授)
http://www.videonews.com/on-demand/391400/001411.php
霞ヶ関埋蔵金とは、一般会計と特別会計からなる国の予算のうち、国会のチェックをほとんど受けない特別会計の中に計上されている種々の積立金のことで、その額は50兆とも70兆とも言われている。国が行った事業によって発生した剰余金の一種で、企業の「内部留保」にあたる。企業で利益が発生した場合、それを内部留保に回すか、配当金として株主に還元するかは、本来株主が決めることだが、霞ヶ関埋蔵金の扱いは、少なくともこれまでは官僚の裁量で、各省庁やその傘下にある特殊法人などに積立金として貯め込まれてきた。

2008年10月17日金曜日

7回0-7から逆転勝利

今日で今年最後だと帰らないで見ていたら、映画を見ているようでした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081017-00000515-sanspo-base
レッドソックス大逆転勝利で踏み止まる!松坂は5失点と散々
米大リーグは、レッドソックス-レイズのア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦がボストンのフェンウェイ・パークで行われレッドソックスが8-7で7点差をひっくり返しサヨナラで大逆転勝利。対戦成績を2勝3敗とした。

2008年10月15日水曜日

アメリカ大統領選について思う(3):ブッシュ政権の8年とはいったいなんだったのか

この11月に大統領選があり、わが母校(コロンビア大学)の先輩でもある民主党のオバマ上院議員と、共和党マケイン上院議員の選挙戦に決着がつきます。ブッシュ政権の8年間は、これで終わるわけです。現在のブッシュ政権は、歴史上ほぼ最低水準の支持率がついているわけですが、この政権を2度にわたって選出したのも、アメリカ国民なのです。

この政権での最大の出来事は、なんといってもイラク戦争です。これだけの戦費をかけて、いまだに収集がついていないのですが、3兆ドル(約305兆円)の経費が最低でもかかっているというのが、経済学者スティグリッツ博士(現コロンビア大学)らの主張です。 ちなみに日本政府の1年間の税収が、100兆円くらいです。

第一に、政策的には、アメリカの軍事的な抑止力を決定的に下げたと言う点があります。というのも、アメリカはご存知のとおり、世界最強の空軍力を持っていますので、爆撃して相手を壊滅させることはできますが、戦争に一旦勝利した後に、駐留する段階になると、泥沼に引き込めるということを、周知の事実にしてしまったからです。

第二には、米兵駐留にはお金がかかりすぎ、仮に予算制約なしでは可能であっても、お金が持たないでしょうということを、周知の事実にしてしまったという点があります。抑止力というのは、心理的な側面もありますので、これだけでアメリカの国益上は、相当不利になります。

第三には、駐留予算にお金が取られすぎているため、軍事技術開発に関する投資などが明らかにおろそかになってきており、長期的な優位性に陰を落とす結果となっています。

第四としては、アメリカの国際的なイメージを徹底的に下げたという点があります。これは特にいうまでもありませんが、ソフトパワーが重要なご時勢ですので、決定的です。

こういった問題を引き起こしてきたブッシュ政権ですが、もしかしたら歴史的な評価は微妙なのかもしれません。それというのも、これだけ誰からの目からも問題であることが明らかになってしまった以上、変わらなければいけないという圧力がかかりやすくなるからです。幼少期をインドネシアで過ごした黒人の大統領が生まれつつあるのもブッシュのおかげともいえるわけです。

ブッシュ大統領のおかげで、歴史の歯車を少し早く進めることができているのかもしれないのですが、誰の目にも問題が明らかになると言うのは、実は政治的な貢献としては、非常に重要なことなのです。


関連してコメントしておきますが、誰の目からも問題が明らかなのに、「光学領域でペンタックスとの相乗効果」などといまだに言っているアホが、私の身内にいますが、もう一族の恥なので、どうにかしてほしいと思います。腐ってもアメリカであり、どこかの会社よりは、少なくともまともだといえます。こんなことは、MBA新卒か、下手すると駒場(東大教養学部)2年生くらいでもわかることであり、どこかの会社の経営陣の能力は、それらレベル以下だと結論せざるを得ないと思います。

