2008年10月27日月曜日

日本人ノーベル賞受賞者4人(?)について

2008年の日本人ノーベル賞受賞者が4人となったことについて。 小林誠教授益川敏英教授の2人は、たびたび物理学賞の候補となってきたし、南部陽一郎先生については、ノーベル賞級の業績であることは確実で、タイミングの問題とだけ言われてきた。化学賞の下村脩先生についても、基礎研究が主要な応用を後年生んだという意味で、特筆すべきものでもある。

南部陽一郎先生がアメリカ国籍であることを云々することには、私は特にあまり関心がない。研究者は優れた環境を求めていくものだから、国籍云々を言っても仕方がないではないか。 日本だって、ノーベル賞候補を日本国籍に勧誘すれば、それだけで日本人の受賞者を増やすことはできる。それはオリンピックの選手でも同じ。ちなみに、ボストンの大リーグ球団、ボストン・レッドソックス(Boston Redsox)の主力選手で、アメリカ人というのは半分くらい。あとはドミニカ共和国、プエルトリコ、日本、カナダなどだけれども、アメリカのサイエンスはそのような成り立ちになっている。コンピュータ・サイエンスはインド人が強かったり、いろいろな人種や出身者がいて成り立っている。

従来大学教授はユダヤ系が多くを占めていたし、それは今も変わりがないが、躍進目覚しいのがアジア系である。ここ20年で、インドや中国のみならず、イランやパキスタン、韓国、マレーシア、シンガポールなど、様々な出身国の人間が、北米の大学教員に多数なっている。

日本のマスコミでは、あいかわらず頓珍漢な議論が多いが、サイエンスの世界における重要業績の8、9割はアメリカ発のものであり、残りの1、2割がその他ヨーロッパや日本のものであることは、なんら変わりはない。一部の分野で日本が世界でトップ級という分野は、確かにあるが、それは日本では、研究費や人材の配置が一部の分野に偏っていることの裏返しでもある。

すでに私が別のところで述べているように、日本の科学において問題なのは、①大学院教育の質の違い、②若手教員の業績評価、待遇のあり方、③研究費配分の仕方、の3点に集約されるわけで、はやくその点を改善願いたい。大学教員など大した利益集団ではないのだから、政治として、なるべく早く改善を願いたい。国籍云々は本質的な問題ではない。

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