2008年10月15日水曜日

アメリカ大統領選について思う(3):ブッシュ政権の8年とはいったいなんだったのか

この11月に大統領選があり、わが母校(コロンビア大学)の先輩でもある民主党のオバマ上院議員と、共和党マケイン上院議員の選挙戦に決着がつきます。ブッシュ政権の8年間は、これで終わるわけです。現在のブッシュ政権は、歴史上ほぼ最低水準の支持率がついているわけですが、この政権を2度にわたって選出したのも、アメリカ国民なのです。

この政権での最大の出来事は、なんといってもイラク戦争です。これだけの戦費をかけて、いまだに収集がついていないのですが、3兆ドル(約305兆円)の経費が最低でもかかっているというのが、経済学者スティグリッツ博士(現コロンビア大学)らの主張です。 ちなみに日本政府の1年間の税収が、100兆円くらいです。

第一に、政策的には、アメリカの軍事的な抑止力を決定的に下げたと言う点があります。というのも、アメリカはご存知のとおり、世界最強の空軍力を持っていますので、爆撃して相手を壊滅させることはできますが、戦争に一旦勝利した後に、駐留する段階になると、泥沼に引き込めるということを、周知の事実にしてしまったからです。

第二には、米兵駐留にはお金がかかりすぎ、仮に予算制約なしでは可能であっても、お金が持たないでしょうということを、周知の事実にしてしまったという点があります。抑止力というのは、心理的な側面もありますので、これだけでアメリカの国益上は、相当不利になります。

第三には、駐留予算にお金が取られすぎているため、軍事技術開発に関する投資などが明らかにおろそかになってきており、長期的な優位性に陰を落とす結果となっています。

第四としては、アメリカの国際的なイメージを徹底的に下げたという点があります。これは特にいうまでもありませんが、ソフトパワーが重要なご時勢ですので、決定的です。

こういった問題を引き起こしてきたブッシュ政権ですが、もしかしたら歴史的な評価は微妙なのかもしれません。それというのも、これだけ誰からの目からも問題であることが明らかになってしまった以上、変わらなければいけないという圧力がかかりやすくなるからです。幼少期をインドネシアで過ごした黒人の大統領が生まれつつあるのもブッシュのおかげともいえるわけです。

ブッシュ大統領のおかげで、歴史の歯車を少し早く進めることができているのかもしれないのですが、誰の目にも問題が明らかになると言うのは、実は政治的な貢献としては、非常に重要なことなのです。


関連してコメントしておきますが、誰の目からも問題が明らかなのに、「光学領域でペンタックスとの相乗効果」などといまだに言っているアホが、私の身内にいますが、もう一族の恥なので、どうにかしてほしいと思います。腐ってもアメリカであり、どこかの会社よりは、少なくともまともだといえます。こんなことは、MBA新卒か、下手すると駒場(東大教養学部)2年生くらいでもわかることであり、どこかの会社の経営陣の能力は、それらレベル以下だと結論せざるを得ないと思います。

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