2008年10月12日日曜日

世界金融危機について思う(1):リーマン・ブラザーズとは、どういう会社か

少し前のことになりましたが、リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)破綻のニュースについて、(私立)武蔵高校の大先輩である桂木明夫社長の記者会見が見えたりします。

リーマン・ブラザーズは、ライブドアの『転換社債型新株予約権付社債』(MSBC)を引き受けたことで、あたかも悪役かのようにみなされることがありますが、金融の世界で新しいことをやってリスクをとっていくこと自体が悪いことではなく、しかも日本人は、同社の金融活動から歴史的に決定的ともいえる恩恵を受けていたことがあります。

というのも、同社はリーマン・ブラザーズ・クーン・ローブ(Lehman Brothers, Kuhn, Loeb Inc.)と名乗っていた時期がありますが、同社の前身の会社の一つであるクーン・ローブ社(Kuhn Loeb)Jacob Schiff氏が、日露戦争期において、当時画期的だった黄色人種国日本へのローンを組んでくれたから、戦費の調達ができたという歴史があります。当時直近では、非欧米の国が、欧米の国に戦争で勝ったという事例はなく、そうであるにも関わらず日本へのローンのリスクを取ってくれたのです。もちろん善意からやってくれたのではなく、向こうは算盤があうと計算したのでしょうけど。

また同社や、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、19世紀にドイツからのユダヤ系移民の一族経営をルーツにしており、ユダヤ人社会のことが分からなければ、投資銀行とは何か、本当にわかったとはいえないと思います。

こういったことについて、のちのちお伝えしこうと思います。

2008年10月11日土曜日

私の実践的ファミリービジネス入門(1):経営者の嫁に教育は重要か

私がFamily Business Enterprise(ファミリービジネス:家業)について語ることは、社会的な意味があると考えています。正確にカウントするのは難しいのですが、日本の一部上場企業でさえ、その多くが所有においては株式が分散しているが、経営は今のところ一族で行われているという会社が過半近くでありながら、ファミリー・ビジネスとは何か、その重要性についてあまり理解されているとは思えないからです。それに対して、私はファミリー・ビジネスに関わった経験を、国内および海外でも持っており、それなりの知見を提供できるのではないかと思うからです。

まず一つ指摘しておきたいのは、経営者の家庭に嫁(婿)に入るような女性は、MBA(経営学修士号)ぐらいを取得しておけ、ということです。括弧して「婿」と書いたのは、ポリティカル・コレクトネスに配慮したからです。実際に最近は女性が家業の後継者になることも珍しくはなくなったからです。

現に、会社経営や金融の事情が微塵も分かっていない鈴木某子氏は聞く耳を持たず、山中某子氏などは、私の家にヒステリックな電話をかけてきたことがありましたが、ペンタックス社の買収がHOYA株主の価値を毀損するであろうことは、2006年の初頭の時点で明らかであり、正当な批判をするほうが悪いのではなく、息子とか後継者を、そういった判断ができないまま、経営者の地位につけてしまったことが、そもそもの大失敗なのです。こんなことでは、一族経営が続いていくはずなく、一族経営は3代で終わりという日本での一般的に言われていることが、まさにそのとおりになってしまいそうなのです。だれも聞いたことのないようなパロアルトの三流の大学ではなく、一流のコネクションができる大学や大学院をがんばって卒業させないからこんなことになるわけです。

しかも経営者の家に嫁いでおきながら、40年前に音大で「あー」とかやっていた人間がその後何の勉強もしていないのに、21世紀の時価総額1兆円の会社の経営について、分かっているはずもないのです。私に電話してくる前に、池袋のリブロか旭屋書店で会計とか企業経営の本でも読んでからにしろということです。

なお1500億円をかけた買収劇の結果、赤字に転落と言う論外の結果になっていることは、再度指摘するまでもありませんが、なんでこのような問題がおきてしまったかは、説明が必要でしょう。

(未完:以下続く)。